タチバナ(橘)の植物図鑑と育て方をわかりやすく解説

タチバナの果実と葉

こちらでは、タチバナ(橘)の植物図鑑と育て方を私の経験を元にわかりやすく解説します。
造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
 あっちゃん
 あっちゃん
 
 

この記事の監修者

造園職人あっちゃんプロフィール

タチバナとは

タチバナの木

 

植物名   タチバナ


学 名   Citrus tachibana


和 名   橘


別 名   下に記載


英 名   Tachibana orange


科 名   ミカン科


属 名   ミカン属


 

アーティフィシャルグリーン【グリーンピース】

 

タチバナの特徴

タチバナの熟した果実

 

タチバナの木は樹高2m〜6m程になるミカン科の常緑小高木です。タチバナは日本に自生する唯一の野生ミカンです。

タチバナの葉は互生する単葉で、長さ3cm〜6cm程の楕円形になり、厚みと艶がある革質で、裏面に油点があり、葉柄にはごく狭い翼があり、葉縁は低い波状の鋸歯(きょし)があります。また、枝には小さなトゲがあります。

タチバナの花は、5月〜6月頃に開花します。枝先や葉腋に径2cm〜3cm程の白色の5弁花を1〜2輪、下向きに咲かせます。花には芳香があり、中央に雌しべが1本、多数ある雄しべは基部で合体して筒状になります。

タチバナの果実は球形で、直径2cm〜3cm程になります。果皮は滑らかで、11月〜12月頃に黄色に熟します。種子があり、酸味が強いため生食には向いていません。

 

タチバナの名前

タチバナという名前は、天皇の命により中国へ赴き、不老長寿の実を持ち帰ったというタジマモリ(多遅摩毛里または、田道間守)の名にちなむと言われています。ほかにも、花の香りが立つことによるという説や、冬でも実を付けて立つことによるという説もあります。日本固有種であることから「ニッポンタチバナ」や「ヤマトタチバナ」とも呼ばれています。

タチバナの近縁種である「コウライタチバナ」が、「タチバナ」という名称で園芸店で売られて、混同されていることがあります。コウライタチバナは、葉や実が本種より大きく、果皮が凸凹しているのが特徴です。

造園の世界では、「タチバナ」という場合、サクラソウ科の赤い実のなる「カラタチバナ(唐橘)」を指すことがあります。どちらも名前が似ていますが、全くの別種です。また、タチバナを小さくしたような実を付ける「タチバナモドキ」も庭木として用いられます。

本種と名前が似ている樹木に、同属の「カラタチ(枳殻)」があります。カラタチも別名「カラタチバナ」と呼ばれ、主に柑橘類の台木などに利用されています。こちらは近縁種ですが、本種はトゲがほとんどありませんが、カラタチには大きなトゲがたくさん出るため見分けることができます。

 
 

タチバナの天然記念物

野生のタチバナは環境省の定める絶滅危惧IA類に指定されていて、国内の自生地では数が減少しています。その中で、高知県土佐市にある甲原の松尾山の北東山腹には、タチバナが200本以上自生していて、現在も自然増殖が続いています。

群落中央の石灰岩の露岩地には、群落の始祖といわれる数本の古木があり、それらの子孫が周辺に拡がり、ここ100年足らずの間にこうした大群落が形成されたと言われています。これは国内唯一の大群落であり、この場所は「甲原松尾山のタチバナ群落」として、国の天然記念物に指定されています。

また、韓国の済州島と山口県萩市にのみ自生している、近縁種の「コウライタチバナ」があります。この品種が自生しているのはここだけで、「笠山コウライタチバナ自生地」として国の天然記念物に指定されています。

 
 

タチバナの文化

タチバナの果実は、一般的な「ウンシュウミカン(温州蜜柑)」などに似た外見をしていますが、酸味が強いため生食用には向かないことから、ジャムやマーマレード、果実酒、調味料などに加工して使われています。

タチバナは、日本固有種の柑橘類として、常緑樹であることから一年を通じて葉が緑色であることや、黄色い果実が比較的長い間、枝に残ることなどから繁栄を象徴する縁起の良い木とされ、万葉集、伊勢物語、源氏物語、枕草子といった古典にもしばしば登場し、この木に宿るとされるホトトギスは「橘鳥(たちばなどり)」の異名を持ちます。

京都御所紫宸殿の前庭には平安時代から「左近の桜」と共に「右近の橘」としてタチバナが植えられていて、右近衛府の官人が陳列する基準となっています。現代の紫宸殿には栽培品種が使われていて、原種よりも大きな果実が実ります。奈良時代には、その「右近の橘」を元明天皇が寵愛し、宮中に仕える県犬養橘三千代に、杯に浮かぶ橘とともに橘宿禰の姓を下賜し橘氏が生まれたと言われています。

 

タチバナの家紋

橘紋(たちばなもん)は、タチバナの実と葉を図案化した家紋です。文様としては平安時代末期頃に現れ、江戸時代には90家余りの旗本が用いて、蔦紋や桐紋などとともに十大家紋の一つに挙げられています。元明天皇が、葛城王に橘姓を下賜したことにちなみ橘系の氏族や橘氏の後裔を称する家、武家の井伊氏、黒田氏などが家紋として用いています。

