造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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イロハモミジとは
植物名 イロハモミジ
学 名 Acer palmatum
和 名 伊呂波紅葉
別 名 伊呂波楓(イロハカエデ) / 高雄楓(タカオカエデ) / モミジ
英 名 Japanese maple
科 名 ムクロジ科
属 名 カエデ属
イロハモミジの特徴
イロハモミジは樹高10m〜15m程になるムクロジ科の落葉高木です。日本では4月〜5月頃に開花します。
イロハモミジの樹皮は淡い灰褐色で、若木では滑らかですが、成長すると縦に筋が入ります。一年枝は細く、緑色や紅紫色で、日光が当たる側が赤く、日影側が緑色になる傾向があります。
イロハモミジの葉は対生し、長さ3cm~6cm、幅3cm~6cm程の掌状に深く5~7裂して、先端は長く尾状に伸びます。縁には鋭く不揃いな重鋸歯(じゅうきょし)があります。また、環境や個体によって異なりますが、秋になると黄色、オレンジ色、赤色に色付きます。
イロハモミジの花は雌雄同株で、若葉の芽生えと同じ頃に、本年枝の先に複散房花序を出して、雄花と両性花を付けます。花は紅紫色で径4mm〜6mm程になり、花弁と萼は5枚あり、長い8本の雄しべがあります。両性花には扁平した子房と退化した小さな雄しべがあります。
イロハモミジの果実は翼果で、長さ1cm〜1.5cm程で2個づつ付き、それぞれにプロペラ状の翼があり、秋頃に熟すと風に乗って飛んでいきます。
イロハモミジの冬芽は、枝先に仮頂芽を2個づつ付けて、枝に対生して側芽を付けます。冬芽の芽鱗は8枚で、外側の2枚が小さく、冬芽基部に毛や膜質の鱗片がありますが、ない場合もあります。
イロハモミジの名前
イロハモミジの名前は、5〜7つに裂けた葉の裂片を「いろはにほへと」と数えたことに由来します。別名として「伊呂波楓(イロハカエデ)」、「高雄楓(タカオカエデ)」、「高雄紅葉(タカオモミジ)」、「朝鮮山紅葉(チョウセンヤマモミジ)」とも呼ばれています。
タカオカエデ(タカオモミジ)とは、本種を含めた紅葉の名所として知られる、京都西北部の高雄山に由来します。また、「カエデ」とは、葉の形がカエルの手の形に似ていることから「蛙手」の意味で名付けられました。葉の切れ込みが深いものを「モミジ」、葉の切れ込みが浅いものを「カエデ」と呼び分けることもあります。
一般的に「モミジ」という場合は、本種イロハモミジか、「ヤマモミジ(山紅葉)」を示すことが多く、「紅葉狩り(もみじがり)」という場合は、野山に出かけて紅葉する樹木全般を楽しむことを示します。
盆栽の世界では、本種イロハモミジを「ヤマモミジ」と呼ぶことがありますが、ヤマモミジとは、イロハモミジ(オオモミジ)の変種・亜種と言われていて、別の樹木と考えられています。また、イロハモミジには様々な変種があり、江戸末期から明治初期にかけて数多くの園芸品種が作出されています。
イロハモミジと似ている樹木
イロハモミジは、同属のヤマモミジとよく似ていますが、本種イロハモミジの方が葉が小さくなります。どちらも葉の縁には鋭く不揃いな重鋸歯(じゅうきょし)がありますが、同じく近縁種の「オオモミジ(大紅葉)」は単鋸歯(たんきょし)で、ヤマモミジよりも葉が大きくなるため見分ける事ができます。
イロハモミジの園芸品種に、「ノムラモミジ(濃紫紅葉)」があります。こちらはオオモミジの変種という説もあります。特徴としては、春先から秋頃まで、やや紫がかった紅色の葉を付け、秋には紅葉せず、色褪せますが、生育環境により葉色は変わります。
ただし、モミジは変種や園芸品種が多く、葉は色や大きさなど、個体差があるため、見分けるのが難しいこともあります。
天然記念物のイロハモミジ
日本国内には樹齢数百年以上の天然記念物に指定されているイロハモミジがたくさんあり、その一部をご紹介します。
国指定の天然記念物
- 福島県いわき市の「中釜戸のシダレモミジ」
府・県指定の天然記念物
- 宮城県仙台市の「賀茂神社のイロハモミジ」
- 栃木県芳賀郡茂木町の「小貫のイロハモミジ」
- 富山県高岡市の「運源寺の大カエデ」
- 石川県輪島市の「西慶寺のヤマモミジ」
