造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。

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ソバとは
植物名 ソバ
学 名 Fagopyrum esculentum
和 名 蕎麦
英 名 Buckwheat / common buckwheat
科 名 タデ科
属 名 ソバ属
ソバの特徴
ソバは草丈60cm〜130cm程になるタデ科の一年生植物です。日本では7月〜10月頃に開花します。
ソバの花は茎の先端に総状花序を出し、6mm程の花を多数付けます。花色は白やピンク色で、花被片は長さ3mm程の楕円形になり、葯は帯ピンク色になります。
ソバの葉は互生する単葉で、長さ3cm〜7cm程の先端が尖った三角形に近い心臓形で、袴状の托葉鞘があります。茎上部の葉には葉柄がありません。
ソバの果実は痩果で、宿存性の花被から突き出て、長さ5mm程の平らな卵形になり、光沢が無い暗褐色で、鋭い3稜形になり、主に実を食用とします。
ソバの受粉
花粉の媒介はミツバチやハナアブ類等の訪花昆虫によって行われますが、栽培種のソバは自分自身の花粉では結実しません。異型花型の胞子体型の自家不和合性を持ち、長花柱花と短花柱花間での受粉が必要な植物です。そのため、集団内に長花柱花と短花柱花が存在し、相互に受粉する必要があります。
また、収量を増やすための自家不和合性に関して、品種改良で自家不和合性を無くす試みも行われてきましたが、深刻な自殖弱性を引き起こし、国内外の研究者に成功例はなく、収量増には寄与していません。
ソバという名前
ソバという名前は、栽培地や植物の性質を表したものと考えられています。「倭名類聚抄」には「曽波牟岐(そばむぎ)」とあり、「古今著聞集」には「そまむぎ」とあります。「そま」は漢字では「杣」と書き、権力者が建築資材確保のために所有した山林のことで、中世にかけて貴族や社寺の所有する荘園の一部でありました。このことから「杣」のような山で栽培される畑作物の意味で「そまむぎ」と呼ばれていたと考えられています。
また、山の険しい地形を意味する「岨(そわ)」や「そは」の語や険阻なことを意味する「曾波(そば)」の語から地形に由来するという説もあります。
日本各地にある「ソマ」、「ソバ」、「ソワ」、「ソハ」の地名はソバ栽培との関連性が指摘されていますが、「ソワ」などは地形にも由来して、気温が高くソバ栽培が行われていない地域にも分布しており全てがソバ栽培と関連するわけではないとも言われています。
ソバの利用
ソバは世界各地で食用にされています。ロシア・ウクライナなど東欧では粥状にしたカーシャを食べます。フランス、特にブルターニュ地方では粉にひいて焼くガレットという料理が主食として食されています。イタリアではピッツォッケリがあり、朝鮮は冷麺、中国ではヘロという丸い穴をあけた器械からところてんのように押しだして麺にします。
日本では、縄文時代晩期から、丸剥きをして茹でたものが「蕎麦粥」として食されていました。中国大陸の明から石臼による製粉技術がもたらされた鎌倉時代末期~室町時代初期からは「蕎麦がき」「そばもち」としても食べられ、戦国時代中期頃には細い麺状にしたものを茹でて供する「蕎麦切り(そばきり)」が考案され、江戸時代中期以降にはそれが主流となって大流行しました。現代では、蕎麦や蕎麦がきなどにして食べるのが主な食べ方であります。
ほかにも、殻を剥いたソバの種実を水に浸した後に蒸して、その後に乾燥させるという方法によって精白したものを日本では「そば米」と呼び、日本では、そば米をそば茶に利用したり、コメと混ぜて炊いて食べたり、焼酎(そば焼酎)の主原料として使用することもあります。ソバの幼い茎や葉は、スプラウト(新芽野菜)として食用にしたり、家庭でソバを栽培して、間引いたソバをサラダの具材として利用することもあります。
ソバの実の殻(果皮)を蕎麦殻として、比較的簡単に収穫できることから産業的に利用されています。日本では枕の内容物、土壌改良材、茸栽培の菌床の添加剤などとして使われています。また、ソバは蜂蜜の蜜源植物ともなっていて、ソバの花からは黒色で鉄分が多く、独特の香りを持つ蜂蜜が得られます。
ソバのアレルギー
ソバの実や蜂蜜を含む食品の摂取や接触、粉末の吸引により、アナフィラキシーショック等を伴う急性アレルギー症状(蕎麦アレルギー)を起こすことがあります。従って、材料・加工品ともにアレルギー物質を含む食品として食品衛生法施行規則による特定原材料として指定されています。
症状としては、軽い頭痛から嘔吐などさまざまであり、症状は食後すぐから現れます。1988年には、学校給食で児童が蕎麦を食べた事が原因で発作を起こし、吐瀉物が気管に入り窒息した事故が発生しました。また、ソバそのものの食用によらず、蕎麦を茹でた湯を共用して茹でた他の麺類の摂取、あるいは重篤な例では皮膚への蕎麦粉の付着や、ソバを茹でた湯気の吸引でも発症することがあります。
