ニンニクの植物図鑑と育て方をわかりやすく解説

ニンニクの拡大

こちらでは、ニンニクの植物図鑑と育て方を私の経験を元にわかりやすく解説します。
造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
MIDORI
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この記事の監修者

フラワーショップ店長【ミドリ】プロフィール

ニンニクとは

食用のニンニク

 

植物名   ニンニク


学 名   Allium sativum


和 名   大蒜


別 名   ガーリック


英 名   Garlic


科 名   ヒガンバナ科


属 名   ネギ属


 

グリーンライフイノベーションの画像2

 

ニンニクの特徴

ニンニクの収穫

 

ニンニクは、ヒガンバナ科の多年草の野菜です。主に鱗茎を香辛料などとして食用にするほか、茎も「ニンニクの芽」と呼ばれて野菜として食べられています。

ニンニクの鱗茎は扁球状に肥大して、放射状に着生した4~十数個の鱗片から成っています。鱗茎は白または帯紅色の被膜に包まれて、特有の強い臭いと辛味があります。

ニンニクの葉は、扁平で長く先は尖り、夏には地上部が枯れます。

ニンニクは5月〜6月頃に、長さ50cm~100cm程の花茎を伸ばして、先端に散形花序を付けます。花は紫色で多数付きますが、普通は不稔で珠芽がまざるものや、珠芽のみからなる品種もあります。

 

ニンニクの名前

ニンニクという名前は、困難を耐え忍ぶという意味の仏教用語「忍辱(にんにく)が語源とされています。また、食用として英語名の「ガーリック」とも呼ばれています。

ニンニクや「ノビル(野蒜)」など、鱗茎を食用とするネギ属の臭いが強い植物を総称して「蒜(ひる)」と呼び、特にノビルと区別する場合に「オオヒル(大蒜)」とも呼ばれていました。漢方薬の生薬名は「大蒜(たいさん)」と呼ばれています。

 
 

ニンニクの歴史

ニンニクは紀元前3200年頃には古代エジプトなどで栽培・利用されていました。古くから、疲労回復、強壮作用があることが知られており、薬としても使われていました。中国へは紀元前140年頃に伝わり、日本には中国を経て平安時代頃には伝わっていたと言われています。

日本では、禅宗の禅寺の戒壇石に「不許葷酒入山門」(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)と刻まれるように、強壮作用が煩悩(淫欲)を増長するとされて仏教の僧侶の間では「ネギ(葱)」「ラッキョウ(辣韮)」「ニラ(韮)」「タマネギ(玉葱)」とともに禁葷食となったほか、肉や油を摂る習慣のなかった当時は食材としては刺激が強すぎるため、薬や強壮剤として用いることが主だったとされていますが、江戸時代に入り徐々に食材として用いられるようになりました。

ニンニクにまつわる伝承は世界各地にあり、独特の香気は香辛料としてだけでなく、魔除けとしても用いられてきました。ヨーロッパの吸血鬼伝説では、ニンニクを嫌うとされています。また、日本では2月29日を「ニンニクの日」と制定し、4年に1度だけの記念日として、日本各地でニンニクに関するイベントが催されています。

 

ニンニクの食用

ニンニクのオイル焼き

ニンニクの鱗茎は世界中で香味野菜として食べられています。肉の臭みを消したり、料理に食欲をそそる香味付けをする香味野菜の代名詞として知られ、中国料理、朝鮮料理、イタリア料理、フランス料理、インド料理、ブラジル料理など様々な料理に用いられます。

日本では餃子の具として使用されたり、ラーメンの具やトッピングとしてもよく用いられます。皮付きのまま丸ごと揚げたり焼いたりして食べられることもあり、ガーリックライスやガーリックトーストも好まれ、他にも香辛料として焼肉のタレや、鰹のタタキの薬味などに使用されます。

料理に使う際は、鱗茎を上から押しつぶすと、細胞が壊れてアリシン由来の香り成分が多く発生し、料理の仕上がりの香ばしさがより引き立ちます。炒め物の香りづけや薬味には、薄切りやみじん切りにしたものが使われます。

ニンニクはサプリメントや健康食品にも加工され、乾燥させて粉末状にしたガーリックパウダーもあります。また、高温多湿な環境で1ヶ月程熟成させて黒く変色した「黒ニンニク」は青森県で商品化されています。

ニンニクは、タマネギと同様に、イヌやネコが食べた場合には、アリルプロピルジスルファイドにより血液中の赤血球が破壊され、血尿、下痢、嘔吐、発熱を引き起こします。ニンニクの加工食品やエキスも、イヌやネコなどの動物に影響を与えることがあるため、食べさせないように注意しましょう。

 
 

