造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
この記事の監修者
アボカドとは
植物名 アボカド
学 名 Persea americana
和 名 鰐梨(ワニナシ)
英 名 Avocado / Alligator pear
科 名 クスノキ科
属 名 ワニナシ属
アボカドの特徴
アボカドの木は樹高10m〜25m程になるクスノキ科の常緑高木です。日本では4月〜5月頃に花を咲かせます。
アボカドの花は、枝先の葉腋から円錐花序を出します。花は黄緑色で径1cm~2cm程になり、花被片は6個あります。花柄や花被片には柔らかい黄緑~淡黄色の毛が密に生えます。
アボカドの葉は螺旋状に互生する単葉で、長さ5cm~30cm程で形や大きさは変化に富みます。葉は全縁で羽状の葉脈が目立ち、裏面は灰色を帯びます。
アボカドの果実は液果で、長さ7cm~20cm程の楕円状卵形~洋梨形で、果皮は革質で厚く、光沢のある黄褐色から暗紫緑色になり、細点が目立つものからイボ状突起に覆われるものまで様々です。果肉は黄色~黄緑色で食べられます。中には1個の球形の種子があります。
アボカドの名前
アボカドという名前は、メキシコのアステカ族の呼名「アファアト(Ahuacatl)」がスペイン語、英語でなまって発音されたことが由来と言われています。日本では、果実の表皮がワニの肌に似ていることから「鰐梨(ワニナシ)」とも呼ばれています。また、良質な不飽和脂肪酸に富み、濃厚な味わいと脂肪分が豊富なことから「森のバター」とも呼ばれています。
アボカドの品種
アボカドには3系統1000品種以上があると言われています。実の大きさは品種によって様々で、小さいメキシコーラ種では100g前後、西インド諸島の品種は1kgを超えるものもあります。日本で売られているものは、皮がゴツゴツしていて、熟すと黒くなるグアテマラ系の「ハス種」です。
メキシコ系
葉にアニスの香りがあり、果皮が薄い品種です。アボカドの中では耐寒性があり、味は濃厚ですが、種が大きく可食部は少ないのが特徴です。
グアテマラ系
日本で売られているアボカドはハス種であるが、ハス種はグアテマラ系です。グアテマラ系といっても実の大きさは品種毎に様々ですが果皮は厚く、葉にアニスの香りはありません。他のアボカド系統と比べると、種は小さめで、可食部は多めです。
西インド諸島系
葉にアニスの香りはなく、実の大きさは品種毎に様々で、果皮は薄い品種です。寒さに弱いアボカドの中でも西インド諸島系は最も寒さに弱い品種で、日本では唯一沖縄県でのみ栽培が可能です。
アボカドの食用
日本の店頭で販売されているアボカドは皮が緑色で、完熟していないものが多いですが、常温で放置することで追熟がすすみ食べやすくなります。表皮を軽く押してわずかに柔らかさを感じるほどに軟化すれば食べ頃の目安で、熟すと果皮の色がより黒っぽくなりますが、熟しても緑色のままの品種もあります。
アボカドの果実は、サラダ、タコス、サンドイッチ、ハンバーガー、巻き寿司(カリフォルニアロール)の具材としてよく食べられています。日本では「ワサビ(山葵)」と醤油に浸して食べたり、マヨネーズに付けて食べることもあります。
日本ではチリ産、ペルー産、ニュージーランド産のアボカドも流通していますが、ほとんどはメキシコ産のハス種で、メキシコはアボカドの生産量・消費量ともに世界一です。メキシコではトルティーヤのチップスで掬って食べたり、各種の料理のソースにしたり、ニュージーランドではサラダにすることが多く、バターの代わりにトーストに塗ったり、アイスクリームにしたり、サーモンと合わせて食べることもあります。
また、アボカドは不飽和脂肪酸が豊富であり、「アボカドオイル」の材料にもなります。このオイルは食用だけでなく、石鹸の材料にもなり、ブラジルではアボカドで作った石鹸も多く使用されています。
アボカドの栄養価
世界的に最も多く栽培され、日本で最も多く売られているハス種は、果肉に脂肪分が約18〜25%含まれていて、アボカドのエネルギーの77%は脂肪由来であり、そのうちの67%は一価不飽和脂肪酸であり、残りは多価不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸で構成されています。飽和脂肪は3.2g、不飽和脂肪は17.4g含まれています。
世界的に最も多く栽培され、日本で最も多く売られているハス種は、果肉に脂肪分が約18〜25%含まれていて、アボカドのエネルギーの77%は脂肪由来であり、そのうちの67%は一価不飽和脂肪酸であり、残りは多価不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸で構成されています。飽和脂肪は3.2g、不飽和脂肪は17.4g含まれています。
アボカドは世界一栄養価の高い果物としてギネスに認定されています。全ての果物の中で最もカロリーが高く、糖分はほとんど含まず、ビタミンB1・ビタミンB2、ビタミンKといった10種類を超えるビタミン、11種類のミネラル、食物繊維を豊富に含んでいて、この豊富な栄養素はアボカドの脂肪分に凝縮されています。
また、果物としてはビタミンEの含有量も高く、アボカド1個半程度で成人男性に必要なビタミンEを摂取できます。微量ながらタンパク質も含み、カリウムの含有量はバナナよりも上です。
アボカドの毒性
アボカドの果実、種子、葉にはペルシンという物質が含まれていて、人間以外の動物には中毒反応を起こします。天然ゴムに対するアレルギーを持つ人の場合、アボカドに対しても症状を発することがあります。インコ、オウム、モルモット、ウサギ、ヤギ、家畜などに与えると痙攣や呼吸困難を引き起こす場合があります。ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、フェレットに対しても毒性を示すことがあるため、ペットなどに食べさせないように注意が必要です。
