造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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クチナシとは
植物名 クチナシ
学 名 Gardenia jasminoides
和 名 梔子
別 名 ガーデニア/ 薝蔔(センプク)
英 名 Gardenia
科 名 アカネ科
属 名 クチナシ属
クチナシの特徴
クチナシは樹高1m〜2m程になるアカネ科の常緑低木です。日本では6月〜7月頃に花を咲かせます。
クチナシの花は枝先に単生し、径5cm〜8cm程で、花は高坏形で基部が細長い筒状になり、上部は平らに開いて6〜7裂します。雄しべは6個あり、花冠の口部に付き、雌しべは長さ3cm〜4cm程になり花から突き出します。
クチナシの花には甘い香りがあり、開花直後は白色で、時間が経つとクリーム色になり、落下前は褐色に変化します。また、クチナシの花は普通、一重咲きですが、八重咲き品種もあります。
クチナシの葉は対生しますが、枝先では三輪生となり、長さ5cm~12cm、幅2cm〜5cm程の先端が尖った長楕円形で、表面に光沢があり、縁は全縁です。並行に入る筋状の葉脈がよく目立ち、茎を包む筒状の托葉を持ちます。
クチナシの果実は、長さ2cm〜3cm程の倒卵形~楕円形で、先端に6個の萼裂片が長く残ります。10月〜12月頃に赤黄色に熟しますが、熟しても割れません。また、果皮の中には100個程の種子が入っています。
・初夏に咲く「クチナシ」は強い芳香を放ち、その濃厚で甘い香りを楽しむ樹木として、春に咲く「ジンチョウゲ(沈丁花)」、秋に咲く「キンモクセイ(金木犀)」とともに三大香木と呼ばれています。
クチナシの名前
クチナシの和名の語源には諸説あります。一般的には、果実が熟しても割れないため、口が無いことから「口無し」と言われています。また、果実の上部に残る萼片を口に見立てて、果実を梨として、「口梨」とする説もあります。
漢名ではクチナシを「山梔(サンシ)」といい、日本では普通、漢字で「梔子」と書きますが、語源である「口無し」が正しいとする説もあります。また、「梔」という漢字は果実の形が、古代中国で使われた酒器に似ていることに由来すると言われています。
クチナシの別名として、八重咲きなど栽培品種を総称して「ガーデニア」とも呼ばれています。また、中央アジアから西アジアに生息する香りのよい名花という意味で「薝蔔(センプク)」という別名もあります。
クチナシの天然記念物
熊本県熊本市にある立田山で、クチナシの突然変異として生じた、八重咲きならが稔性を有する大変珍しい特徴を持つ品種が発見されたことから、「立田山ヤエクチナシ自生地」は、国の天然記念物に指定されています。また、現存する株は親株からの挿し木クローンで、花の形態などに差異が見られます。
クチナシの利用
クチナシの果実には、カロチノイドという色素が含まれ、完熟した赤黄色の果実を乾燥させて染料に用いられます。日本では飛鳥時代から、布地の黄染めに使われており、食品の着色料としても用いられます。クチナシの白い花弁は、特有の甘味と香りがあり、野菜サラダの飾り付けや、刺身のつまなどに使われています。
現代でも、クチナシは無害の天然色素として、栗金団やたくあん、凍豆腐、和菓子、餅などを黄色または青色に染めるのに用いられています。大分県臼杵市の「黄飯(おうはん)」、静岡県東伊豆町の「黄飯(きめし)」、愛知県名古屋市の「黄飯(きいはん)」などはクチナシの実で色と香り付けされています。
クチナシの果実を天日または陰干しで乾燥処理したものは、「山梔子(さんしし)」または「梔子(しし)」と呼び、生薬として使用されています。漢方では止血、打撲、鎮静、利尿などに用いられています。
ほかにも、クチナシの花は甘い香りと、見た目の美しさから生け花の切り花として使われています。また、将棋盤や碁盤の脚にクチナシの果実がデザインされるのは、打ち手や見学者が勝負に口出しをしないように「口無し」という意味が込められています。
クチナシの詳細情報
園芸分類 | 庭木・生け花 |
性質 | 常緑低木 |
開花時期 | 6月〜7月 |
花色 | 白色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | 強い |
クチナシの詳しい育て方
クチナシは、日本、中国、台湾、インドシナ半島の原産で、国内では静岡県以西の本州、四国、九州、沖縄県に分布しています。山地にも自生していますが、園芸品種として栽培され、庭木として植栽されています。
クチナシの苗植え
苗植えの適期は4月〜5月頃です。植え付け場所は、日当たりが悪いと花付きが悪くなり、冬の寒風や夏場の西日などで乾燥すると株が弱ってしまうため、明るい半日陰が適しています。
土質はあまり選ばないので、赤玉土に腐葉土を混ぜたものに植付けたら、たっぷりと水やりをしましょう。鉢植えの場合は、鉢が根でいっぱいになったら、一回り大きな鉢に植え替えましょう。その際、古い土を1/3ほど落として、長い根を切りつめてから新しい土で植え替えるようにしましょう。
クチナシの水やり・肥料
クチナシは乾燥に弱いため、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。夏場などは乾きやすいため、朝と夕方の2回、水やりをしましょう。
肥料は庭植えの場合は、2月と8月の年に2回、鉢植えの場合は8月の年に1回、油かすを株元に与えましょう。
クチナシの害虫や病気
害虫はオオスカシバ、アブラムシ、カイガラムシなどが発生することがあります。オオスカシバはクチナシの葉を食べる虫で、暖かい季節に発生し、一晩で丸坊主にされることもあります。見つけたら取り除き、早めに薬剤散布で防除しましょう。
クチナシは病気の心配は特にありません。
クチナシの剪定
剪定は花が咲き終わった後の7月~8月が適期です。クチナシは、夏の間に花芽が作られ、秋以降に剪定をすると枝ごと花芽を切り落としてしまうため、花後できるだけ早い時期に行いましょう。
クチナシは枝分かれして、株立状に育ちます。剪定は、混み合った枝や枯れ枝、徒長枝を切り落としましょう。また、地際から勢いよく伸びてくるヤゴは見つけたら切り落としましょう。生垣の場合は、刈り込んで樹形を整えますが、花はあまり楽しめません。
クチナシの誕生木・誕生花・花言葉
クチナシは「6月3日」の誕生木です。
ヤエクチナシは「6月24日」の誕生木です。
クチナシは「5月6日」「6月7日」「6月28日」「6月30日」「7月7日」の誕生花です。
クチナシの花言葉は「優雅」「洗練」「清潔」「夢中」「喜びを運ぶ」「とても幸せです」などがあります。
クチナシのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
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クチナシのまとめ
クチナシは、三大香木のひとつに数えられる樹木で、純白の美しい花からは甘くて上品な香りを放ち、園芸品種も多く、庭木として人気の樹木です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非クチナシを育ててみてはいかがでしょう!