造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
この記事の監修者
ヒナノシャクジョウとは
植物名 ヒナノシャクジョウ
学 名 Burmannia championii
和 名 雛の錫杖
英 名 Burmannia championii
科 名 ヒナノシャクジョウ科
属 名 ヒナノシャクジョウ属
ヒナノシャクジョウの特徴
ヒナノシャクジョウは草丈5cm〜15cm程になるツツジ科の多年性植物です。日本では8月〜10月頃に開花します。
ヒナノシャクジョウは、地下に球状の根茎があり、茎から1本の地上茎を直立させ、茎は枝分かれせず、鱗片葉を互生させます。
ヒナノシャクジョウは葉緑素を持たず、全体が白色です。葉はまばらに互生し、鱗片状で、長さ2mm〜4mm程の披針形~卵形です。
ヒナノシャクジョウの花は、茎先に2〜10個がやや頭状に集まって付きます。花は長さ6mm〜8mm程で白く、花被片は基部で合着して筒形になり、花筒に翼はありません。外花被片は三角形で内側が黄色です。
ヒナノシャクジョウの果実は蒴果で、小さな倒卵円形になります。
ヒナノシャクジョウの名前
ヒナノシャクジョウという名前は、ごく小さいことと、形が錫杖に似ていることから名付けられました。
ヒナノシャクジョウと菌類の関係
ヒナノシャクジョウは、かつて「腐生植物」と呼ばれ、森林の林床に生え、周囲の樹木と外菌根を形成して共生する菌類とモノトロポイド菌根を形成し、そこから栄養を得て生育しています。
つまり、直接的には菌類に寄生し、間接的には菌類と共生する樹木が光合成により作り出している有機物を、菌経由で得て生育しています。古くは周囲の腐葉土から栄養を得ていると思われていて、そのように書いてある著作も多くありますが、腐葉土から有機物を得る能力はありません。
また、ヒナノシャクジョウが外界の有機物を直接摂取するわけではなく、その実際の生育様式はむしろ菌類への寄生であり、最近はその実態をより正確に示すものとして「菌従属栄養植物」と呼ばれています。
ヒナノシャクジョウの詳細情報
園芸分類 | 草花 |
性質 | 多年草 |
開花時期 | 8月〜10月 |
花色 | 白色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 普通 |
ヒナノシャクジョウの詳しい育て方
ヒナノシャクジョウは東南アジアの原産で、国内では関東以西の本州、四国、九州、沖縄県に分布しています。森林の林床のやや湿り気のある落葉の間などに自生しています。
ヒナノシャクジョウの栽培環境
ヒナノシャクジョウは自ら光合成で栄養素を作り出せないため、育てるためには共生する菌類が必要です。菌類がなければ栄養素が摂れずに枯れてしまいます。ただし、菌類を準備するのはなかなか難しいため、菌類が寄生している木材を準備しましょう。
また、ヒナノシャクジョウの生息地は湿気の多い山地です。その環境を人工的に作り出す必要があるため、水持ちのよい腐葉土を用意しましょう。一般的に園芸用として使われているもので大丈夫です。ヒナノシャクジョウと共生する菌類が、この腐葉土から栄養分を得て育ってくれます。
ヒナノシャクジョウは光合成をしないため、太陽の光は特に必要はありません。置き場所としては、日陰でできる限りジメジメした場所が良いでしょう。
ヒナノシャクジョウの水やり・肥料
ヒナノシャクジョウは湿り気のある場所を好むため、土が常に湿っているように水やりをしましょう。ただし、水をやりすぎるとカビが生えてしまうことがあり、その場合は水やりを控え、カビを取り除きましょう。
ヒナノシャクジョウは肥料を与えても吸収できないため、肥料は必要ありません。
ヒナノシャクジョウの害虫や病気
ヒナノシャクジョウは病害虫の心配は特にありません。
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ヒナノシャクジョウのまとめ
ヒナノシャクジョウは森林の林床などに自生するごく小さな「菌従属栄養植物」で、光合成はできず、菌類と共生して生育しています。
育てるのは難しいですが、森林の林床などに自生するため、みなさんも是非ヒナノシャクジョウを森林で見てみてはいかがでしょう!