造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ポンカンとは
植物名 ポンカン
学 名 Citrus reticulata var poonensis
和 名 椪柑 / 凸柑
英 名 Ponkan
科 名 ミカン科
属 名 ミカン属
ポンカンの特徴
ポンカンの木は樹高3m〜5m程になるミカン科の常緑小高木です。日本でも生産されている柑橘類の一つです。
ポンカンの葉は互生する単葉で、長さ6cm〜9cm程の楕円形になり、表面は光沢のある濃い緑色で、葉先は鈍く尖りますが、稀に凹む葉も混じります。縁には波状の低い鋸歯（きょし）があり、裏面に油点があり、葉柄には狭い翼があり、枝にはトゲがありますが、無い品種もあります。
ポンカンの花は、5月〜6月頃に開花します。枝の先端に径2cm〜3cm程の白色の5弁花を咲かせます。花には芳香があり、中央に雌しべが１本、多数ある雄しべは基部で合体して筒状になります。
ポンカンの果実は球形で、果梗部に凸状が現れやすく、直径6cm〜9cm程、重さは150g〜250g程になります。果実は12月頃に熟すとオレンジ色になり、多胚からなる種子があり、皮は剥き易く、果肉を包む内皮は柔らかいため袋のまま食べられます。香りが強く、酸味はほとんどなく、多汁で甘味があります。
ポンカンの名前
ポンカンという名前は、原産国であるインドの西部にある「Poona（プーナ）」という地名に由来して「ポン」と読み、オレンジなどの柑橘類を指す「柑（カン）」と合わせて名付けられました。また、中国の主産地である福建省、広東省や台湾で用いられている閩南語や潮州語では漢字で「椪柑」と書き、「phòng-kam（ポンカム）」と発音するため、日本語は閩南語の音に拠っているという説もあります。
因みに、「ポン酢」とは、「ユズ（柚子）」「カボス（臭橙）」「スダチ（酢橘）」「レモン（檸檬）」「ダイダイ（橙）」「ライム」などの柑橘類に酢を混ぜたもので、ポンカンは入っていません。オランダ語で柑橘類を「ポンス（pons）」といい、これが語源です。
また、「ポンジュース」は、「ウンシュウミカン（温州蜜柑）」「イヨカン（伊予柑）」「河内晩柑」「はれひめ」など愛媛県産の柑橘4種をブレンドしたもので、ポンカンは入っていません。ポンジュースの「ポン」は、ニッポンのポンです。
ポンカンの品種
ポンカンには、「吉田ポンカン」「今津ポンカン」「薩州ポンカン」など、果実が腰高で大果である「高梢系」と、「太田ポンカン」「森田ポンカン」「興春ポンカン」など、果実がやや扁平で小果で種の少ない「低梢系」があります。
ポンカンは、独立種であると言われることもありますが、「マンダリンオレンジ」の変種であるとも考えられています。また、ポンカンと「清見（きよみ）」という種を交配させて誕生した「シラヌヒ（不知火）」という品種の中でも、高品質の物だけが「デコポン」という名前で出荷されています。デコポンは、品種ではなく、JA熊本果実連が所有する登録商標です。
ポンカンの栄養価
熟した果実は生のままでも美味しく食べられるポンカンですが、栄養価も高く、カリウムや葉酸を多く含み、果皮の白い部分には動脈硬化予防の働きがあるビタミンPを含んでいます。果肉にはカロテン、ビタミンB1を含み、β-クリプトキサンチン、ビタミンC、クエン酸も含まれています。
ポンカンの詳細情報
| 園芸分類 | 庭木・果樹 |
| 性質 | 常緑小高木 |
| 開花時期 | 5月〜6月 |
| 花色 | 白色 |
| 栽培難易度 | |
| 耐寒性 | 弱い |
| 耐暑性 | 強い |
| 耐陰性 | 弱い |
ポンカンの詳しい育て方
ポンカンはインド北部の原産で、日本へは明治時代に渡来したと言われています。東南アジア諸国、中国、台湾、日本などで広く栽培され、ブラジルにも一部分布しています。
日本では愛媛県、高知県、鹿児島県、熊本県、和歌山県などで主に栽培されていますが、日本の主要なポンカン品種は台湾から導入されたものが多く流通しています。ポンカンは11月〜12月頃に収穫して、食べ頃になるまで貯蔵してから出荷されるため、1月〜2月頃が美味しい旬の時期になります。
