造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ノリウツギとは
植物名 ノリウツギ
学 名 Hydrangea paniculata
和 名 糊空木
別 名 糊の木(ノリノキ)/ サビタ
英 名 Panicled hydrangea
科 名 アジサイ科
属 名 アジサイ属
ノリウツギの特徴
ノリウツギは樹高2m〜5m程になるアジサイ科の落葉低木です。「アジサイ(紫陽花)」の仲間の一つです。
ノリウツギの若い木の樹皮は赤みを帯びますが、樹齢を重ねると淡い灰色になり、薄く剥離します。樹皮の内皮には粘液を含み、水に浸すと粘液が出ます。
ノリウツギの花は7月〜8月頃が開花期で、枝先に長さ10cm〜30cm程の円錐状の散房花序を作ります。中央に白色の両性花を多数付け、その周囲に少数の装飾花を付けます。
装飾花は萼片が花弁状に変化したもので、3〜5片あり、白色ですがピンクを帯びるものもあります。両性花の萼片、花弁はともに5枚あり、雄しべは10本、花柱は3〜4本あります。
ノリウツギの葉は対生する単葉ですが、稀に3輪生します。葉は長さ5cm~15cm、幅3cm~8cm程の先が尖った楕円形で、縁には低い鋸歯(きょし)があります。
ノリウツギの果実は蒴果で、長さ3mm程の小さな楕円形で、10月頃に熟すと、上部が裂けて多数の細長い種子を出します。種子には翼があります。
ノリウツギの名前
ノリウツギは「ウツギ(空木)」のような白い花を咲かせることと、樹皮に含まれる粘液を利用して和紙を漉くための糊を作ったことから「ノリウツギ」と名付けられました。そのことから「糊の木(ノリノキ)」という別名もあります。また、「サビタ」とはアイヌ語で、北海道では「サビタの花」と呼ばれています。
ノリウツギの利用
ノリウツギは花を楽しむための庭木として植栽されるほか、樹皮からは和紙を漉くための糊を作ります。また、材は農具や杖などに用いられ、根は喫煙具のパイプの材料として珍重され、北海道では「サビタのパイプ」が名産品になっています。
ノリウツギの毒性
アジサイ属の植物には毒性があり、アジサイの葉を食べて食中毒を引き起こした事例があります。
アジサイ属の毒成分は解明されていない部分が多くあります。触っても問題はありませんが、食べないように注意しましょう。また、ペットなどが食べてしまわないように注意が必要です。
ノリウツギの近縁種
ノリウツギは、ガクウツギと同様に名前に「ウツギ」が入りますが、アジサイの仲間です。ノリウツギの花はカシワバアジサイによく似た円錐形で、両性花の周りに装飾花が付きます。そんなノリウツギと同じ、アジサイ科アジサイ属の植物はたくさんあり、近縁種の一部をご紹介します。
アジサイとして主に流通している植物で、梅雨時期に花を咲かせる代表的な庭木です。花はほぼ装飾花で、花色や品種もたくさんあり、庭木としてだけでなく、切り花やドライフラワーとしても楽しまれています。
アジサイ同様、古くから使われている梅雨時期に咲く庭木のひとつです。一般的なアジサイとは異なり、多数の両性花を中心に、装飾花が周りを縁取る特徴的な花を咲かせます。
ヤマアジサイは、ガクアジサイの亜種・変種と言われています。木全体の雰囲気は似ていますが、ヤマアジサイの方が幹枝は細く、花も小さくなります。
一般的なアジサイの蕾とは異なり、玉のようなひとつの蕾が付き、くす玉が割れるように開花することから名付けられました。花姿は、ヤマアジサイに似ていますが、蕾の付き方が異なり、タマアジサイの方が葉が大きくなります。
コアジサイは、アジサイ属にある特徴的な装飾花はなく、両性花のみの花を咲かせます。また、ほかのアジサイにはない甘い香りがあります。
カシワバアジサイは、葉が楕円形になる一般的なアジサイとは異なり、葉が掌状に裂けるのが特徴で、花の形も円錐形になる両性花の周りに装飾花が付きます。
ツルアジサイは、たくさんあるアジサイの仲間の中で、唯一のつる性植物です。花姿はヤマアジサイや、タマアジサイに似ていますが、近くの植物やフェンスなどに絡みついて伸びるため、成長した姿は全く異なります。