ソバはビタミンB群、ルチンなどを多く含むとされ、健康食としてのイメージが強い一方で、実や茎に「ファゴピリン(fagopyrin)」という物質を含み、食後に日焼けを伴う程度の紫外線(日光)に当たった場合、光線過敏を起こすことがあります。
ソバの詳細情報
園芸分類 | 草花 |
性質 | 一年草 |
開花時期 | 7月〜10月 |
花色 | 白色・ピンク色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 弱い |
ソバの詳しい育て方
ソバは中国の雲南省北部の三江併流と呼ばれる地域が原産であると考えられ、世界各地で栽培され、野生化しています。日本では伝来年代は明らかではありませんが、弥生時代から焼畑農法で利用されていたと考えられ、5世紀頃から栽培されていたと言われています。
日本各地でも栽培されていますが、主な生産地としては北海道、長野県、茨城県、福井県などが有名で、在来種やブランド品種など様々なソバがあります。新蕎麦の時期は年に2回あり、「秋蕎麦」「夏蕎麦」と呼ばれ、秋蕎麦は10~12月に出回るもの、夏蕎麦は7~9月にお店で出回ります。
ソバの種まき
種まきの時期は地方により異なりますが、春ソバは4月~5月頃、秋そは7月〜8月頃です。ソバは湿害に極めて弱く、特に生育初期に湿害が発生すると収穫に深刻な影響を及ぼすため、水はけの良い土壌を選び、土壌の排水性を高めることが不可欠です。
日当たりの良い場所を選び、深さ20cm~30cm程まで土を耕起してならしましょう。極端に痩せた土地なら1㎡当たり化成肥料を100g程ばらまきましょう。種の量は1㎡当たり5~7gを目安にばらまき、薄く土をかけておさえましょう。雨が少ない場合は発芽するまで毎日水やりをしましょう。
芽が出て育ってきたら、株間を5cm~7cm程になるよう間引きましょう。また、ソバは乾燥気味の環境を好みます。過湿になると根が腐ってしまうため注意しましょう。
ソバの除草
ソバは生長が早く、雑草よりも先に葉を広げるので、基本的に除草の必要はありません。ただし、暖地で夏型の栽培をする場合には、雑草が発生しやすいため、畦間の除草を行いましょう。
除草をする際には同時に土寄せも行いましょう。中耕・土寄せによって、除草だけでなく土壌の通気性・排水性が向上し、根張りがよくなって倒伏しにくくなり、収穫量が上がる効果も期待できます。
ソバの受粉
ソバは土中の肥料が切れると一斉に花を咲かせる性質があるため、成長後は追肥しないようにしましょう。開花後は、昆虫などによって運ばれた花粉で実を結ぶ、他家受粉植物です。そのため他品種と交雑しやすく、交雑率が高いと、品種特性が変化して子実量が低下したり、成熟が不ぞろいになってしまうリスクがあります。
開花時に虫が飛来しにくい場所であれば、晴れた日の午前中に手や筆などを使って花を全体にゆっくりなでて受粉させるましょう。
ソバの害虫や病気
ソバは病害虫の心配は特にありません。
ソバの収穫と乾燥
収穫時期は、基本的に夏型が7~8月頃、秋型は9~11月頃ですが、ソバの収穫適期の見極めは難しく、完全に黒褐色に変化した子実が全体の何%を占めるか(黒化率)で判断するのがポイントです。手刈りによる収穫の場合は、黒化率が60%以上になったら株元を切って収穫しましょう。コンバインで収穫する場合は80%以上になるまで待ちましょう。
収穫後は束ねて軒下などの雨の当たらない場所に逆さに吊るして、下にビニールシートなどを敷きましょう。この後、10日程で実が追熟しますので、十分に乾燥したら、棒などで叩いて実を落として収穫しましょう。
刈り取った穂を束にして、ほ場に立て1〜2週間程度置いたまま乾燥する「島だて乾燥」は、一般に食味や香りが良くなると言われ、ブランド化の際の付加価値などに活用されていますが、時間がかかり、降雨の影響を受けやすく含水率にばらつきが出るなどのリスクもあります。
ソバの脱穀と粉ひき
一升瓶などに収穫したソバの実(玄ソバ)を入れて棒でつついて脱穀しましょう。ソバ殻が採れたソバの実は「そば米」と呼ばれ、おかゆなどに炊いて食べることができます。ソバ米は石臼などで挽いてそば粉にしましょう。コーヒーミルで繰り返し挽いて粉にすることもできますが、コーヒーの香りが移らないように新しいミルを使いましょう。
ソバの誕生花・花言葉
ソバは「9月24日」「11月1日」の誕生花です。
ソバの花言葉は「幸福」「懐かしい思い出」「喜びも悲しみも」「あなたを救う」です。
お花のある生活

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ソバのまとめ
ソバは気候や土壌の順応性が高く、世界各地で栽培されています。食材としても優秀ですが、開花期には可愛い花を咲かせ、畑一面真っ白な花畑になります。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非ソバを育ててみてはいかがでしょう!
