造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ギョウジャニンニクとは
植物名 ギョウジャニンニク
学 名 Allium victorialis subsp. platyphyllum
和 名 行者大蒜
別 名 下に記載
英 名 Alpine leek
科 名 ヒガンバナ科
属 名 ネギ属
ギョウジャニンニクの特徴
ギョウジャニンニクは草丈40cm〜60cm程になるヒガンバナ科の多年草です。山地で見かける野草ですが、鱗茎や若葉を山菜または野菜として食用とします。
ギョウジャニンニクは地下に、径4cm〜5cm程の鱗茎を持ち、鱗茎は披針形で、網目状の繊維からなる外皮に包まれ、下部にひげ根があります。
ギョウジャニンニクの葉は根生して、長さ20cm〜30cm程の長楕円形の葉を1〜3枚付けます。葉身はやや肉質で深緑色になり、基部は赤茶色を帯びて、鞘となって花茎を包みます。
ギョウジャニンニクは6月〜7月頃に、花茎の先端に散形花序を付けます。花は白色で、花弁は6枚あります。多数の花が付いて全体が球形となります。
ギョウジャニンニクの果実は蒴果で、種子は黒色の球形で、種皮は滑らかで光沢があります。
ギョウジャニンニクの名前
ギョウジャニンニクという名前は、「ニンニク(大蒜)」のような強い香りと、山に籠もる修験道の行者がこれを食べて体力を保持したから、または、これを食べると滋養が付きすぎて修行にならないため、食べることを禁じられたからという説があります。
ギョウジャニンニクをアイヌ語では「キト」や「プクサ」と呼び、重要な位置を占める食料とされています。このことから北海道では本種を俗に「アイヌネギ」と呼ぶこともあります。
ほかにも、「キトビロ」「ヤマビル」「ウシビル」「アララギ」「エゾネギ」「ヤマニンニク」「エイザンニンニク」「テンダイニンニク」などの別名があり、キトビロ(キトビル)がさらになまって、「ヒトビロ」「ヒトビル」というような発音になることもあります。
ギョウジャニンニクと似ている有毒植物
ギョウジャニンニクは「ネギ(葱)」の仲間ですが、葉が筒型ではなく扁平なので、「スズラン(鈴蘭)」や「イヌサフラン」などの毒草とよく似ているため、間違えて採取したり、誤食したことによる中毒事例もあるため注意が必要です。
ギョウジャニンニクは、ニンニクのような匂いがあり、葉の根元の茎の部分が赤色の繊維状のもので包まれていますが、スズランやイヌサフランにはそれがありませんので、判別することができます。
ギョウジャニンニクの食用
ギョウジャニンニクは若い茎葉と鱗茎を山菜として食用にします。ニンニクによく似た強い匂いと辛味があり、滋養に良いとされています。市場に流通しているものは、葉が新鮮で茎にハリがあるものが良品とされていますが、出荷されるもののほとんどは栽培もので、生育までに数年かかることから、市場では希少な山菜として珍重されています。
ギョウジャニンニクは、ネギや「ニラ(韮)」に似た食味と香りが特徴で、生食のほか、茹でる、煮る、揚げる、炒める、焼く、蒸すなど様々な調理に利用でき、軽く茹でて水にさらして下ごしらえをしたら、おひたし、煮浸し、和え物、酢の物、ぬた、卵とじを作ったり、生の葉を天ぷら、炒め物、煮物、汁の実などに使用したり、刻んでネギのように薬味としての利用もできます。
ギョウジャニンニクの栄養価
ギョウジャニンニクはカリウム、カルシウム、β-カロテン、ビタミンB群が豊富に含まれていて、ニンニクよりもβ-カロテン、ビタミンCなど栄養成分のほとんどが多く含まれています。硫化アリルはニンニクの約4倍、タマネギの10倍以上含有していて、ビタミンB1の吸収を助け、疲労回復効果があることが知られています。
ギョウジャニンニクに含まれるアリシンは硫化アリルの一種で、独特の匂いの元となる成分でもあります。この匂い成分は内臓脂肪の燃焼を促進して新陳代謝を活発にし、動脈硬化・脳梗塞の予防効果、コレステロールの抑制、ダイエット効果、がん予防効果、抗菌作用などに効果があります。
