造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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カボスとは
植物名 カボス
学 名 Citrus sphaerocarpa
和 名 臭橙 / 香母酢
別 名 下に記載
英 名 Kabosu
科 名 ミカン科
属 名 ミカン属
カボスの特徴
カボスの木は樹高2m〜4m程になるミカン科の常緑小高木です。大分県特産の柑橘類です。
カボスの葉は互生する単葉で、長さ8cm程の楕円形になります。葉は艶がある革質で、小さい油点があり、葉柄は翼状になっていて、葉縁は低い波状の鋸歯（きょし）があります。また、枝にはトゲがあります。
カボスの花は、5月〜6月頃に開花します。枝の先に白色の5弁花を1輪〜数輪咲かせます。花には芳香があり、中央に雌しべが１本、多数ある雄しべは基部で合体して筒状になります。
カボスの果実は球形で、直径6cm程、重さ100g程になります。果頂部に凹環があり、その内側に低い乳頭があり、中には多数の多胚性種子があります。果実は緑色のうちに収穫されますが、熟すと黄色くなります。
カボスの名前
カボスという名前の由来はわかっていません。1709年（宝永6年）に刊行された貝原益軒の大和本草に「カブス」についての記載があり、その名の由来は「柑子」（かむし、かむす）が訛ったもので、乾燥した皮を燻して蚊除けに用いるからとも記されています。標準和名は「カボスキシュウミカン」です。
本種の漢字表記である「臭橙」は熟字訓で、「香母酢」は当て字です。また、近縁種である「ダイダイ（代々）」も、この「臭橙」という字を当てることもありますが、これは強い酸味と爽やかな香りがある果実を付ける柑橘類のことです。
カボスの近縁種
カボスは、「ユズ（柚子）」が最も近い近縁種と言われていますが、起源はわかっていません。また、共に緑色で収穫され、よく似ている「スダチ（酢橘）」と混同されることがありますが、カボスの果実が100g程（テニスボール程度）であるのに対し、スダチは40g程（ゴルフボール程度）と大きさが異なり、またカボスは果頂部の雌蕊の落ちた跡の周囲がドーナツ型にやや盛り上がるため、容易に区別することができます。
カボスの食用
カボスの果汁は、酸味が強く独特の香りを持つことから、刺身や焼き魚等の薬味として利用したり、鍋料理のポン酢や、酢の物などの調理に用いられています。ほかにも、果汁や果肉を用いた調味料、ジュース、清涼飲料水、氷菓、スナック菓子、和菓子、洋菓子、酒類等の加工品も販売されています。
カボスの産地として知られる大分県では、味噌汁、麺類、焼酎などにも果汁を垂らして風味を付けることもあり、ブリ等の魚類の飼料にカボスを加えると、果実に含まれるポリフェノールの効果で、切り身の変色や臭みを長時間抑えることができるとされ、カボスを加えた飼料で養殖したブリやヒラメを「かぼすブリ」「かぼすヒラメ」として販売しています。
カボスの詳細情報
| 園芸分類 | 庭木・果樹 |
| 性質 | 常緑小高木 |
| 開花時期 | 5月〜6月 |
| 花色 | 白色 |
| 栽培難易度 | |
| 耐寒性 | 普通 |
| 耐暑性 | 強い |
| 耐陰性 | 弱い |
カボスの詳しい育て方
カボスは日本が原産で、大分県臼杵市では、江戸時代に宗源という医者が京都から苗木を持ち帰ったのが栽培の始まりと伝えられ、臼杵市内には、樹齢100年を超えるものが多数あり、元祖樹は樹齢200年以上と推定されています。大分県外にはこのような古木はないため、大分県が原産地と言われています。
カボス生産量の９８％が大分県産で、愛媛県、福岡県、宮崎県などでも栽培され、ハウス物など年間を通して流通していますが、最も美味しい旬は8月〜10月頃になります。
カボスの苗植え
苗植えの適期は3月〜4月頃です。日当たりが良く、強い風や西日の当たらない場所が適しています。
用土は水はけのよい土が適していますので、庭植えの場合は掘り起こした土に腐葉土をたっぷり混ぜましょう。鉢植えの場合は市販の果樹用の培養土を使い、植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。また、根付くまでは支柱を添えて支えてあげましょう。鉢植えの場合は、2年に1回、根詰まり対策として一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
カボスの水やり・肥料
庭植えの場合は根付いたら降雨だけで問題ありませんが、乾燥が続くようであれば水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土が乾燥したら、たっぷりと水やりをしましょう。
肥料は3月、6月、11月の年3回、油かすなどの有機肥料を与えましょう。
カボスの害虫や病気
害虫はアブラムシ、ハダニ、カイガラムシ、アゲハチョウの幼虫が発生することがあります。葉を食害しますので、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気はカビによるソウカ病、細菌によるカイヨウ病、黒点病などがあります。感染すると葉や果実に病斑ができて株が弱ってしまいます。発病した箇所を切り取り、薬剤散布で防除しましょう。
カボスの剪定
カボスの剪定の適期は2月〜3月頃です。苗木を植えてから2〜3年かけて樹形を作ります。幹から伸びる枝は3〜5本程度が適当です。樹形を半円形に整える「半円形仕立て」か、ピラミッド型の「主幹形仕立て」に仕立てましょう。
4〜5年目以降の整った木の剪定は、混み合っている枝や枯れ枝を切り取り、風通しと日当たりを良くしましょう。また、カボスの枝にはトゲがあるので、長袖や手袋を着用して作業しましょう。トゲは果実を傷つける原因になるため、取り除いても問題ありません。
カボスの摘果
カボスを植え付けてから3年程度は、株を強くするために全ての実を摘果して、株を弱らせないようにしましょう。3年以上経った株で、果実がたくさん実っている場合は、数を減らしてあげることで栄養が行き渡り、味や香りが強くなります。
カボスは6月頃に、生理落果として自然に果実が落ちます。その後、7月頃に小さいもの、傷ついたもの、形の悪いものを間引いて摘み取りましょう。葉っぱ20〜30枚に果実が1個が目安で、最も色艶が良い実を選んで残しましょう。
カボスの収穫
カボスは熟すと黄色くなりますが、熟してしまうと味や香りが落ちるため、緑色のうちに収穫しましょう。カボスの収穫時期は8月〜10月頃です。
カボスを収穫する際は、枝にあるトゲに注意して、長袖や軍手を着用しましょう。収穫方法は、実を落とさないようにしっかりと持って、茎を少し長めに切りましょう。収穫後は袋に入れて、野菜室で保管すると、長期間新鮮な状態を保つことができます。
カボスの誕生木・花言葉
カボスは「7月12日」の誕生木です。
カボスの花言葉は「健康」「健康美」です。
カボスのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが！
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
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カボスのまとめ
カボスは、日本原産の柑橘類で、主に大分県で生産され、酸味と香りが強く、色々な料理の香り付けや薬味として古くから楽しまれています。
慣れてしまえば育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非カボスを育ててみてはいかがでしょう！