 

タチバナの詳細情報

園芸分類庭木・果樹
性質常緑小高木
開花時期5月〜6月
花色白色
栽培難易度
耐寒性弱い
耐暑性強い
耐陰性弱い
 
 

タチバナの詳しい育て方

タチバナの収穫

タチバナは日本の固有種で、伊豆半島以西の本州、四国、九州、沖縄県に分布しています。奈良、平安時代には普通に自生していましたが、現代では海岸沿いの山地や樹林内に自生し、静岡県沼津市戸田地区が国内北限の自生地とされ、野生のものは数を減らしています。園芸品種は庭木として植栽されています。

 

タチバナの苗植え

タチバナは耐寒性が弱いため、関東以南の暖かい地域であれば露地栽培が可能です。庭植えの場合は、冬は敷きワラなどのマルチングを行って寒風に当たらないようにしましょう。鉢植えの場合は、季節や天候などによって鉢を移動させましょう。

苗植えの適期は3月〜4月頃です。日当たりが良く、強い風や西日の当たらない場所が適しています。

用土は水はけのよい土が適していますので、庭植えの場合は掘り起こした土に腐葉土をたっぷり混ぜましょう。鉢植えの場合は市販の果樹用の培養土を使い、植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。また、根付くまでは支柱を添えて支えてあげましょう。鉢植えの場合は、2年に1回、根詰まり対策として一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。

 

タチバナの水やり・肥料

庭植えの場合は根付いたら降雨だけで問題ありませんが、乾燥が続くようであれば水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土が乾燥したら、たっぷりと水やりをしましょう。

肥料は3月、6月、11月の年3回、油かすなどの有機肥料を与えましょう。

 

タチバナの害虫や病気

害虫はアブラムシ、ハダニ、カイガラムシ、アゲハチョウの幼虫が発生することがあります。葉を食害しますので、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。

病気はカビによるソウカ病、細菌によるカイヨウ病、黒点病などがあります。感染すると葉や果実に病斑ができて株が弱ってしまいます。発病した箇所を切り取り、薬剤散布で防除しましょう。

 

タチバナの剪定

タチバナの剪定の適期は3月〜4月頃です。苗木を植えてから2〜3年かけて樹形を作ります。樹形を整える剪定は、苗木を植えてから3〜4年経ってからにしましょう。それまでは、枝先を切り戻す程度にしましょう。

3〜4年目以降の整った木の剪定は、混み合っている枝や枯れ枝を切り取り、風通しと日当たりを良くしましょう。タチバナは昨年伸びた枝先に花を咲かせて結実するので、昨年伸びた枝は残して、それ以前の枝を落としてスッキリさせましょう。

 

タチバナの摘果

タチバナを植え付けてから3年程度は、株を強くするために全ての実を摘果して、株を弱らせないようにしましょう。3年以上経った株で、果実がたくさん実っている場合は、数を減らしてあげることで栄養が行き渡り、味や香りが強くなります。

タチバナは夏頃に果実が膨らみ始めます。そのときに小さいもの、傷ついたもの、形の悪いものを間引いて摘み取りましょう。葉っぱ100枚に果実が1個が目安で、最も色艶が良い実を選んで残しましょう。

 
 

タチバナの収穫

タチバナの収穫時期は11月〜12月頃です。黄色く熟した果実を収穫しましょう。収穫方法は、実を落とさないようにしっかりと持って、茎を少し長めに切りましょう。果実は酸味が強いため、生食には向いていませんが、ジャムやマーマレード、果実酒などに加工して美味しく食べられます。

 

グリーンライフイノベーションの画像1

 

タチバナの誕生木・誕生花・花言葉

タチバナの花

 

タチバナは「4月29日」の誕生木です。

タチバナは「5月1日」の誕生花です。

タチバナの花言葉は「追憶」「不老不死」です。

 

タチバナのアーティフィシャルグリーン

タチバナの果実
 
みなさん、アーティフィシャルグリーンをご存知でしょうか?
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
 あっちゃん
 あっちゃん
 

本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。

こんなメリットが!

  • 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
  • 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
  • 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
  • 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
  • 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
 

ホームセンターなどで販売している造花やアーティフィシャルは、どうしても偽物とわかってしまい、観賞価値がありません。

 
これはもう本物です!

グリーンピースのアーティフィシャルグリーンは、日本の職人が国内で作る業界最高のクオリティです。近くで見ても本物と見間違うほどの圧倒的クオリティで、景観や観賞価値を損ないません。

 

お好みの樹木をお好みの大きさにオーダーメイドも可能で、天然木を使ったMADE IN JAPANのアーティフィシャルグリーンは個人のご自宅をはじめ、さまざまな商業施設や有名施設でも採用され、多くの方に楽しまれています。実際の施工例などもご紹介しておりますので、ぜひ下のページも御覧ください。

 
 

タチバナのまとめ

タチバナの果実と葉

タチバナはいかがでしたか?
タチバナは、日本に自生する唯一の野生ミカンで、古くから親しまれ、万葉集、伊勢物語、源氏物語、枕草子といった古典にも登場し、家紋にも用いられています。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非タチバナを育ててみてはいかがでしょう!
 あっちゃん
 あっちゃん