造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ハナノキとは
植物名 ハナノキ
学 名 Acer pycnanthum
和 名 花の木
別 名 花楓(ハナカエデ)
英 名 Acer pycnanthum
科 名 ムクロジ科
属 名 カエデ属
ハナノキの特徴
ハナノキは樹高20m〜30m程になるムクロジ科の落葉高木です。日本では3月〜4月頃に開花します。
ハナノキの樹皮は白灰褐色で、成長すると縦に筋が入り、薄く剥離します。
ハナノキの葉は対生し、長さ3cm~8cm、幅3cm〜10cm程で先端が尖った掌状に浅く3裂します。裏面は粉白色になり、縁には重鋸歯(じゅうきょし)があります。また、秋には鮮やかに黄葉または紅葉します。
ハナノキの花は雌雄異株で、葉が展開する前に葉腋に4〜10個程が束状に付きます。雄花は上向きに付き、花弁と萼片は5個あり、雄しべは5〜6本あります。雌花は垂れ下がり、花弁は4〜5個で、二つに裂けた雌しべ(柱頭)があります。花は赤色で、花季には木全体が赤くなることから「ハナノキ」と名付けられました。
ハナノキの果実は翼果で、長さ2cm〜3cm程でプロペラ状の翼があり、直角かあまり開きません。
ハナノキの冬芽は、5〜7対もの「鱗片葉」と呼ばれる厚い葉で覆われて、瓦重ね状に並び、濃紅色で大きくてよく目立ちます。
ハナノキと似ている樹木
ハナノキは、その名の通り花季になると木全体が花でいっぱいになります。ハナノキと同様に花が目立つカエデの仲間に「ハウチワカエデ(羽団扇楓)」があります。
ハナノキは、掌状に浅く3裂した葉を持ちますが、カエデの仲間で葉が似ている樹木に「トウカエデ(唐楓)」があります。どちらも葉が似ていますが、本種ハナノキの葉には縁に鋸歯(きょし)がありますが、トウカエデの葉には鋸歯(きょし)がありません。
ハナノキの近縁種で、北アメリカ原産の「アメリカハナノキ」もよく似ていますが、本種ハナノキは葉が浅く3裂するのに対して、アメリカハナノキは葉の切れ込みが深いのが特徴です。
また、お寺や墓地などに植えられる樹木「シキミ(樒)」も別名「ハナノキ」と呼ばれていますが、本種ハナノキはムクロジ科で、シキミはマツブサ科の植物なので、全く別種の樹木です。
天然記念物のハナノキ
ハナノキは、日本国内の長野県南部・岐阜県南部・愛知県北東部の3県県境の主に木曽川流域のみ自生して、自生地は天然記念物に指定されています。また、滋賀県の国の天然記念物に指定されているハナノキは自生地から移植されたものと考えられています。
また、ハナノキは、愛知県では県の木に指定され、長野県と岐阜県の一部市町村では自治体の木に指定されています。
国指定の天然記念物
- 長野県下伊那郡阿南町の「新野のハナノキ自生地」
- 岐阜県瑞浪市の「釜戸ハナノキ自生地」
- 岐阜県中津川市の「坂本のハナノキ自生地」
- 岐阜県恵那市の「富田ハナノキ自生地」
- 岐阜県土岐市の「白山神社のハナノキおよびヒトツバタゴ」
- 岐阜県加茂郡東白川村の「越原ハナノキ自生地」
- 愛知県北設楽郡豊根村の「川宇連ハナノキ自生地」
- 滋賀県東近江市の「南花沢のハナノキ」
- 滋賀県東近江市の「北花沢のハナノキ」
ハナノキの詳細情報
園芸分類 | 庭木 |
性質 | 落葉高木 |
開花時期 | 3月〜4月 |
花色 | 赤色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
耐陰性 | 普通 |
ハナノキの詳しい育て方
ハナノキは日本原産の固有種で、長野県南部・岐阜県南部・愛知県北東部の3県県境の主に木曽川流域の山間湿地にのみ自生して、長野県大町市の居谷里湿原に隔離分布しています。花季は木が赤く染まり、紅葉も美しいため広い地域で庭木や公園樹、街路樹として植栽されています。
ハナノキの植え付け
植え付けは落葉期の12月〜翌2月頃が適期です。日当たりが良い場所を好みますが、直射日光で葉っぱが葉焼けして傷んでしまうため、明るい半日陰などが適しています。また、昼と夜の寒暖差が大きい程、綺麗に紅葉すると言われています。
用土はあまり選びませんので、庭土に腐葉土や堆肥をたっぷり混ぜて、植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。
ハナノキの水やり・肥料
根付いてからは降雨で問題ありませんが、乾燥に弱いため、夏場など乾燥が続くようであれば水やりをしましょう。
肥料は寒肥として、2月頃に緩効性化成肥料を株元に与えましょう。
ハナノキの害虫・病気
害虫はアブラムシ、カミキリムシが発生することがあります。暖かい時期に発生して葉を食害します。食害されると株が弱ってしまったり、観賞価値が下がってしまうため、早めに取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気はうどんこ病、すす病があります。葉に粉をまぶしたように白くなる病気です。はじめはポツポツと白く粉をふいているように見えますが、悪化すると葉の全体が真っ白になり、葉にカビが生えたようになってしまいます。見つけたら早めに葉を取り除き、殺菌剤を散布して被害を食い止めましょう。
ハナノキの剪定
剪定は落葉期の12月〜翌2月頃が適期です。徒長枝や混み合っている枝、枯れ枝をを切り取り、樹形を整えましょう。
ハナノキは自然樹形を楽しむ樹木です。成長が早く、大きくなる樹木ですが強い剪定を好まないため、太い枝を切ると樹木にダメージがあります。木が細いうちに残す枝を決めて、将来的な樹形をイメージして整えましょう。
ハナノキの誕生木・誕生花・花言葉
ハナノキは「3月28日」の誕生木です。
ハナノキは「3月21日」の誕生花です。
ハナノキの花言葉は「信仰」です。
ハナノキのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
ホームセンターなどで販売している造花やアーティフィシャルは、どうしても偽物とわかってしまい、観賞価値がありません。
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ハナノキのまとめ
ハナノキは、ほかのカエデよりも目立つ花を咲かせて、花季には木全体が赤く染まります。また、秋になると葉が黄色や赤色に色付き、美しい紅葉が楽しめます。
育てるのはそんなに難しくはないので、みなさんも是非ハナノキを育ててみてはいかがでしょう!