造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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カラタチとは
植物名 カラタチ
学 名 Citrus trifoliata
和 名 枳殻
別 名 下に記載
英 名 Trifoliate orange
科 名 ミカン科
属 名 ミカン属
カラタチの特徴
カラタチの木は樹高2m〜5m程になるミカン科の落葉小高木です。日本でも古くから庭木やミカン類の台木として利用されています。
カラタチの若い樹皮は緑色で、樹齢を重ねると灰褐色になり、部分的に剥離します。枝は緑色で角張り、多数に分岐します。枝や幹には長さ1cm〜5cm程の鋭いトゲが互生するため扱いには注意が必要です。
カラタチの葉は互生する3出複葉で、葉柄に翼があります。小葉は4cm〜7cm程の楕円形になり、表面は光沢のある濃い緑色で、縁には細かい鋸歯(きょし)があります。本種は一般的に落葉樹として扱われていますが、暖地では冬でも葉が残り、緑を保ちます。
カラタチの花は、葉が展開する前の4月〜5月頃に開花します。前年の枝に径3cm〜5cm程の白色の5弁花を咲かせます。花には芳香があり、花弁と花弁の間が広く開くのが特徴で、中央に雌しべが1本あり、雄しべは多数あります。
カラタチの果実は球形で、直径3cm〜5cm程になり、軟毛に覆われています。果実は10月頃に熟すと黄色になります。カラタチの果実は種子が多く、酸味と苦みが強いため、生食には向いていません。
カラタチの冬芽は、側芽が枝に互生して、半円形でトゲの基部の上側に付き、赤褐色の芽鱗2〜3枚に包まれています。トゲの下側には葉痕が残り、この葉痕からも葉が芽吹くことがあります。
カラタチの名前
カラタチという名前は、日本に古くから自生していて、似た花を咲かせる同属の「タチバナ(橘)」があり、中国(古い名を唐という)から渡来した本種を「唐橘(カラタチ)」と名付けました。別名として「カラタチバナ」とも呼ばれ、他にも「キコク(枳殻)」という別名もあります。
日本には他にも、「カラタチバナ(唐橘)」という赤い実を付ける樹木があり、別名「ヒャクリョウ(百両)」とも呼ばれ縁起物として扱われています。本種はミカン科ミカン属ですが、カラタチバナはサクラソウ科ヤブコウジ属なので、全く別種の樹木です。
カラタチの変種として、枝やトゲが湾曲する「ヒリュウ」や、枝やトゲの湾曲がさらに激しく、成長も極めて緩慢な「香の煙」が存在し、どちらの品種も「雲龍カラタチ」の名前で盆栽として販売されていることがあります。
カラタチの利用
カラタチの果実は種子が多く、酸味と苦みが強いため、食用には向いていませんが、果実酒の材料として使われることがあります。
カラタチは鋭いトゲがあることから、防犯目的で生垣によく使われていましたが、現在ではこのトゲが嫌われたり、手入れが面倒であることからブロック塀などに置き換えられたため、1960年代頃からカラタチの生垣は減少しました。
日本では「ウンシュウミカン(温州蜜柑)」などの柑橘類を栽培する際に、台木として使われています。本種は寒さや病気に強く、結実するのも早いなどの利点がありますが、「ユズ(柚子)」や「ナツミカン(夏蜜柑)」の台木に比べると寿命が短いという欠点もあります。
カラタチの薬用
カラタチの未成熟の果実を乾燥させたものは、「枳殻(きこく)」と呼ばれる生薬であり、中国薬物名では「枳実(きじつ)」とも呼ばれています。生薬は芳香性の健胃作用、利尿作用、発汗作用、去痰作用があるとされ、民間では、皮膚を美しく保つ効果もあるとされていて、果実や枝葉を浴湯料として風呂に入れると、皮膚を綺麗にして、体を温め、発汗、去痰を促すと言われています。
カラタチの詳細情報
園芸分類 | 庭木・盆栽 |
性質 | 落葉小高木 |
開花時期 | 4月〜5月 |
花色 | 白色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | やや弱い |
カラタチの詳しい育て方
カラタチは中国が原産で、日本へは8世紀頃に伝わったと言われています。果実を薬用するために栽培されていたものが、後に野生化して、本州中部以南の暖地の山中に見られます。庭木やミカン類の台木としても利用されています。
カラタチの苗植え
苗植えの適期は3月〜4月頃です。日当たりが良く、強い風や西日の当たらない場所が適しています。
用土は水はけのよい土が適していますので、庭植えの場合は掘り起こした土に腐葉土をたっぷり混ぜましょう。鉢植えの場合は市販の果樹用の培養土を使い、植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。また、根付くまでは支柱を添えて支えてあげましょう。鉢植えの場合は、2年に1回、根詰まり対策として一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
カラタチの水やり・肥料
庭植えの場合は根付いたら降雨だけで問題ありませんが、乾燥が続くようであれば水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土が乾燥したら、たっぷりと水やりをしましょう。
肥料は3月と11月に、油かすなどの有機肥料を与えましょう。
カラタチの害虫や病気
害虫はアブラムシ、ハダニ、カイガラムシ、アゲハチョウの幼虫が発生することがあります。葉を食害しますので、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気はカビによるソウカ病、細菌によるカイヨウ病、黒点病などがあります。感染すると葉や果実に病斑ができて株が弱ってしまいます。発病した箇所を切り取り、薬剤散布で防除しましょう。
カラタチの剪定
カラタチの剪定の適期は12月〜翌3月頃です。カラタチは芽吹く力が強く、剪定にもよく耐えて、やや短く刈り込んでも枯れることはありません。
庭木として育てる場合は、混み合っている枝や枯れ枝を切り取り、風通しと日当たりを良くしましょう。カラタチは昨年伸びた枝先に花を咲かせて結実するので、昨年伸びた枝は残して、それ以前の枝を落としてスッキリさせましょう。生け垣の場合は、刈り込んで枝を整えましょう。
カラタチの枝にはトゲが無数に出るため、長袖や手袋を着用して作業しましょう。肌が弱い場合は、トゲによってかぶれることもあるため注意が必要です。
カラタチの誕生花・花言葉
カラタチは「1月15日」「11月15日」の誕生花です。
カラタチの花言葉は「泰平」「貞節」「温情」「思い出」「相思相愛」「心にしみる」「悠然とした」などがあります。
カラタチのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
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カラタチのまとめ
カラタチは、古くから薬用や台木として知られる柑橘類で、防犯用の生け垣に利用されるほか、緑色の枝やトゲ、新緑、白い花、果実など観賞用として庭木や盆栽としても育てられています。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非カラタチを育ててみてはいかがでしょう!