アボカドの未熟な果実や種子、葉にはドーパミンやメチルカビコールも含んでおり、アボカドの種子を砕いたものをネズミの駆除剤にすることもありますが、効果はそこまで高くはないと言われています。アボカドの毒性はそれほど強いものではないのですが、アボカドの葉を大量に食べたヤギが死亡した例もあります。
アボカドの詳細情報
園芸分類 | 庭木・果樹 |
性質 | 常緑高木 |
開花時期 | 4月〜5月 |
花色 | 黄緑色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 普通 |
耐陰性 | やや弱い |
アボカドの詳しい育て方
アボカドはメキシコ、南アメリカの原産で、メキシコはアボカドの生産量・消費量ともに世界一です。国内ではほとんどが輸入物ですが、和歌山県、愛媛県、高知県、長崎県、鹿児島県、沖縄県でも栽培されています。
日本では年間を通して流通していますが、最も流通しているメキシコ産のアボカドは、3月〜6月頃が美味しい旬の時期です。国産のアボカドは11月〜1月頃が旬の時期です。
アボカドの種まき
アボカドから種を取り出したらきれいに洗い、なるべく早めに植え付けましょう。茶色い表皮が剥がれそうであれば、芽が出やすいように剥がしておきましょう。植え付ける際は、種の尖った方を上にして、丸みのある方を下にして置きましょう。種の2/3が土に埋まるようにして、たっぷりと水を与え、直射日光が当たらない明るい場所で管理しましょう。
アボカドは種まきからも栽培できますが、発芽までは数ヶ月かかることもあり、種まきから収穫までは5〜10年程かかりますので、ホームセンターやネットショップで苗を購入して植え付けた方が簡単に栽培することができます。
アボカドを受粉させるために
アボカドは雌雄異熟花といって、雄花と雌花が午前中と午後に交互に咲くなど、同時に咲かないため自家受粉が難しい樹木です。そのため、収穫目的の場合は、タイプの違う品種を混植して受粉させるようにしましょう。
主なタイプとして、ハス種、アナハイム種、デューク種、マッカーサー種、メキシコーラ種、ピンカートン種はAタイプです。
また、ベーコン種、クリフトン種、エドノール種、フェルテ種、ズタノ種、サンタナ種はBタイプです。
アボカドの植え付け
植え付けの適期は5月〜6月頃です。植え替えもこの時期に行いましょう。日当たりと風通しの良い場所を好みますが、幼木のうちは暑さにも寒さにも弱いため樹高が1m以上になるまでは夏と冬は室内で育成しましょう。用土は花と野菜の培養土を使って植え付けたら、たっぷりと水やりをしましょう。また、2年に1度を目安に植え替えをしましょう。プランターで育てる場合は、その都度鉢の大きさを大きくしましょう。
アボカドの水やり・肥料
アボカドは生育期は水切れを起こしやすいので注意しましょう。用土の表面が乾いたら水やりをして、根付いたら降雨だけで問題ありませんが、乾燥するようなら水やりをしましょう。
肥料は、芽吹き前の3月と、暑さが落ち着いた9月頃に、緩効性化成肥料を株元に与えましょう。
アボカドの害虫や病気
害虫は、ハダニ、カイガラムシが発生することがあります。害虫に食害されると株が弱ってしまったり、観賞価値が下がるため、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気は、炭そ病があります。カビの一種で、湿度が高い環境で発生しやすいため、不要な枝を落として風通しを良くしましょう。葉に黒褐色の病斑が現れますので、病気の部分は取り除き、殺菌剤を散布して防除しましょう。
アボカドの剪定
アボカドは樹勢が強く、直立した枝が多く出ますが、混み合っている枝や、枯れ枝を取り除き、花付きを良くするために水平方向に伸びる枝を残すようにしましょう。剪定は4月〜5月頃が適期です。
アボカドは成長すると樹高が10m以上になるため、収穫しやすいように高さを抑えて剪定しましょう。また、切り口には癒合剤を塗りましょう。
アボカドの収穫
庭上の場合は、3〜5年程で花が咲きますが、アボカドは雌雄異熟花といって、雄花と雌花が同時に咲かないため自家受粉が難しい樹木です。そのため、タイプの違う品種を混植して受粉させるようにしましょう。収穫時期は11月〜翌1月頃が適期です。
ただし、鉢植えでは花が咲きづらく、実もなりづらい樹木です。また、基本的に関東地方では戸外での越冬は難しく、関東以北では冬になると枯れてしまいます。
アボカドの花言葉
アボカドの花言葉は「豊かな心」です。
アボカドのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
ホームセンターなどで販売している造花やアーティフィシャルは、どうしても偽物とわかってしまい、観賞価値がありません。
グリーンピースのアーティフィシャルグリーンは、日本の職人が国内で作る業界最高のクオリティです。近くで見ても本物と見間違うほどの圧倒的クオリティで、景観や観賞価値を損ないません。
お好みの樹木をお好みの大きさにオーダーメイドも可能で、天然木を使ったMADE IN JAPANのアーティフィシャルグリーンは個人のご自宅をはじめ、さまざまな商業施設や有名施設でも採用され、多くの方に楽しまれています。実際の施工例などもご紹介しておりますので、ぜひ下のページも御覧ください。
アボカドのまとめ
アボカドは世界一栄養価の高い果物としてギネスに認定され、良質な不飽和脂肪酸に富み、濃厚な味わいと脂肪分が豊富なことから「森のバター」とも呼ばれています。
収穫は難しいかもしれませんが、育てるのは難しくないので、みなさんも是非アボカドを育ててみてはいかがでしょう!