造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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イヌツゲとは
植物名 イヌツゲ
学 名 Ilex crenata
和 名 犬黄楊
別 名 山黄楊(ヤマツゲ) / 偽黄楊(ニセツゲ)
英 名 Japanese Holly
科 名 モチノキ科
属 名 モチノキ属
イヌツゲの特徴
イヌツゲは樹高2m〜5m程になる常緑低木です。日本では6月〜7月頃にかけて花を咲かせますが、あまり目立ちません。
イヌツゲの花は雌雄異株で、径3mm程の小さい白い4花弁で、どちらも今年出た枝の葉腋に花が付き、雌花は単生し、雄花は2個~6個が散形状に付きます。
イヌツゲの葉は密に互生する単葉で、長さ1cm〜3cm程の楕円形で厚みがあり、縁には細かい鋸歯(きょし)があります。
イヌツゲの果実は径6mm〜7mm程の球形で、10月〜11月頃に熟します。モチノキ科の植物は赤い実が多い中で、イヌツゲは珍しく黒い実を付けますが、赤い実を付ける品種の「アカミイヌツゲ」もあります。
イヌツゲとツゲの見分け方
イヌツゲに似ていて、よく混同される植物に「ツゲ(黄楊)」があります。どちらも名前にツゲが入りますが、ツゲはツゲ科なので、全く別種の植物です。
イヌツゲは雌雄異株で、葉が互い違いに生える互生で、葉の緑色が濃く、縁に鋸歯(きょし)があります。これに対して、ツゲは花が雌雄同株で、葉が同じところから対になって生える対生で、葉の色が薄く、鋸歯(きょし)はなく全縁ですので、見分けることができます。
また、ツゲよりも材が劣るため名前に「イヌ」が冠されています。ただし、庭木としての利用はイヌツゲの方が多く、人気があります。
イヌツゲの品種
イヌツゲには観賞価値の高い園芸品種がたくさんあります。その一部をご紹介します。
マメツゲ
「マメツゲ」は葉色が濃く丸いのが特徴で、樹高は高くなりません。
オオバイヌツゲ
「オオバイヌツゲ」はイヌツゲよりも葉が大きい特徴があります。
キンメツゲ
「キンメツゲ」は新芽が黄色いく、時間が経つと葉が緑色になる園芸品種です。
フイリイヌツゲ
「フイリイヌツゲ」は葉に斑模様が入ります。
ホウキイヌツゲ
「ホウキイヌツゲ」はホウキのように細い枝が上にまっすぐ伸びる性質があります。
ハイイヌツゲ
「ハイイヌツゲ」は背が低く、下部が地を張って伸びる性質があります。
雲龍ツゲ
「雲龍ツゲ」は幹がクネクネと捻れながら成長する園芸品種です。
ゴールデンジェム
「ゴールデンジェム」は年間を通して黄色い葉が特徴の園芸品種です。
天然記念物のイヌツゲ
日本国内には樹齢数百年以上の天然記念物に指定されているイヌツゲがたくさんあり、その一部をご紹介します。
国指定の天然記念物
- 長崎県雲仙市の「野岳イヌツゲ群落」
県・市指定の天然記念物
- 栃木県宇都宮市の「英巌寺のイヌツゲ」
- 東京都武蔵野市の「源正寺のイヌツゲ」
- 埼玉県さいたま市の「法光寺のイヌツゲ」
- 埼玉県川越市の「砂氷川神社のイヌツゲ」
- 埼玉県秩父郡皆野町の「平草のイヌツゲ」
- 山梨県山梨市の「下神内川のイヌツゲ」
- 三重県鈴鹿市の「入道岳いぬつげ及びあせび群落」
- 三重県伊賀市の「霊山のイヌツゲ及びアセビ群生地」
- 愛知県新城市の「須山のイヌツゲ」
イヌツゲの詳細情報
園芸分類 | 庭木・盆栽 |
性質 | 常緑低木 |
開花時期 | 6月〜7月 |
花色 | 白色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 強い |
イヌツゲの詳しい育て方
イヌツゲの原産は日本と朝鮮半島で、国内では北海道から本州、四国、九州、沖縄県まで全土に分布しています。
どこでも見ることができる植木の一つで、生け垣や玉仕立て、玉散らし仕立てにすることが多く、西洋庭園ではトピアリー(植物を動物などの形に作った造形物)などにも使用されています。
イヌツゲの苗植え
庭植え、鉢植え共に適期は春の4月〜6月頃と、秋は9月〜10月頃です。日当たりの良い場所から明るい日陰が好みです。用土は肥沃な土を好みますので、赤玉土に腐葉土を混ぜ、緩効性化成肥料を元肥として与え、植え付けたらたっぷり水やりをしましょう。
イヌツゲの水やり・肥料
イヌツゲは成長が遅いので、幼苗は鉢植えや庭植え共に、植えつけてから2年未満の株は、土の表面が乾いたらたっぷり水やりをしましょう。庭植えで根付いた株は、水やりの必要はありませんが、雨が少なく土が乾燥気味のときは水やりをしましょう。
イヌツゲは肥料切れを起こすと、冬に葉が落ちることがあります。肥料は2月と7月の年2回、堆肥や化成肥料を株元にすき混みましょう。
イヌツゲの害虫や病気
害虫はハマキムシやカイガラムシ、ハダニなどが発生することがあります。食害されると株が弱ってしまうので、見つけたら取り除き、早めに薬剤散布で防除しましょう。
病気はすす病があります。葉がすすを被ったように黒くなり、他の葉っぱへ感染していきますので、病気の葉は全て取り除き、殺菌剤を散布して被害を食い止めましょう。
イヌツゲの剪定
剪定作業は3月〜10月頃が適期です。萌芽力が強いので、この間は必要に応じて随時刈り込みを行い、樹形を整えましょう。胴吹きやひこばえも発生しやすいので、新たな枝作りに必要なければ元から切り取りましょう。
イヌツゲの花言葉
イヌツゲの花言葉は「魅惑」「堅固」です。
イヌツゲのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
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イヌツゲのまとめ
イヌツゲは生け垣や玉仕立て、玉散らし、トピアリーなど和風庭園から洋風庭園まで、よく目にする植木です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非イヌツゲを育ててみてはいかがでしょう!