- 埼玉県大里郡寄居町の「正龍寺玉垂の楓」
- 埼玉県秩父郡横瀬町の「西善寺のコミネカエデ」
- 山梨県南巨摩郡身延町の「樋之上のタカオモミジ」
- 静岡県伊豆市の「益山寺の大カエデ」
- 岐阜県郡上市の「領家のモミジ」
- 大阪府河内長野市の「延命寺の夕照の楓」
- 広島県安芸高田市の「唯称庵跡のカエデ林」
- 長崎県松浦市の「福寿寺のイロハモミジ」
- 福岡県糸島市の「雷山千如寺大悲王院の紅葉」
- 福岡県糸島市の「白糸の滝の大カエデ」
イロハモミジの詳細情報
園芸分類 | 庭木・盆栽 |
性質 | 落葉高木 |
開花時期 | 4月〜5月 |
花色 | 紅紫色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | やや弱い |
イロハモミジの詳しい育て方
イロハモミジは日本、中国、朝鮮、台湾の原産で、国内では福島県以南の本州、四国、九州に分布しています。山地から平地にかけて広く自生しています。秋の紅葉が見事で、各地に名所があり、古くから公園や庭園、寺社の境内、庭木としてもよく植栽されています。
イロハモミジの植え付け
植え付けは落葉期の12月〜翌3月頃が適期です。日当たりが良い場所を好みますが、西日が当たると葉っぱが乾燥して傷んでしまうため、乾燥する場所は避けましょう。また、昼と夜の寒暖差が大きい程、綺麗に紅葉すると言われています。
庭植えの場合は、鉢より大きな穴を掘り、鉢植えの場合は鉢より大きい鉢を用意して、用土は赤玉土に腐葉土や堆肥をたっぷり混ぜて、植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。
イロハモミジの水やり・肥料
植え付けてから1年程は、土が乾燥したら水やりをしましょう。根付いてからは降雨でも問題ありませんが、株元の乾燥に弱いため、夏の高温で乾燥しやすい時期は水やりをしましょう。また、直射日光に当たると葉っぱが傷みやすいので、葉っぱにも水を掛けてあげましょう。
肥料は必ずしも必要としませんが、元気がないようであれば、落葉した12月頃に緩効性化成肥料を株元に与えましょう。
イロハモミジの害虫・病気
害虫はアブラムシ、テッポウムシ、コウモリガなどが発生することがあります。テッポウムシは幹を食害します。木の根元にオガクズが落ちていたら、穴を探して薬剤を注入して早めに駆除しましょう。
病気はうどんこ病、すす病があります。葉に粉をまぶしたように白くなる病気です。はじめはポツポツと白く粉をふいているように見えますが、悪化すると葉の全体が真っ白になり、葉にカビが生えたようになってしまいます。見つけたら早めに葉を取り除き、殺菌剤を散布して被害を食い止めましょう。
イロハモミジの剪定
イロハモミジは自然樹形を楽しむ樹木であり、強めの剪定を好まず、大きく成長したイロハモミジの自然樹形を維持した剪定は難しいかもしれません。
剪定は12月〜翌2月頃の落葉期が適期です。徒長枝や混み合っている枝、枯れ枝をを切り取り、樹形を整えましょう。太い枝も切れますが、樹木にダメージがあるため、細いうちに残す枝を決めて、将来的な樹形をイメージして整えましょう。
イロハモミジを垣根として使うケースもありますが、成長が早く、すぐに形が乱れてしまい、樹形の維持管理が難しいため、オススメはしません。
イロハモミジの誕生木・誕生花・花言葉
ノムラモミジ(イロハモミジの園芸品種)は「4月21日」の誕生木です。
イロハモミジは「11月1日」の誕生木です。
イロハモミジは「10月3日」「10月25日」「11月10日」の誕生花です。
イロハモミジの花言葉は「調和」「遠慮」「自制」「謹慎」「隠退」「保存」「大切な思い出」「美しい変化」などがあります。
イロハモミジのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
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イロハモミジのまとめ
イロハモミジは、色鮮やかに変化する紅葉が美しく、日本の秋を象徴するような樹木として、古くから庭木などに用いられる人気の樹木です。
育てるのは慣れてしまえば、比較的難しくはないので、みなさんも是非イロハモミジを育ててみてはいかがでしょう!