造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ナナカマドとは
植物名 ナナカマド
学 名 Sorbus commixta
和 名 七竈 / 花楸樹
別 名 山南天(ヤマナンテン)
英 名 Japanese Rowan
科 名 バラ科
属 名 ナナカマド属
ナナカマドの特徴
ナナカマドの木は樹高10m程になるバラ科の落葉高木です。日本では5月〜7月にかけて、白い小花を咲かせます。
ナナカマドの樹皮は平滑で、サクラに似て横長の細長い皮目があります。若木の樹皮は褐色~淡褐色で、皮目以外は滑らかですが、成長すると灰褐色になり、老木では縦に浅く裂けるようになります。
ナナカマドの花は、枝先に大きな複散房花序を出して、たくさんの小花を密集させます。花径は7mm〜10mm程の5花弁で、ハナアブや蜂がよく蜜を吸いに集まります。
ナナカマドの葉は、小葉が4〜8対からなる、互生する奇数羽状複葉で、小葉は長さ3cm~10cm程の披針形で、縁には鋸歯(きょし)があり、まれに重鋸歯もあります。秋になると鮮やかに紅葉します。
ナナカマドの果実は、径6mm〜8mmの球形で枝先に密集して実ります。熟すまでに時間がかかり、落葉した後も真っ赤な果実は枝に残ります。この果実は鳥類が好んで食べます。
ナナカマドの利用
北海道など一部の地域では、ナナカマドの果実を使ったジャムやマーマレードの製造が行われ、食用とされています。また、ナナカマドの実を使った果実酒もあります。
北海道の白石区をはじめ、道内の多くの市町村や、青森県、秋田県、山形県、福島県の各市町村ではナナカマドがシンボルの木に指定されていて、街路樹や公園、庭木などでもよく見かけます。
ナナカマドの名前の由来
樹木名「ナナカマド(七竈)」は、7回竈(かまど)に入れても燃え尽きないということから付けられたという説があります。
ナナカマドの果実が「ナンテン(南天)」に似ていることから、「ヤマナンテン(山南天)」という別名もあります。
世界に1本のナナカマド
山形県上山市には「でわのはごろもななかまど」という名称で親しまれる「リクチュウナナカマド」というナナカマドの仲間があります。この木は、県指定文化財の天然記念物に指定されていて、自然生の株としては世界で唯一株の貴重な樹木であるとされています。
ナナカマドの品種
ナナカマドはいろいろな品種があり、盆栽や生花としても楽しまれています。
ウラジロナナカマド(裏白七竈)
ナナカマドよりも葉の裏が白身を帯びた品種です。
サビバナナカマド(錆葉七竈)
主に東北地方から近畿地方にかけて分布しています。葉の裏や花序、萼などに褐色の毛があり、錆びているように見える品種です。
ナンキンナナカマド(南京七竈)
ナナカマドよりも樹高が低く、1m〜3m程の品種です。
ツシマナナカマド(対馬七竈)
主に北陸地方から山陰地方と対馬に分布しています。ナナカマドよりも小葉が4〜6対と少なく、幅広の長楕円形です。
タカネナナカマド(高峰七竈)
主に北海道から本州中部以北に分布しています。ナナカマドよりも枝が細く、樹高が低い品種で、小葉が3〜5対と少なく、花は赤みのある白色になります。
ミヤマナナカマド(深山七竈)
タカネナナカマドの変種で、花序がほとんど下垂せず、果実もやや小さいことが特徴の品種です。
セイヨウナナカマド(西洋七竈)
ヨーロッパ原産で、魔除けとし、神秘の力が宿るとされています。また、燃えにくい性質から「火除けの木」として縁起木とされています。
ナナカマドの詳細情報
園芸分類 | 庭木・盆栽・切り花 |
性質 | 落葉高木 |
開花時期 | 5月〜7月 |
花色 | 白色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
耐陰性 | やや弱い |
ナナカマドの詳しい育て方
ナナカマドの原産は、日本、サハリン、朝鮮半島で、国内では北海道、本州、四国、九州の山地〜亜高山帯に分布しています。
ナナカマドは寒冷地や温暖差がある地域の方がキレイに紅葉します。
ナナカマドの種まき
熟した果実を採取し、水洗いで果肉を取り除き、そのまま種まきをするか、保存する場合は湿らせたままジップロックなどに密封し冷蔵庫で保管し、春頃に種まきをします。
赤玉土に腐葉土を混ぜたものに種をまき、土が乾かないように水やりをしましょう。発芽までは環境によりますが、1年〜2年程かかります。発芽したら日当たりの良い場所で、土が乾燥したら水やりをしましょう。
発芽から実を付けるまで5年〜10年程かかるので、苗木から育てた方が簡単です。
ナナカマドの苗植え
苗の植え付けは、11月〜翌3月頃が適期です。日当たりが良く風通しの良い場所に、根鉢の2〜3倍程の植穴を掘り、土に腐葉土や堆肥を混ぜ込んで、植え付けたらたっぷり水やりをしましょう。
ナナカマドの水やり・肥料
地植えの場合、降雨で問題ありませんが、夏場の乾燥に弱いので、すごく乾燥していたら水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土が乾燥したら水やりをしましょう。
痩せた土地でも育つほど丈夫なので、植え付けた時に腐葉土や堆肥を混ぜておけば、追肥を与える必要はありません。
ナナカマドの害虫や病気
害虫はアブラムシ、ハマキムシ、テッポウムシなどが発生することがあります。食害で栄養を吸われてしまうと葉が丸まることがあります。害虫を見つけた時はすぐに取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気はうどんこ病、黒斑病があります。うどん粉をまぶしたように葉茎が白くなった病気の葉は全て取り除き、根の回りに殺菌剤を散布して被害を食い止めましょう。
ナナカマドの剪定
剪定は11月〜翌3月頃の葉が落葉した時期に行いましょう。自然樹形がキレイなので、枯れた枝や混み合っている枝を間引く程度で大丈夫です。
ナナカマドは、切り口がふさがりにくいので、太めの枝を切った時は、切り口に癒合剤(ゆごうざい)を塗布して保護しましょう。
ナナカマドの誕生木・誕生花・花言葉
ナナカマドは「10月12日」の誕生木です。
ナナカマドは「1月27日」「11月13日」「11月18日」の誕生花です。
ナナカマドの花言葉は「慎重」「賢明」「用心」「安心」です。
花言葉の由来は「雷神トールが大洪水で流されて溺れかけた時、ナナカマドの木に捕まって命拾いした。」という説や「船を作る時はナナカマドの板を一枚どこかに用いると、水難に会わなくなる」という説、「ナナカマドの枝で十字架を作り、家畜小屋の戸口にかけて魔除けにした。」といったヨーロッパのエピソードが由来と言われています。
ナナカマドのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
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ナナカマドのまとめ
ナナカマドは純白のすごく綺麗な花が咲きます。秋の紅葉や赤い実が美しく、またいろいろな品種があり、北国でよく見られる樹木です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非ナナカマドを育ててみてはいかがでしょう!