ほかにも、血小板凝集阻害活性のあるチオエーテル類も含むため、血圧の安定、視力の衰えを抑制する薬理効果もあります。また、この成分を利用した健康食品も販売されています。
ギョウジャニンニクの詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
性質 | 多年草 |
開花時期 | 6月〜7月 |
花色 | 白色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
耐陰性 | 普通 |
ギョウジャニンニクの詳しい育て方
ギョウジャニンニクは東アジアの原産で、日本では北海道、本州の中部以北に分布しています。特に日本海側の山地で多く見られ、高原の湿地や河原の林下などに群生します。また、日当たりの良い急傾斜地で生育することもあり、しばしば採取者が滑落して負傷したり、遭難することもあります。
ギョウジャニンニクは一部地域で栽培もされていますが、北海道の特産品としても知られています。栽培物は種まきから収穫・出荷まで3〜5年かかるため、多くは出回りませんが、天然物は4月〜5月頃が美味しい旬の時期とされています。
ギョウジャニンニクの種まき
ギョウジャニンニクは種まきからも栽培できますが、発芽率は30〜50%と低く、種まきから収穫までは3〜5年ほどかかりますので、ホームセンターやネットショップで苗を購入して植え付けた方が簡単に栽培することができます。
ギョウジャニンニクの植え付け
植え付けは4月〜5月頃が適期です。夏場の直射日光や乾燥に弱いため、冷涼な気候の半日陰を好みます。直射日光が当たる場所では、遮光ネットなどで対策をしましょう。
畑で栽培する場合は、種まきの2週間前に、苦土石灰を混ぜながらよく耕しましょう。1週間前にたい肥と元肥を施し、再びよく耕しましょう。畝幅は60cm程、高さ10cm程度に畝を作り、10cm間隔で植え付けたら、たっぷりと水やりをしましょう。
ギョウジャニンニクの水やり・肥料
ギョウジャニンニクは乾燥に弱いため、水切れに注意し、土が完全に乾燥しないように、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。
ギョウジャニンニクは肥料をあまり必要としませんが、葉の色が悪くなるなど、生育が良くないときは油かすを株元に与えてあげましょう。
ギョウジャニンニクの害虫や病気
害虫はネギアザミウマ、ネギアブラムシ、ネギコガ、ネギハモグリバエ、ヨトウムシなどが発生することがあります。食害されると味が落ちたり、株が弱ってしまうため、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気はさび病、葉枯病、軟腐病、モザイク病などがあります。さび病は、低温で雨が多い時期に発生するカビの伝染性の病気です。葉の表面にオレンジ色のやや膨らんだ小さな斑点が多数出てきて、しばらくすると破れて、粉状の胞子が飛散します。発病した葉は処分して、薬剤散布で防除しましょう。
ギョウジャニンニクの収穫
収穫は4月〜5月頃、葉っぱが垂れてしまう前の柔らかい若葉の頃が適期です。葉の付け根から優しくつまみ、株元から2cm~3cm程を残して外葉から剥がしましょう。細いものを収穫すると、太くなるまでに2〜3年かかったり、大量に収穫すると株が弱ってしまうため、太いものを少量収穫するようにしましょう。
ギョウジャニンニクの誕生花・花言葉
ギョウジャニンニクは「5月17日」「8月7日」の誕生花です。
ギョウジャニンニクの花言葉は「深い悲しみ」です。
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ギョウジャニンニクのまとめ
ギョウジャニンニクは種まきから収穫まで3〜5年程かかる希少な山菜として知られ、栄養価が高く滋養強壮効果もあり人気があります。ただし、生育年数や乱獲もあり、天然物は減少しています。
育てるのは難しくないので、みなさんも是非ギョウジャニンニクを育ててみてはいかがでしょう!