造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ヤマモミジとは
植物名 ヤマモミジ
学 名 Acer palmatum var.matsumurae
和 名 山紅葉
別 名 ホンドウジカエデ / ヒロハネヤマモミジ
英 名 Japanese maple
科 名 ムクロジ科
属 名 カエデ属
ヤマモミジの特徴
ヤマモミジは樹高5m〜10m程になるムクロジ科の落葉高木です。日本では5月〜6月頃に開花します。
ヤマモミジの樹皮は淡い灰褐色で、若木では滑らかですが、成長すると縦に筋が入ります。一年枝は細く、緑色や紅紫色で、日光が当たる側が赤く、日影側が緑色になる傾向があります。
ヤマモミジの葉は対生し、径5cm~10cm程で掌状に7~9裂して、先端は長く尾状に伸びます。縁には鋭く不揃いな重鋸歯(じゅうきょし)があります。また、環境や個体によって異なりますが、秋になると黄色、オレンジ色、赤色に色付きます。
ヤマモミジの花は雌雄同株で、若葉の芽生えと同じ頃に、本年枝の先に複散房花序を出して、雄花と両性花を付けます。花は紅紫色で径4mm〜6mm程になり、花弁と萼は5枚あり、8本の雄しべがあります。両性花には扁平した子房と短い翼があり、細毛で覆われています。
ヤマモミジの果実は翼果で、長さ2cm程でプロペラ状の翼があり、秋頃に熟すと風に乗って飛んでいきます。
ヤマモミジの名前
ヤマモミジとは、イロハモミジ(オオモミジ)の変種・亜種と言われています。盆栽の世界では、イロハモミジを「ヤマモミジ」と呼ぶことがありますが、本来は別の樹木と考えられています。
一般的に「モミジ」という場合は、本種ヤマモミジか、「イロハモミジ(伊呂波紅葉)」を示すことが多く、「紅葉狩り(もみじがり)」という場合は、野山に出かけて紅葉する樹木全般を楽しむことを示します。
また、「カエデ」とは、葉の形がカエルの手の形に似ていることから「蛙手」の意味で名付けられました。葉の切れ込みが深いものを「モミジ」、葉の切れ込みが浅いものを「カエデ」と呼び分けることもあります。
ヤマモミジの近縁種
ヤマモミジは、同属のイロハモミジとよく似ていますが、本種ヤマモミジの方が葉が大きくなります。どちらも葉の縁には鋭く不揃いな重鋸歯(じゅうきょし)がありますが、同じく近縁種の「オオモミジ(大紅葉)」は単鋸歯(たんきょし)で、さらに葉が大きくなるため見分ける事ができます。
ヤマモミジの園芸品種で、枝葉が緑色で、枝が垂れて、葉っぱの切れ込みが大きく、薄く細かい裂片が特徴の「アオシダレ(青枝垂れ)」があります。同じく枝垂れる枝と、薄く細かい裂片の葉を持ち、春に出る新葉の頃から紅色の葉が特徴の「ベニシダレ(紅枝垂れ)」もあります。
ただし、モミジは変種や園芸品種が多く、葉は色や大きさに個体差があるため、見分けるのが難しいこともあります。
天然記念物のヤマモミジ
日本国内には樹齢数百年以上の天然記念物に指定されているヤマモミジがたくさんあり、その一部をご紹介します。
国指定の天然記念物
- 福井県小浜市の「万徳寺のヤマモミジ」
- 岐阜県美濃市の「楓谷のヤマモミジ樹林」
県指定の天然記念物
- 石川県輪島市の「西慶寺のヤマモミジ」
- 埼玉県比企郡小川町の「下里の大モミジ」
- 静岡県伊豆市の「益山寺の大モミジ」
ヤマモミジの詳細情報
園芸分類 | 庭木・盆栽 |
性質 | 落葉高木 |
開花時期 | 5月〜6月 |
花色 | 紅紫色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | やや弱い |
ヤマモミジの詳しい育て方
ヤマモミジは日本の原産で、国内では北海道、本州の青森県から島根県の日本海側に分布しています。近縁種のイロハモミジと共に、秋の紅葉が見事で、古くから観賞用として庭木や盆栽などで楽しまれています。
ヤマモミジの植え付け
植え付けは落葉期の12月〜翌3月頃が適期です。日当たりが良い場所を好みますが、西日が当たると葉っぱが乾燥して傷んでしまうため、乾燥する場所は避けましょう。また、昼と夜の寒暖差が大きい程、綺麗に紅葉すると言われています。
庭植えの場合は、鉢より大きな穴を掘り、鉢植えの場合は鉢より大きい鉢を用意して、用土は赤玉土に腐葉土や堆肥をたっぷり混ぜて、植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。
ヤマモミジの水やり・肥料
植え付けてから1年程は、土が乾燥したら水やりをしましょう。根付いてからは降雨でも問題ありませんが、株元の乾燥に弱いため、夏の高温で乾燥しやすい時期は水やりをしましょう。また、直射日光に当たると葉っぱが傷みやすいので、葉っぱにも水を掛けてあげましょう。
肥料は必ずしも必要としませんが、元気がないようであれば、落葉した12月頃に緩効性化成肥料を株元に与えましょう。
ヤマモミジの害虫・病気
害虫はアブラムシ、テッポウムシ、コウモリガなどが発生することがあります。テッポウムシは幹を食害します。木の根元にオガクズが落ちていたら、穴を探して薬剤を注入して早めに駆除しましょう。
病気はうどんこ病、すす病があります。葉に粉をまぶしたように白くなる病気です。はじめはポツポツと白く粉をふいているように見えますが、悪化すると葉の全体が真っ白になり、葉にカビが生えたようになってしまいます。見つけたら早めに葉を取り除き、殺菌剤を散布して被害を食い止めましょう。
ヤマモミジの剪定
ヤマモミジは自然樹形を楽しむ樹木であり、強めの剪定を好まず、大きく成長したヤマモミジの自然樹形を維持した剪定は難しいかもしれません。
剪定は12月〜翌2月頃の落葉期が適期です。徒長枝や混み合っている枝、枯れ枝をを切り取り、樹形を整えましょう。太い枝も切れますが、樹木にダメージがあるため、細いうちに残す枝を決めて、将来的な樹形をイメージして整えましょう。
ヤマモミジの誕生木・誕生花・花言葉
ベニシダレ(紅枝垂れ)は「5月31日」の誕生木です。
モミジは「10月3日」「10月25日」「11月10日」の誕生花です。
モミジの花言葉は「調和」「遠慮」「自制」「謹慎」「隠退」「保存」「大切な思い出」「美しい変化」などがあります。
ヤマモミジのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
ホームセンターなどで販売している造花やアーティフィシャルは、どうしても偽物とわかってしまい、観賞価値がありません。
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ヤマモミジのまとめ
ヤマモミジは、ほかのモミジと共に日本の秋を象徴する樹木として、色鮮やかに変化する紅葉が美しく、古くから庭木などに植栽される樹木です。
育てるのは慣れてしまえば、比較的難しくはないので、みなさんも是非ヤマモミジを育ててみてはいかがでしょう!