造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
この記事の監修者
ショウキランとは
植物名 ショウキラン
学 名 Yoania japonica
和 名 鍾馗蘭
英 名 Yoania japonica
科 名 ラン科
属 名 ショウキラン属
ショウキランの特徴
ショウキランは草丈10cm〜25cm程になるラン科の多年草です。日本では7月〜8月頃に開花します。
ショウキランは、よく分枝して肥厚する根茎を持ち、茎は多肉質で直立し、やや赤紫色を帯びた白色です。葉緑素を持たず、半円形の鱗片葉が、茎の基部には密に、上部ではまばらに付きます。
ショウキランの花は茎先に総状花序を出し、2~8個の花を付けます。花は淡い赤紫色で、萼片は長楕円形になり、側花弁は卵形です。唇弁と側花弁の縁には濃い紫色の斑点があり、唇弁には前方に膨らむ淡い黄色の距があります。
ショウキランの名前
ショウキランという名前は、花の形を烏帽子をかぶった鍾馗の姿に見立てて名付けられました。また、近縁種に黄色の花を咲かせる「キバナノショウキラン(黄花鍾馗蘭)」があります。
ショウキランと菌類の関係
ショウキランは、かつて「腐生植物」と呼ばれ、森林の林床に生え、周囲の樹木と外菌根を形成して共生する菌類とモノトロポイド菌根を形成し、そこから栄養を得て生育しています。
つまり、直接的には菌類に寄生し、間接的には菌類と共生する樹木が光合成により作り出している有機物を、菌経由で得て生育しています。古くは周囲の腐葉土から栄養を得ていると思われていて、そのように書いてある著作も多くありますが、腐葉土から有機物を得る能力はありません。
また、ショウキランが外界の有機物を直接摂取するわけではなく、その実際の生育様式はむしろ菌類への寄生であり、最近はその実態をより正確に示すものとして「菌従属栄養植物」と呼ばれています。
ショウキランの詳細情報
園芸分類 | 草花・ラン |
性質 | 多年草 |
開花時期 | 7月〜8月 |
花色 | 淡い赤紫色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | 普通 |
ショウキランの詳しい育て方
ショウキランは日本原産で、北海道西南部、本州、四国、九州、屋久島に分布しています。山地のやや湿り気のある日陰地などに自生しています。また、地域によっては絶滅危惧種に指定されています。
ショウキランの栽培環境
ショウキランは自ら光合成で栄養素を作り出せないため、育てるためには共生する菌類が必要です。菌類がなければ栄養素が摂れずに枯れてしまいます。ただし、菌類を準備するのはなかなか難しいため、菌類が寄生している木材を準備しましょう。
また、ショウキランの生息地は湿気の多い山地です。その環境を人工的に作り出す必要があるため、水持ちのよい腐葉土を用意しましょう。一般的に園芸用として使われているもので大丈夫です。ショウキランと共生する菌類が、この腐葉土から栄養分を得て育ってくれます。
ショウキランは光合成をしないため、太陽の光は特に必要はありません。置き場所としては、日陰でできる限りジメジメした場所が良いでしょう。
ショウキランの水やり・肥料
ショウキランは湿り気のある場所を好むため、土が常に湿っているように水やりをしましょう。ただし、水をやりすぎるとカビが生えてしまうことがあり、その場合は水やりを控え、カビを取り除きましょう。
ショウキランは肥料を与えても吸収できないため、肥料は必要ありません。
ショウキランの害虫や病気
ショウキランは病害虫の心配は特にありません。
ショウキランの花言葉
ショウキランの花言葉は「厄除け」です。
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ショウキランのまとめ
ショウキランは山地のやや湿り気のある日陰地に自生し、光合成を行わず、菌根を形成して共生している「菌従属栄養植物」です。
育てるのは難しいですが、森林の林床などに自生するため、みなさんも是非ショウキランを森林で見てみてはいかがでしょう!