造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
この記事の監修者
オニノヤガラとは
植物名 オニノヤガラ
学 名 Gastrodia elata
和 名 鬼の矢柄
英 名 Gastrodia elata
科 名 ラン科
属 名 オニノヤガラ属
オニノヤガラの特徴
オニノヤガラは草丈50cm〜100cm程になるラン科の多年草です。日本では6月〜7月頃に開花します。
オニノヤガラは、地下に長さ10cm程の楕円形の塊茎があり、1本の地上茎を直立させます。通常は黄褐色で、葉緑素を持たず、まばらに5~6枚の鱗片葉があります。
オニノヤガラの花は、20〜40個程の黄褐色の花を茎の先端に総状に付け、下方から開花します。花は萼および花弁が合着して壷状になり、中に2個の側花弁と卵状長楕円形の唇弁があります。
オニノヤガラの名前
オニノヤガラという名前は、長く真っ直ぐ伸びた花茎の姿を、鬼が使う弓矢が地面に突き刺さった長い矢を連想させるとして「鬼の矢柄」と名付けられました。
オニノヤガラの利用
オニノヤガラの根茎は漢方として利用され、目眩や頭痛、メニエール病、リウマチ、強壮剤などに効果があるとされています。
オニノヤガラと菌類の関係
オニノヤガラは、かつて「腐生植物」と呼ばれ、森林の林床に生え、種子発芽時にはクヌギタケ属から、生育時にはナラタケから栄養提供をうけて生育しています。
つまり、直接的には菌類に寄生し、間接的には菌類と共生する樹木が光合成により作り出している有機物を、菌経由で得て生育しています。古くは周囲の腐葉土から栄養を得ていると思われていて、そのように書いてある著作も多くありますが、腐葉土から有機物を得る能力はありません。
また、オニノヤガラが外界の有機物を直接摂取するわけではなく、その実際の生育様式はむしろ菌類への寄生であり、最近はその実態をより正確に示すものとして「菌従属栄養植物」と呼ばれています。
オニノヤガラの詳細情報
園芸分類 | 草花・ラン |
性質 | 多年草 |
開花時期 | 6月〜7月 |
花色 | 黄褐色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | 普通 |
オニノヤガラの詳しい育て方
オニノヤガラは日本、中国、韓国、台湾の原産で、国内では北海道、本州、四国、九州に分布しています。山地の林床のやや湿り気のある場所に自生しています。
オニノヤガラの栽培環境
オニノヤガラは自ら光合成で栄養素を作り出せないため、育てるためには共生する菌類が必要です。菌類がなければ栄養素が摂れずに枯れてしまいます。ただし、菌類を準備するのはなかなか難しいため、菌類が寄生している木材を準備しましょう。
また、オニノヤガラの生息地は湿気の多い山地です。その環境を人工的に作り出す必要があるため、水持ちのよい腐葉土を用意しましょう。一般的に園芸用として使われているもので大丈夫です。オニノヤガラと共生する菌類が、この腐葉土から栄養分を得て育ってくれます。
オニノヤガラは光合成をしないため、太陽の光は特に必要はありません。置き場所としては、日陰でできる限りジメジメした場所が良いでしょう。ただし高温を嫌うために関東以南では空調などを利用しましょう。
オニノヤガラの水やり・肥料
オニノヤガラは湿り気のある場所を好むため、土が常に湿っているように水やりをしましょう。ただし、水をやりすぎるとカビが生えてしまうことがあり、その場合は水やりを控え、カビを取り除きましょう。
オニノヤガラは肥料を与えても吸収できないため、肥料は必要ありません。
オニノヤガラの害虫や病気
オニノヤガラは病害虫の心配は特にありません。
オニノヤガラの花言葉
オニノヤガラの花言葉は「陰謀」「略奪愛」「潔く身を引く」です。
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オニノヤガラのまとめ
オニノヤガラは山地の林床のやや湿り気のある場所に自生し、ナラタケから栄養提供をうけて生育している「菌従属栄養植物」です。
育てるのは難しいですが、森林の林床などに自生するため、みなさんも是非オニノヤガラを森林で見てみてはいかがでしょう!