造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
この記事の監修者
スギとは
植物名 スギ
学 名 Cryptomeria japonica
和 名 杉
別 名 表杉(オモテスギ) / 裏杉(ウラスギ)
英 名 Japanese cedar
科 名 ヒノキ科
属 名 スギ属
スギの特徴
スギは樹高25m〜50m程になるヒノキ科の常緑針葉高木です。日本では3月〜4月頃に開花します。
スギの幹は直立して、樹形は長い円錐形になります。樹皮は赤褐色で、縦に裂けて薄く長く剥がれます。
スギの花は雌雄同株で、雄花は褐色で長さ5mm程の楕円形になり枝先に密生します。雌花は緑色の径2cm程の球形で枝先に単生します。雄花は花粉が多く、晴れた日に風が吹くと大量の黄色い花粉が放出されます。
スギの葉は螺旋状に密に互生して、長さ1cm〜2cm程の先端が尖った鎌状の針形で、春〜夏は緑色ですが、秋~冬には茶色を帯びます。また、葉が枯れると小枝ごと落ちるという特徴があります。
スギの果実は、長さ2cm~3cm程の球形で、10月〜11月頃に熟すと茶色になります。種子は長さ5mm〜7mm程で、左右に狭い翼があります。
スギの名前
スギという名前の由来は諸説ありますが、幹が真っ直ぐに伸びることから「直木(スクキ)」と呼ばれ、これがスギに変わったという説や、同様に上へ伸び進むことから「進木(ススギ)」と呼ばれ、これが転じてスギになったという説があります。
全国に点在するスギですが、主に太平洋側の山地の沢沿いに自生しているものを「オモテスギ(表杉)」と呼び、日本海側に自生しているものを「ウラスギ(裏杉)」と呼んで区別することがあります。両者には遺伝子に違いがあり、ウラスギは積雪によって枝葉が垂れ下がり、着地した枝から根を生じるという特徴を持ちます。
また、スギは針葉樹の代表的な樹木ですが、分類的にスギとは全く異なる樹木もスギの名前が付けられているものが多数あります。例えば、マツ科の樹木「ヒマラヤスギ(喜馬拉邪杉)」や「レバノンスギ」などがありますが、これらはスギとは全く別種の樹木です。
スギの花粉
スギは風媒花で、3月〜4月の開花期は大量の花粉を飛散させます。スギ花粉は長距離を飛ぶために、遠くの産地のものを植えることは天然林の遺伝子汚染を引き起こしやすいとされています。
スギは大量に花粉を飛ばすため、花粉症の原因として嫌われもののイメージがありますが、平成4年頃に突然変異によって花粉を全く放出しない「無花粉スギ」が発見され、林業として間伐したスギ林に、無花粉スギや少花粉スギの苗木を植えて、スギの人工林を花粉の出ないものに植え替える作業も行われています。
ただし、商業用の需要の低下や材木としての搬出が困難な場合によるコストの増加など、間伐されずに放置されているスギ林も多く、無花粉スギはあまり普及していないのが現状です。
スギの利用
スギの材は古来から「ヒノキ(檜)」と共に重要な木材として重宝されています。材は真っ直ぐ伸びることから、角材や板に加工されて使用されています。建築材として、主に日本家屋の柱材として利用されるほか、家具、器具、船舶、箸などに用いられます。スギ材は特有の芳香があり、風味を高めるために酒、味噌、醤油などを貯蔵する樽も作られています。
スギの樹皮は、造園用の資材や外壁、屋根(杉皮葺)などに利用されています。スギの葉は、日本酒の造り酒屋が「新酒ができた」ということを周囲に知らせる意味で軒先に吊す「杉玉」作りに使われています。また、葉を乾燥させて線香に用いることもあります。
スギの天然記念物
日本国内には樹齢数百年から数千年の天然記念物に指定されているスギがたくさんあり、その一部をご紹介します。
国の特別天然記念物
- 山形県鶴岡市の「羽黒山のスギ並木」
- 栃木県日光市の「日光スギ並木街道 附 並木寄進碑」
- 岐阜県郡上市の「石徹白の大スギ」
- 高知県長岡郡大豊町の「杉の大スギ」
- 鹿児島県熊毛郡屋久島町の「屋久島スギ原始林」
国の天然記念物
- 秋田県北秋田市の「桃洞・佐渡のスギ原生林」
- 山形県鶴岡市の「羽黒山の爺スギ」
- 山形県鶴岡市の「熊野神社の大スギ」
- 山形県鶴岡市の「山五十川の玉スギ」
- 福島県田村郡小野町の「諏訪神社の翁スギ媼スギ」
- 福島県二本松市の「杉沢の大スギ」
- 福島県二本松市の「木幡の大スギ」
- 茨城県高萩市の「安良川の爺スギ」
- 栃木県那須塩原市の「八幡宮の逆スギ」
- 群馬県安中市の「安中原市のスギ並木」
- 群馬県高崎市の「榛名神社の矢立スギ」
- 千葉県鴨川市の「清澄の大スギ」
- 神奈川県足柄上郡山北町の「中川の箒スギ」
- 新潟県東蒲原郡阿賀町の「将軍スギ」
- 新潟県上越市の「虫川の大スギ」
- 新潟県妙高市の「天神社の大スギ」
- 富山県下新川郡入善町の「杉沢の沢スギ」
- 石川県加賀市の「栢野の大スギ」
- 石川県加賀市の「八幡神社の大スギ」
- 石川県白山市の「御仏供スギ」
- 山梨県南都留郡富士河口湖町の「精進の大スギ」
- 長野県下伊那郡根羽村の「月瀬の大スギ」
- 岐阜県中津川市の「加子母のスギ」
- 岐阜県下呂市の「久津八幡神社の夫婦スギ」
- 岐阜県下呂市の「禅昌寺の大スギ」