ニンニクの栄養素

ニンニクは機能性成分として「アリイン」を豊富に含み、調理の過程でアリインが変化して「アリシン」という臭いの強い成分に変化します。栄養素としては、ビタミンB群やリン、カリウムなどの成分を豊富に含み、ビタミンB6は食品の中では非常に多く含まれています。ただし、カロテン(ビタミンA)、ビタミンD・Kなどの溶脂性ビタミンはほとんど含まれません。また、ニンニクの茎は緑黄色野菜として「ニンニクの芽」と呼ばれ、炒め物などで食べられています。

ニンニク注射やニンニク点滴と呼ばれる治療を行う医療機関がありますが、これらにはニンニクは用いられていません。主にビタミンB1を主成分としていますが、その成分がニンニクから得られるビタミンに類似することから名付けられました。ビタミン製剤を注射することやニンニクを使用しているという誤解を避けるために「ビタミン注射」とも呼ばれています。

 

ニンニクの品種

ニンニクの芽

ニンニクは大別すると、主に寒地系(福地ホワイトなど)と暖地系(壱州早生、上海早生など)の2種類に分けられます。国産の品種や海外の品種もあり、鱗茎だけでなく、芽や葉、茎などの部分も食べられています。

福地ホワイト六片

国産ニンニクの代表品種として知られ、青森県福地村が原産地として全国で食べられています。外皮も鱗片も雪のように白いのが特徴で、粒が大きく、甘みと辛味のバランスが良く、ニンニク特有の香りもマイルドなので様々な料理に使いやすい品種です。

 

プチニンニク(一片種ニンニク)

主な生産国は中国で、直径3cm程と小さく、鱗片が1片しかないのが特徴で、他のニンニクとは異なり、鱗茎が別れずに、1球あたりに1粒しかつかない品種です。一般的なニンニクよりも香りや辛みはマイルドで、分球していないため、外側の皮を剥けばすぐに調理に使えるので便利です。

 

壱州早生

朝鮮半島から長崎県壱岐市に伝わったと言われる暖地型ニンニクです。鱗片は12片前後と多く、鱗片1片あたりの大きさは小さめです。味や香りはマイルドなので料理の風味付けや薬味として使われています。

 

上海早生

中国が原産の品種で、主に九州や四国で栽培されている暖地型ニンニクです。若干皮が茶色っぽく、鱗片は12片前後と多く、鱗片1片あたりの大きさは小さめです。あっさりとした味わいが特徴で、ニンニク特有の香りや辛みがマイルドで、火を通すと柔らかい食感になります。

 
 

島ニンニク

沖縄県で栽培されている暖地型ニンニクです。皮が赤紫色やピンク色を帯びていますが、鱗片部分は白色です。ほかのニンニクに比べ、香りや辛味が強いのが特徴です。また、島ニンニクの葉は柔らかいため、葉ニンニクとしても重宝されています。

 

ジャンボニンニク

直径が8cm〜10cm、重さは500g〜1kgにもなる大きさで、「エレファントガーリック」や「ジャンボリーキ」とも呼ばれ、見た目は大きなニンニクですが、これはニンニクではなく、「リーキ」という西洋ネギの仲間です。主に九州や四国、中国地方などの温暖地域で栽培され、ニンニク特有の香りは強くないですが、その中でも特に香りが弱い物は「無臭ニンニク」と呼ばれています。

 

行者大蒜(ギョウジャニンニク)

ギョウジャニンニク(行者大蒜)」もニンニクという名が付いていますが、厳密にはニンニクではなく、「ニラ」や「ノビル」の仲間です。国内では北海道から近畿地方に分布している山菜です。強い香りが特徴で、ニンニクの風味を感じながら葉物野菜として食べられています。

 

ニンニクの芽・葉・茎

ニンニクの花茎を「ニンニクの芽」や「茎ニンニク」と呼び、餃子の具材などの中国料理や炒め物、煮物、和え物、サラダなどで食べられています。「葉ニンニク」は、ニンニクの成長途中で収穫された若い葉の部分を食用にした野菜です。ニラと同じように使うことができ、炒め物や煮物、鍋物として食べられています。

 
 

ニンニクの詳細情報

園芸分類野菜
性質多年草
開花時期5月〜6月
花色紫色
栽培難易度
耐寒性普通
耐暑性普通
耐陰性弱い
 
 

ニンニクの詳しい育て方

ニンニク畑

ニンニクは中央アジアまたはインドが原産とする説がありますが、野生植物が発見されていないため定かではありません。現在では中国が世界のニンニク生産量の8割を占めており、世界各国に普及しています。日本では青森県で最も多く栽培されていますが、北海道や香川県なども産地として知られています。

ニンニクは一年を通して流通していますが、一番美味しい旬の時期は、6月〜8月頃で、収穫後すぐに出回る新ニンニクはみずみずしく、この時期のみ楽しめます。

 

