造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ジンチョウゲとは
植物名 ジンチョウゲ
学 名 Daphne odora
和 名 沈丁花
別 名 下に記載
英 名 Winter Daphne
科 名 ジンチョウゲ科
属 名 ジンチョウゲ属
ジンチョウゲの特徴
ジンチョウゲは樹高1m程になるジンチョウゲ科の常緑低木です。日本では3月〜4月頃に開花します。
ジンチョウゲの樹皮は褐色で滑らかになり、丈夫で折れにくく、よく枝分かれします。若枝は紫色を帯びています。
ジンチョウゲの花は雌雄異株で、前年枝の先の頭状花序に20個程の花が付きます。花には花弁がなく、筒状で上部が4裂する肉厚な萼が花弁のように見えます。外側は紫紅色で、内側は白色です。雄しべは8個あり、強い芳香があります。
ジンチョウゲの花は雌雄異株ですが、日本に渡来したものは雄株のみで、結実は見られませんでしたが、近年になって中国から雌株が渡来しているため、稀ですが結実が見られます。
ジンチョウゲの葉は互生する単葉で、長さ5cm〜10cm、幅2cm〜3cm程の倒披針形です。葉の表面は濃い緑色で、光沢があり革質になり、縁は全緑です。
ジンチョウゲの果実は液果で、長さ1cm程の楕円形〜球形で、6月〜7月頃に赤く熟します。果実は噛むと辛味があり、有毒ですので食べないように注意が必要です。
ジンチョウゲの冬芽は、前年枝の先に付き、そのほとんどが花芽で、多数の総苞に包まれています。側芽は枝に互生しますが、小さいため葉に隠れてあまり目立ちません。
・春に咲く「ジンチョウゲ」は強い芳香を放ち、その濃厚で甘い香りを楽しむ樹木として、初夏に咲く「クチナシ(梔子)」、秋に咲く「キンモクセイ(金木犀)」とともに三大香木と呼ばれています。
ジンチョウゲの名前
ジンチョウゲという名前は、熱帯アジア原産の香木である「沈香(ジンコウ)」や、「丁字(チョウジ)」のような香り高い樹木であることから、両者の名を合わせて「沈丁花」と名付けられましたが、「沈香」が転訛したとする説もあります。小種名の「odora(オドラ)」とは芳香があることを意味します。
ジンチョウゲは、花の香りが千里先まで届くと言われ「千里花(センリバナ)」や、「千里香(センリコウ)」などの別名があり、ほかにも、「丁字草(チョウジグサ)」、「輪丁花(リンチョウカ)」とも呼ばれています。また、別名として「チンチョウゲ」とも呼ばれていますが、これは昭和時代の新聞小説によって広まった誤用です。
ジンチョウゲは、強い芳香があることから、茶道の心得を説く「利休百首」では、匂いが強いため茶花としてのジンチョウゲの仕様を禁じています。
ジンチョウゲの利用
ジンチョウゲの花の煎じ汁は、歯痛や口内炎などの民間薬として使われています。ジンチョウゲの葉の煎じ汁は、「おでき」を吸い出す際に使う民間療法がありますが、ジンチョウゲの茎葉や、果実などは有毒で、触ると皮膚炎を起こし、食べると胃炎などを引き起こすため、取り扱いや、食べないように注意しましょう。
ジンチョウゲは、春先に花を咲かせることから、俳句では春の季語としてよく詠われています。
ジンチョウゲの品種
ジンチョウゲは古くから庭木として親しまれ、たくさんの栽培品種が作られています。庭木として用いられる主な品種は、白い花を咲かせる「シロバナジンチョウゲ(白花沈丁花)」、花の外側が淡い紅色になる「ウスイロジンチョウゲ(薄色沈丁花)」、葉に縞や斑が入る「フクリンジンチョウゲ(覆輪沈丁花)」などがあります。
ジンチョウゲの詳細情報
園芸分類 | 庭木 |
性質 | 常緑低木 |
開花時期 | 3月〜4月 |
花色 | 紫紅色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 普通 |
耐陰性 | 普通 |
ジンチョウゲの詳しい育て方
ジンチョウゲは中国、台湾の原産で、日本へ渡来し、室町時代には日本でも栽培されていたと言われています。春に咲く花は上品で、甘い香りを放つ樹木として庭木や公園樹として植栽されています。
ジンチョウゲの苗植え
ジンチョウゲは移植が難しい植物です。根が傷ついてしまうと枯れてしまうため、基本的に植え替えはせず、植え付ける場所は慎重に選びましょう。
苗植えは3月〜4月と9月〜10月頃が適期です。日当たりが良い場所を好みますが、西日が当たるような乾燥する場所は避けましょう。用土は赤玉土に腐葉土を混ぜたものに植え付けて、たっぷり水やりをしましょう。
ジンチョウゲの水やり・肥料
根付くまでは表面が乾いたら水やりをしましょう。根付いてからは降雨で問題ありませんが、極端な乾燥には弱いため、夏場など乾燥が続くようであれば水やりをしましょう。
肥料は2月と9月頃に、油かすと骨粉を混ぜたものを株元の土に混ぜ込みましょう。
ジンチョウゲの害虫や病気
害虫は、アブラムシ、ハマキムシが発生することがあります。葉を食害されることがありますので、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気は白紋羽病、ウイルス病があります。根に菌が付いて褐変し、葉が黄化したり、縮れたようになったりして枯れてしまいます。病気の部分は取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
ジンチョウゲの剪定
ジンチョウゲは放任しても自然と半球状の樹形にまとまるため、基本的に剪定は必要ありません。剪定をする場合は、秋以降は花芽を落としてしまうため、花後の4月〜5月頃が適期です。株元など混み合っている部分を切り落とし、風通しを良くしましょう。
ただし、太い枝を切ると病気の原因や、株の衰弱で枯れてしまうことがあります。そのため、剪定で樹形を形作るのは難しいため、自然樹形で邪魔な枝を間引きながら整えましょう。
ジンチョウゲの挿し木
ジンチョウゲは一般的に10年〜30年程が寿命と言われ、突然枯れてしまうことがあります。また、移植や植え替えが難しく、日本ではほとんどが雄株のみ流通しているため、結実は見られません。
ジンチョウゲは挿し木で容易に増やすことができます。挿し木は6月〜7月が適期です。前年に伸びた枝を使い、枝の長さは15cm〜20cm程、上に葉を2枚〜3枚残し、下の葉も取り除きます。残した葉は半分くらいカットしましょう。(これは葉から水分が蒸発するのを防ぐためです。)
挿し穂の茎の下部分を斜めにカットして水に挿し、1時間以上水上げをしたら、用土に割り箸などで穴を開け、挿し穂の葉が重ならないように挿しましょう。根元を押さえたら、たっぷり水やりをしましょう。
鉢は明るい日陰に置き、乾いたら水をあげましょう。1ヶ月〜3ヶ月程で発根しますので、発根したら肥料入りの培養土に植え替えましょう。
ジンチョウゲの誕生木・誕生花・花言葉
ジンチョウゲは「3月7日」の誕生木です。
ジンチョウゲは「2月10日」「2月23日」「3月16日」「12月15日」の誕生花です。
ジンチョウゲの花言葉は「栄光」「勝利」「永遠」「不死」「不滅」です。
ジンチョウゲのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
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ジンチョウゲのまとめ
ジンチョウゲは、春先に花を咲かせ、その花は上品で甘くて強い香りを放つことから三大香木のひとつに数えられ、庭木としても人気がある樹木です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非ジンチョウゲを育ててみてはいかがでしょう!