- 岐阜県郡上市の「神ノ御杖スギ」
- 岐阜県加茂郡七宗町の「神渕神社の大スギ」
- 岐阜県高山市の「千光寺の五本スギ」
- 岐阜県加茂郡白川町の「大山の大スギ」
- 静岡県島田市の「智満寺の十本スギ」
- 愛知県豊田市の「杉本の貞観スギ」
- 奈良県宇陀市の「八ツ房スギ」
- 島根県隠岐郡隠岐の島町の「玉若酢命神社の八百スギ」
- 山口県周南市の「大玉スギ」
- 山口県山口市の「平川の大スギ」
- 高知県香南市の「天神の大スギ」
- 福岡県田川郡添田町の「英彦山の鬼スギ」
- 長崎県諫早市の「女夫木の大スギ」
- 熊本県阿蘇郡小国町の「阿弥陀スギ」
- 熊本県阿蘇郡南小国町の「金比羅スギ」
- 大分県由布市の「大杵社の大スギ」
- 宮崎県西諸県郡高原町の「狭野のスギ並木」
- 宮崎県東臼杵郡椎葉村の「八村スギ」
日本三大美林
国土の3分の2が森林である日本は世界でも有数の森林国で、美しい森の木を大切に保護しながら育成してきました。その中でもヒノキ・スギ・ヒバなどの木材は、古くから建築材や家具材などに使用されています。
そんな森林には、自然に造林された「天然林」と、木材を生産するために人の手で造られた「人工林」がありますが、特に美しく優れている森林を「日本三大美林」と呼んでいます。
天然の三大美林
- 青森県の「青森ヒバ」
- 秋田県の「秋田スギ」
- 長野県の「木曽ヒノキ」
人工の三大美林
- 静岡県の「天竜スギ」
- 三重県の「尾鷲ヒノキ」
- 奈良県の「吉野スギ」
スギの詳細情報
園芸分類 | 庭木 |
性質 | 常緑針葉高木 |
開花時期 | 3月〜4月 |
花色 | 褐色・緑色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 普通 |
スギの詳しい育て方
スギは日本原産の固有種で、青森県以南の本州、四国、九州の屋久島まで分布しています。主に山地に自生するほか、日本の樹木の中では最も広い面積に植林されています。全国各地で天然記念物に指定されたスギがあり、各自治体の木にも指定されています。また、地名を冠したブランドスギもたくさんあります。
スギの苗植え
苗植えは3月〜4月と9月〜10月頃が適期です。日陰でも育ちますが、日当たりが良い場所を好みます。用土は庭土に腐葉土を混ぜて植え付けたら、たっぷりと水やりをしましょう。
スギの水やり・肥料
鉢植えや、庭植えでも植えつけてから2年未満の株は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えましょう。庭植えで、植えつけてから2年以上経つ株は降雨だけで問題ありません。また、夏の暑い時期は乾燥しやすいので、たっぷりと水やりをしましょう。
肥料は、寒肥として2月に油かすを与えましょう。肥料は与えなくても育ちますが、与えたほうが良く育ちます。
スギの害虫や病気
害虫はスギドクガやスギノハダニ、カミキリムシなどが発生することがあります。害虫に食害されると株が弱ったり、観賞価値が下がってしまうため、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気は赤枯病、溝腐病などがあります。病気は糸状菌の一種で、放置すると変色した葉や枝に黒っぽいすす状の分生子をつくり、株が弱って枯れてしまいます。病気の部分は取り除き、薬剤を散布して防除しましょう。
スギの剪定
スギは成長が遅く、樹形はある程度自然に整いますが、いったん大きくすると小さくするのが難しいため、マメに手入れをして形を整えましょう。軽い剪定ならいつでも大丈夫ですが、枝を切り落とす剪定をする萌芽前の2月〜3月頃が適期です。
枝が込みすぎた場合は、内側に伸びた枝や混み合っている枝を間引いて風通しを良くしましょう。大きくしたくない場合は、幹を途中で止めて、定期的に刈り込みをしましょう。
スギの誕生花・花言葉
スギは「1月12日」「2月29日」「9月30日」の誕生花です。
スギの花言葉は「雄大」「堅固」「堅実」などがあります。
スギのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
ホームセンターなどで販売している造花やアーティフィシャルは、どうしても偽物とわかってしまい、観賞価値がありません。
グリーンピースのアーティフィシャルグリーンは、日本の職人が国内で作る業界最高のクオリティです。近くで見ても本物と見間違うほどの圧倒的クオリティで、景観や観賞価値を損ないません。
お好みの樹木をお好みの大きさにオーダーメイドも可能で、天然木を使ったMADE IN JAPANのアーティフィシャルグリーンは個人のご自宅をはじめ、さまざまな商業施設や有名施設でも採用され、多くの方に楽しまれています。実際の施工例などもご紹介しておりますので、ぜひ下のページも御覧ください。
スギのまとめ
スギの美しい樹林は日本三大美林に数えられ、全国に天然記念物に指定された巨木がたくさんあり、古くから主要な林業用の針葉樹としても重宝されています。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非スギを育ててみてはいかがでしょう!