ニンニクの植え付け

ニンニクは秋に植え付けて、翌春頃の収穫です。植え付けの適期は9月〜10月頃で、発芽適温は15℃〜20℃です。また、発芽日数は10日〜30日程です。

ニンニクの種球は、表皮を剥がして、種球を1片ずつに分けましょう。1片ずつ分球を包んでいる薄皮は、剥かずに残しておきましょう。傷や歪みのあるものを避けて、大きくて形が整ったものを選びましょう。また、干からびたり、カビが生えたり、病斑があるものは避けましょう。

畑で栽培する場合は、種まきの2週間前に、苦土石灰を混ぜながらよく耕しましょう。1週間前にたい肥と元肥を施し、再びよく耕しましょう。畝幅は40cm程、高さ10cm程度に畝を作りましょう。その際は、タマネギ用の穴あきマルチなどを利用すると雑草抑制になり、後々の管理に手間が掛かりません。

プランター栽培も可能です。幅60cm以上のものを用意して、花と野菜の培養土を使って植え付けましょう。

株間15cm、深さ5cm程の穴をあけ、芽(尖った方)を上にして1片ずつ植えつけたら、薄く覆土してたっぷりと水やりをしましょう。

 

ニンニクの芽かき

草丈が10cm程になった頃、1株から2本の芽が出ていたら、勢いの弱い方の芽をかき取って1本立ちにしましょう。芽かきをしないと球割れや球の肥大不良、苗の生育不良の原因になります。また、一緒に抜けてしまわないように、残す方の芽の生え際をしっかり押さえてかき取るようにしましょう。

 

ニンニクの追肥

秋に植え付けてから、12月頃に1回目の追肥を行い、休眠から目覚める翌2月頃に2回目の追肥を行いましょう。ニンニクは越冬前に地上部を十分に生育させておく必要があるため、追肥をしっかりと行いましょう。

 

ニンニクの花芽の摘み取り

4〜5月頃になると「とう立ち」して花芽が伸び出します。そのまま放っておくと、花の方に栄養が取られ地下部の球が太らなくなるため、適当な時期に摘み取りましょう。手でポキッと折るか、掴んで引っ張るとスポッと抜けます。摘み取った花芽は「ニンニクの芽」として美味しく食べられます。

花芽が外葉と同じくらいの高さになった時が摘み取るタイミングです。早すぎると球が分かれてしまい、遅すぎると花芽に栄養が取られて風味が落ちてしまうため、タイミングが重要です。

 
 

ニンニクの害虫や病気

害虫はネギアザミウマ、ネギアブラムシ、ネギコガ、ネギハモグリバエ、ヨトウムシなどが発生することがあります。食害されると味が落ちたり、株が弱ってしまうため、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。

病気はさび病、葉枯病、軟腐病、モザイク病などがあります。さび病は、低温で雨が多い時期に発生するカビの伝染性の病気です。葉の表面にオレンジ色のやや膨らんだ小さな斑点が多数出てきて、しばらくすると破れて、粉状の胞子が飛散します。発病した葉は処分して、薬剤散布で防除しましょう。

 

ニンニクの収穫

葉ニンニクの収穫は、3月〜4月頃、草丈が30cm〜40cm程になり本葉が6〜7枚になった頃が適期です。葉ニンニクとして収穫した場合は、球が収穫できなくなるため注意が必要です。また、葉ニンニク専用の品種もあるので、より柔らかい葉を味わいたい方は専用品種がおすすめです。

ニンニクの収穫は、5月〜6月頃、地上部の葉が黄変して、全体の2/3程が枯れたら適期です。株元の茎を手で握り、真上に引き抜いて収穫しましょう。土が湿っているときに収穫すると球が傷みやすいため、2〜3日晴天が続いたときに収穫しましょう。

ニンニクは収穫が早過ぎると球の肥大化が十分でなく、収穫が遅れると球割れが発生するため、品質を落とさないためにも適期を逃さないようにしましょう。

 
 

ニンニクの貯蔵

収穫後は、2〜3日ほど畑や軒下に並べて乾かしておきましょう。茎が乾燥したら葉と根を切り落として、3〜4個ずつ茎の付け根をヒモで縛って束ねて吊るしましょう。風通しが良く、雨や直射日光が当たらない軒下などに吊るしておくと、3〜4ヶ月程長期保存ができます。ただし、あまり長くおくと休眠から覚めてしまうため、芽が出る前に食べてしまうか、すり下ろしたりスライスして冷凍保存すると便利です。

 

グリーンライフイノベーションの画像2

 

ニンニクの花言葉

黒ニンニク

 

ニンニクの花言葉は「息災」「勇気と力」です。

 

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ニンニクの花
 
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ニンニクのまとめ

ニンニクの拡大

ニンニクはいかがでしたか?
ニンニクは古くから世界各国で親しまれている香味野菜として食べられています。日本でも様々な料理に利用され、香辛料としてだけでなく、丸ごと揚げたり焼いたりして食べられる人気の野菜です。
育てるのは比較的簡単なので、みなさんも是非ニンニクを育ててみてはいかがでしょう!
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