ガクウツギは、「ウツギ(空木)」に似ているため、名前にウツギと入っておりますが、アジサイの仲間です。アジサイのように両性花の周りに装飾花が並びますが、装飾花の萼片の大きさが不揃いになるのが特徴です。
ノリウツギと似ている樹木
ノリウツギと同じ、アジサイ属の仲間に「カシワバアジサイ」という樹木があります。カシワバアジサイは、本種ノリウツギと似ている円錐形の花を咲かせます。
簡単な見分け方としては、ノリウツギの葉は先が尖った楕円形ですが、カシワバアジサイは、葉が掌状に裂けますので、見分けることができます。
ノリウツギの詳細情報
園芸分類 | 庭木 |
性質 | 落葉低木 |
開花時期 | 7月〜8月 |
花色 | 白色・ピンク色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 普通 |
耐陰性 | 普通 |
ノリウツギの詳しい育て方
ノリウツギは日本を含む東アジアの原産で、国内では北海道、本州、四国、九州に分布していて、主に高原や山地に自生しています。
ノリウツギの植え付け
植え付けの適期は落葉期の11月〜翌3月頃です。日当たりの良い場所が好みですが、半日陰でもしっかりと開花してくれます。ノリウツギは夏場の乾燥や、西日に当たると株が弱ってしまい、真冬の寒波に当たると翌年に花付きが悪くなってしまうため、植え付け場所には注意が必要です。
用土はあまり選びませんが、肥沃な土を好むため、市販の花の培養土や、赤玉土に腐葉土と堆肥を混ぜたものに植え付けて、水やりをしましょう。
ノリウツギの水やり・肥料
植えつけてから2年未満の株は、土の表面が乾いたらたっぷり水やりをしましょう。植えつけて2年以上経つ株は降雨で問題ありませんが、夏場など乾燥が続く場合は、水やりをしましょう。
肥料は寒肥として、2月頃に油かすなどの有機質肥料を株元の周辺に埋めてあげましょう。
ノリウツギの害虫や病気
害虫はアブラムシやハダニなどが発生することがあります。食害により株が弱ってしまうので、見つけたらすぐに取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
ノリウツギは病気の心配は特にありません。
ノリウツギの剪定
剪定の適期は開花後の9月頃が理想ですが、ノリウツギは花が終わった後も装飾花が枝に残り、花色の変化が楽しめます。そのため、芽吹く前の翌2月頃までに剪定をしましょう。
ノリウツギは今年開花した枝は、翌年は開花しないので剪定して、開花しなかった枝は、翌年開花するため枝を残すのが基本です。また、放任していると、どんどん樹高が高くなってしまうため、高くなりすぎた枝は低く切り戻しましょう。
ノリウツギの挿し木の方法
ノリウツギの挿し木は6月〜7月頃が適期です。今年伸びた新梢を使い、挿し穂の茎の下部分を斜めにカットして水に挿し、1時間以上水上げをしましょう。
水上げをしたら、挿し木用の土に割り箸などで穴を開け、挿し穂の葉が重ならないように挿しましょう。根元を押さえたら、たっぷり水やりをしましょう。
鉢は明るい日陰に置き、乾燥させないように管理しましょう。3週間〜1ヶ月程で発根しますので、発根したら肥料入りの培養土に植え替えましょう。
ノリウツギの誕生木・誕生花・花言葉
ノリウツギは「7月9日」の誕生木です。
ノリウツギは「5月25日」の誕生花です。
ノリウツギの花言葉は「臨機応変」です。
ノリウツギのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
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ノリウツギのまとめ
ノリウツギは特徴的な花を夏の時期に開花して、花後から秋にかけて枝に残る花色の変化を楽しめる樹木として、庭木としても人気があります。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非ノリウツギを育ててみてはいかがでしょう!