造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
この記事の監修者
カリンとは
植物名 カリン
学 名 Pseudocydonia sinensis
和 名 花梨
別 名 下に記載
英 名 Chinese quince
科 名 バラ科
属 名 カリン属
カリンの特徴
カリンは樹高5m〜8m程になるバラ科の落葉高木です。日本では3月〜5月頃に花を咲かせます。
カリンの幹は株立状になりやすく、双幹や三幹に仕立てたものもあります。樹皮は滑らかですが、樹齢を重ねると樹皮が鱗状に剥がれ落ちて、緑がかった褐色の斑模様になります。
カリンの花は葉の展開と共に、短枝の先の葉腋に1個付きます。花は径2cm〜3cm程の淡紅色の5弁花で、花弁の基部には短い爪があります。花は雌雄同株で、雄花と両性花があり、雄花には雄しべが20本で、両性花には雌しべ5本と雄しべ20本があります。
カリンの葉は互生する単葉で、長さ4cm~8cm程の先が尖った倒卵形になります。葉には細かい鋸歯(きょし)があり、裏面には始め黄白色の軟毛が生えます。また、秋には紅葉します。
カリンの果実は、長さ10cm~15cm程の扁平した球形で、始めは緑色ですが、10月頃に光沢のある黄色に熟し、芳香があります。表面はデコボコが多く、内部には黒褐色の種子が多数あります。果実は木質で硬く、酸味や渋みが強く、石細胞が多いため、生食はできません。
カリンの冬芽は枝に互生して、半円形で小さく、褐色の芽鱗2〜4枚に包まれています。冬芽腋の葉痕は上向きの半円形で、維管束痕は3個あります。
カリンの名前
カリンという名前は、本種の木目が東南アジアを原産とするマメ科の「花櫚(かりん)」に似ていることから名付けられました。本種の漢字表記は「花梨」が一般的になりつつありますが、本来の漢語は「榠樝(めいさ)」です。
別名として、「カラナシ(唐梨)」「テンジクナシ(天竺梨)」「アンランジュ(安蘭樹)」「アンラジュ(菴羅樹)」とも呼ばれています。「菴羅」とは「マンゴー」の別名ですが、古い時代の日本では誤訳によりカリンを指す場合がありました。長野県諏訪地方で「カリン」と称するものは「マルメロ」のことであり、導入時にカリンとマルメロを間違えたことにより、現代もその名前で呼ばれています。
カリンの果実は生薬名を「和木瓜(わもっか)」と言います。ただし、和木瓜をボケやクサボケとする場合もあり、カリンを「木瓜(もっか)」とする場合もありますが、木瓜はボケの果実のことです。日本薬局方外生薬規格において、カリンの果実を木瓜として規定していることから、日本の市場で木瓜として流通しているのはカリンです。
カリンとマルメロ
カリンとマルメロは、導入時に間違われたほど似たような果実ができるため、しばし混同されますが、カリンは樹皮が剥がれ落ち、葉に鋸歯(きょし)があります。また、果実は洋ナシ型で、綿毛はなく、表面が滑らかになります。それに対してマルメロの果実は、ほぼ球形で表面にやや粘着性の毛が生えて、樹皮は剥がれず、葉に鋸歯(きょし)は無いため見分けることができます。
カリンの利用
カリンは新緑や紅葉、春に咲く淡紅色の花や、香りの良い大きな果実、個性的な幹肌など、一年を通して楽しむことができる庭木として、特に家庭果樹として最適な樹木の一つと言われています。また、観賞用の樹木として、独特の枝ぶりから「実もの盆栽の王様」と称されるほど盆栽としても人気があります。
カリンは語呂合わせで「金は貸すが借りない」の縁起を担ぎ、庭の表にカリンを植えて、裏に「カシノキ」を植えると商売繁盛に良いとされ、長野県の県北地域にはその風習が残されています。
カリンの果実は食用としても利用されています。ただし、果実は固くて酸味が強いため、生食には適さず、砂糖漬けやハチミツ漬け、コンポート、果実酒などに用いられています。
カリンの果実は「榠樝(めいさ)」「土木瓜(どもっか)」「和木瓜(わもっか)」などと称して生薬に利用されています。果実に含まれる成分が咳や痰など喉の炎症に効くとされることから、のど飴に配合されていることもあります。
カリンの材は比較的硬くて緻密であり、丈夫であることから、額縁、彫刻材、洋傘の柄などの材料として利用されています。また、樹皮が斑模様に剥がれて風情があることから、家具材や建築材として住宅の床柱にすることもあります。