ポンカンの苗植え
苗植えの適期は3月〜4月頃です。日当たりが良く、強い風や西日の当たらない場所が適しています。庭植えの場合は、冬は敷きワラなどのマルチングを行って寒さ対策をしましょう。鉢植えの場合は、季節や天候などによって鉢を移動させましょう。
用土は水はけのよい土が適していますので、庭植えの場合は掘り起こした土に腐葉土をたっぷり混ぜましょう。鉢植えの場合は市販の果樹用の培養土を使い、植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。また、根付くまでは支柱を添えて支えてあげましょう。鉢植えの場合は、2年に1回、根詰まり対策として一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
ポンカンの水やり・肥料
庭植えの場合は根付いたら降雨だけで問題ありませんが、乾燥が続くようであれば水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土が乾燥したら、たっぷりと水やりをしましょう。
肥料は3月と11月に、油かすなどの有機肥料を与えましょう。
ポンカンの害虫や病気
害虫はアブラムシ、ハダニ、カイガラムシ、アゲハチョウの幼虫が発生することがあります。葉を食害しますので、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気はカビによるソウカ病、細菌によるカイヨウ病、黒点病などがあります。感染すると葉や果実に病斑ができて株が弱ってしまいます。発病した箇所を切り取り、薬剤散布で防除しましょう。
ポンカンの剪定
ポンカンの剪定の適期は2月〜3月頃です。苗木を植えてから2〜3年かけて樹形を作ります。樹形を整えるのは、苗木を植えてから4〜5年経ってからにしましょう。それまでは、枝先を切り戻す程度にしましょう。
4〜5年目以降の整った木の剪定は、混み合っている枝や枯れ枝を切り取り、風通しと日当たりを良くしましょう。ポンカンは春に伸びた枝先に花を咲かせて結実するので、春に伸びた枝は残しながらスッキリさせましょう。
ポンカンの摘果
ポンカンを植え付けてから3年程度は、株を強くするために全ての実を摘果して、株を弱らせないようにしましょう。3年以上経った株で、果実がたくさん実っている場合は、数を減らしてあげることで栄養が行き渡り、味や香りが強くなります。
ポンカンは夏頃に果実が膨らみ始めます。そのときに小さいもの、傷ついたもの、形の悪いものを間引いて摘み取りましょう。葉っぱ100枚に果実が1個が目安で、最も色艶が良い実を選んで残しましょう。
ポンカンの収穫
ポンカンの収穫時期は11月〜12月頃です。収穫した果実は穴を開けたビニール袋に入れて、部屋の中に置いておき、1〜2ヶ月程度追熟させましょう。1月〜2月頃には甘みが増して、食べ頃になります。
追熟した果実は生のままでも美味しく食べられますが、果汁を絞ってジュースにしたり、ジャムなどに加工しても美味しく食べられます。
ポンカンを収穫する際は、枝にあるトゲに注意して、長袖や軍手を着用しましょう。収穫方法は、実を落とさないようにしっかりと持って、茎を少し長めに切りましょう。
ポンカンの花言葉
ポンカンの花言葉は「清純」「天真爛漫」「花嫁の喜び」「豊かな感受性」などがあります。
ポンカンのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
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ポンカンのまとめ
ポンカンは、明治時代から日本でも栽培されている柑橘類で、栄養価も高く、甘くて大きな果実が人気です。白い花や果実にも芳香があり、庭木や果樹として育てられています。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非ポンカンを育ててみてはいかがでしょう！