造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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シキミとは
植物名 シキミ
学 名 Illicium anisatum
和 名 樒
別 名 下に記載
英 名 Japanese star anise
科 名 マツブサ科
属 名 シキミ属
シキミの特徴
シキミは樹高2m〜7m程になるマツブサ科の常緑小高木です。日本では3月〜5月頃に花を咲かせます。
シキミは生育環境によって10m以上の高木になるものもあります。樹皮は滑らかな灰黒褐色で、若枝は緑色をしています。
シキミの花は、葉腋に径3cm程の花が単生し、光沢のある淡黄色の花被片が16~24枚あり、波状によじれます。雄しべは多数が螺旋状に並び、雌しべは8本程が輪生します。
シキミの葉は互生する単葉で、枝の上部に集まって付き、長さ5cm~15cm、幅2cm~4cm程の長楕円形~倒披針形で、葉脈は薄く、光沢がある革質で、ちぎると抹香の匂いがします。
シキミの果実は、8個程の袋果が合着して、径2cm~3cm程の扁平な八角形から星形になります。10月頃に熟すと弾けて種子を飛ばします。種子は長さ5mm〜8mm程の楕円形で、光沢のある茶褐色です。
シキミの毒性
シキミは、葉や茎、根、花、果実、種子など木全体が有毒です。毒成分は、神経毒であるアニサチンや、ネオアニサチンなどが含まれています。
特に果実と種子は毒性が強く、中毒症状としては、嘔吐、腹痛、下痢、痙攣、意識障害などがあり、昏睡状態を経て死亡する可能性があります。
日本に有毒植物は数多く存在しますが、シキミの果実は植物としては唯一、毒物及び劇物取締法により、毒物に指定されています。
本種と同じシキミ属の植物である「トウシキミ(唐樒)」(日本には自生していません)は毒成分を含まず、トウシキミの果実は「八角(ハッカク)」や、「大茴香(ダイウイキョウ)」と呼ばれる中華料理などのスパイスや生薬として利用されています。
シキミの果実は形態的に、トウシキミの果実に似ているため、間違って料理に使用して食べてしまう事故がありますが、シキミの果実は猛毒ですので、絶対に食べないように注意してください。
シキミとトウシキミの見分け方は、シキミの花は花被片が細長く、淡黄色で、果実は扁平な八角形から星形になり、抹香の匂いがします。
それに対して、トウシキミの花は赤やピンクの球形で、果実は先端が尖る星形になり、甘い香りがあります。
シキミの利用
シキミの葉や樹皮には香りがあり、これらを乾燥させたものが線香(抹香)の原料に使用されています。
シキミは、仏事・神事に広く利用されたり、枝葉は仏前や墓前に供えられたり、門松に使われることもあります。また、シキミは仏事に使われ、「サカキ(榊)」は神事に使われるとも言われています。
シキミの材は緻密で割れにくく、ろくろ細工、寄木細工、象嵌、傘の柄、数珠、樽などさまざまな用途で用いられ、木炭や薪にも使われています。
シキミの名前
和名の「シキミ」の語源については諸説ありますが、四季を通して美しいことから「四季美」という説があります。また、有毒植物であり、猛毒な果実を持つことから「悪しき実」とする説や、香りが強いことから「臭き実」とする説などもあります。
シキミには別名が多く存在し、精油を含み枝葉を切ると香気が漂うため「コウノキ」や「コウノハナ」、「コウシバ」といったものや、抹香の原料となるため「マッコウ」や「マッコウギ」、「マッコウノキ」とも呼ばれています。
ほかにも、墓や仏に供えられることが多いため、「ハナノキ(花木)」「ハバナ(葉花)」「ハカバナ(墓花)」「ブツゼンソウ(仏前草)」「ホトケバナ(仏花)」などの呼び名もあります。
また、シキミは別名「ハナノキ」と呼ばれていて、カエデの仲間に「ハナノキ(花の木)」という樹木がありますが、本種シキミはマツブサ科で、ハナノキはムクロジ科ですので、全く別種の樹木です。
シキミとミヤマシキミ
本種と同じ名前を持つ、「ミヤマシキミ(深山樒)」という樹木は、深い山中に生え、葉の様子が「シキミ(樒)」に似ていることから名付けられたと言われていますが、本種の方が葉が小さく、花や実も全く異なり、基本的には似ていません。また、ミヤマシキミはミカン科の植物でなので、全くの別種の植物です。
シキミの詳細情報
園芸分類 | 庭木 |
性質 | 常緑小高木 |
開花時期 | 3月〜5月 |
花色 | 淡黄色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | 強い |
シキミの詳しい育て方
シキミは日本、韓国が原産で、国内では宮城県及び石川県以西の本州、四国、九州、沖縄県の山林内に分布しています。主に仏事・神事などの商用として栽培されたり、庭木や寺社、墓地にもよく植栽されています。
シキミの苗植え
苗植えは3月〜4月と、9月〜10月頃が適期です。乾燥に弱く、強い直射日光も苦手なので、半日陰が適しています。用土は水持ちの良い土が適していますので、赤玉土に腐葉土を混ぜたものか、市販の花の培養土を使って、植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。
シキミの水やり・肥料
庭植えの場合は根付いたら降雨だけで問題ありませんが、乾燥が続くようであれば水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土が乾燥したら、たっぷりと水やりをしましょう。
肥料は寒肥として2月頃と、お礼肥として花後の6月頃に、油かすを土にすき込みましょう。
シキミの害虫や病気
害虫はシキミグンバイ、カイガラムシ、シキミタマバエ、アブラムシ、ハマキガなどが発生することがあります。害虫が枝葉を食害し、吸汁します。食害されると株が弱ってしまうので、見つけたら早めに取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気は、炭疽病、すす病などがあります。害虫の排泄物が原因で病気になることがあるので、害虫対策をして、病気にかかった部分は切り取り、薬剤散布で防除しましょう。
シキミの剪定
シキミは芽吹く力が強く、強い剪定にも耐えますが、基本的に樹形は乱れず、自然とまとまるので、定期的な剪定は必要ありません。
枝が混みあって、風通しが悪くなっている場合は、重なり合っている枝を切り落として木の中まで風と日射しが入るようにする「透かし剪定」を行いましょう。剪定は、花が咲き終えた6月頃が適期です。
シキミの花言葉
シキミの花言葉は「援助」「猛毒」「甘い誘惑」です。
「猛毒」や、「甘い誘惑」の花言葉は、シキミが可愛らしい花を咲かせる反面、木全体(特に果実)には強い毒があることから付けられたと言われています。
シキミのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
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シキミのまとめ
シキミは木全体に毒成分があり、枝葉には香気があるため、邪気が近寄らないと考えられ、仏事・神事などに用いられる神聖な樹木です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非シキミを育ててみてはいかがでしょう!