カリンの詳細情報
園芸分類 | 庭木・果樹・盆栽 |
性質 | 落葉高木 |
開花時期 | 3月〜5月 |
花色 | 淡紅色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
耐陰性 | 弱い |
カリンの詳しい育て方
カリンは中国の原産で、日本へ渡来した時期や経緯は不明ですが、江戸時代に渡来したとする説があります。庭木や街路樹として植栽されるほか、果樹としても栽培されています。国内の産地としては山梨県、長野県、山形県、奈良県、愛媛県、香川県などが有名で、産地によって時期が異なりますが、10月〜11月頃が旬の時期です。
カリンの苗植え
苗の植え付けは落葉期の12月〜翌3月頃が適期です。日当たりが良く、風通しの良い場所を好みます。日光が当たらないと花や実が少なくなります。用土は赤玉土に腐葉土を混ぜたものか、市販の果樹の培養土を使って植え付けたら、たっぷりと水やりをしましょう。また、鉢植えの場合は2〜3年に1回、植え替えをしましょう。
カリンの水やり・肥料
庭植えの場合は、根付いてからは降雨で問題ありませんが、夏場などすごく乾燥する時期は水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土が乾いたら水やりをしましょう。
肥料は2月と10月頃に、油かすと骨粉を混ぜたものを施しましょう。
カリンの害虫や病気
害虫はアブラムシ、シンクイムシ、テッポウムシが発生することがあります。葉を食害されると株が弱ってしまい、観賞価値が下がってしまうため、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。また、果実の食害を防止するためには袋がけを行いましょう。
病気は赤星病になることがあります。病気に感染すると葉っぱに穴が空き、変色します。日当たりと風通しを良くして、病気の部分は取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
カリンの人工受粉
カリンは自家受粉で結実しますので、基本的に人工受粉は必要ありませんが、2~3本まとめて植えた方が実付きは良くなります。また、ベランダなどで鉢植え栽培など、虫が受粉してくれない場合などは開花時期に筆などを使って軽く花穂をなでて、人工受粉をしてあげましょう。
カリンの剪定
カリンは枝が細くて上向きに伸び、樹形は狭い円錐状となります。花芽形成は7月〜8月の時期です。本来は花後6月頃に剪定をした方が、大きさを抑えつつ、結実を多くできますが、この時期は果実が実っているため12月〜翌2月頃に行うこともあります。
花芽は短い枝の枝先にできるため、長い枝は1/3程切り詰めて、大きさを抑えつつ、短い枝を出させましょう。短い枝は切らないようにしましょう。混み合っている枝や枯れ枝などは元から切り取り、日当たりや風通しを良くしましょう。
カリンの誕生木・誕生花・花言葉
カリンは「11月4日」の誕生木です。
カリンは「11月1日」の誕生花です。
カリンの花言葉は「豊麗」「優雅」「努力」「唯一の恋」などがあります。
カリンのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
ホームセンターなどで販売している造花やアーティフィシャルは、どうしても偽物とわかってしまい、観賞価値がありません。
グリーンピースのアーティフィシャルグリーンは、日本の職人が国内で作る業界最高のクオリティです。近くで見ても本物と見間違うほどの圧倒的クオリティで、景観や観賞価値を損ないません。
お好みの樹木をお好みの大きさにオーダーメイドも可能で、天然木を使ったMADE IN JAPANのアーティフィシャルグリーンは個人のご自宅をはじめ、さまざまな商業施設や有名施設でも採用され、多くの方に楽しまれています。実際の施工例などもご紹介しておりますので、ぜひ下のページも御覧ください。
カリンのまとめ
カリンは新緑や紅葉、春に咲く淡紅色の花や、香りの良い大きな果実、個性的な幹肌など、観賞用の庭木から盆栽、果樹としても利用される人気の樹木です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非カリンを育ててみてはいかがでしょう!