造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ヘクソカズラとは
植物名 ヘクソカズラ
学 名 Paederia scandens
和 名 屁糞葛
別 名 下に記載
英 名 Skunk vine
科 名 アカネ科
属 名 ヘクソカズラ属
ヘクソカズラの特徴
ヘクソカズラはアカネ科のつる性多年草です。日本では7月〜9月頃に開花します。
ヘクソカズラの茎は太くなると木質化して、左巻きに近くの物に絡み付きます。大きさや艶、毛の有無など変異が多い植物です。
ヘクソカズラの葉は対生し、長さ5cm~10cm程の先端が尖った披針形〜広卵形で、基部には三角形の托葉が付きます。また、秋には黄色く黄葉します。
ヘクソカズラの花は、葉腋から短い花序を出して2出集散花序を形成し、花弁と花冠が白く、内面中心が紅色の花を多数咲かせます。花形は漏斗形で、花冠は浅く5裂します。花の色や形には微妙に個体差があり、花びらが広がるタイプや後方へ反り返るタイプがあり、赤い部分の面積にも大小があります。雄しべは5本で花冠の内部に付き、花糸は短く花柱は2個で、基部で合着します。
ヘクソカズラの果実は核果で、長さ6mm程の球形になり、熟すと緑色から黄褐色・薄茶色になります。果皮は萼が変形した偽果皮で、果実の中にある2個の核は分果に相当し、分果は腹面が凹む椀形で表面は粗く、中には1個の種子が入っています。
ヘクソカズラの名前
ヘクソカズラという名前は、葉や茎など全草を傷つけると強い悪臭を放つことから「屁糞かずら」と名付けられました。元々は「屁臭(へくさ)」だったものが転訛したとも言われ、日本最古の和歌集である「万葉集」の中にも「屎葛(くそかずら)」の名で詠まれています。英語では、臭い蔓という意味の「Skunk vine(スカンク・ヴァイン)」と呼ばれています。
本種の可愛らしい花の様子や、花を水に浮かべた姿が田植えをする娘(早乙女)のかぶる笠に似ていることから「サオトメバナ(早乙女花)」「サオトメカズラ(早乙女蔓)」とも呼ばれています。
また、花を伏せて置いた姿が灸に見えることや、花の中の赤い様子が灸を据えた跡に見えることから「ヤイトバナ(灸花)」という別名があり、ほかにも、「ウマクワズ(馬木食)」「ニガイモ(苦芋)」「オドリバナ(踊花)」などの呼び名もあります。
ヘクソカズラの臭い
ヘクソカズラの独特の悪臭成分は「メチルメルカプタン(別名:メタンチオール)」で、本種に含まれる物質のペデロサイドが酵素によって分解されて生成されています。この悪臭成分は、食害を受ける害虫などから身を守るためのもの、すなわちアレロパシーであると考えられています。また、これら成分を持つヘクソカズラは、他の生物との生存競争の上で有利に働き、生き残ることができたとも考えられています。
しかし、蛾の一種である「ホシホウジャク(スズメガ科)」の幼虫がヘクソカズラを食草とします。近年に帰化した本種の寄生者であるヘクソカズラグンバイが分布を広げていて、寄生を受けると葉がまだらに白くなります。また、ヘクソカズラヒゲナガアブラムシという害虫は、ヘクソカズラの悪臭成分を体内に取り込んで、外敵から身を守っています。
ヘクソカズラの利用
ヘクソカズラの干して水分を飛ばした果実、または熟した生の実を薬用とします。生の果実はかなりの臭気を放つのに対して、乾燥したものは不思議と臭いが消えるため、乾燥したものを使うことの方が多く、しもやけ、ひび、あかぎれなどの外用民間薬として、生の果実をすりつぶした汁を皮膚に付けて使われます。民間では、腎臓病、脚気に煎じた液を内服する用法が知られています。
全草を開花期に採取して天日乾燥して調製したものは、「鶏屎藤(けいしとう)」と称する生薬になり、下痢、黄疸に効果があると言われています。また、美肌化粧料として肌に潤いを与える効果もあります。ほかにも、短歌や俳句、ことわざとして詠まれています。
ヘクソカズラの詳細情報
園芸分類 | 草花 |
性質 | つる性多年草 |
開花時期 | 7月〜9月 |
花色 | 白色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 普通 |
ヘクソカズラの詳しい育て方
ヘクソカズラは日本原産の在来種で、北海道、本州、四国、九州、沖縄県に分布しています。日当たりのよい山野や藪、草地、道端、公園などに自生して、街中から山地まで至る所で樹木やフェンスなどに絡みついているものが見られます。
ヘクソカズラの植え付け
苗の植え付けは、3月〜4月頃が適期です。日当たりと風通しの良い場所を好みます。用土は、庭土に腐葉土を混ぜて植え付けたら、たっぷりと水やりをしましょう。鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐため2年に1回程度植替えをしましょう。また、蔓が長く伸びるため、支柱を立てて誘引しましょう。
ヘクソカズラの水やり・肥料
庭植えの場合は、根付いたら降雨だけで問題ありません。鉢植えの場合は、土が乾燥したら水やりをしましょう。
肥料は与えなくても問題ありません。
ヘクソカズラの害虫や病気
害虫はヘクソカズラグンバイ、ホウジャクなどが発生することがあります。食害されても枯れることはありませんが、観賞価値が下がってしまうため見つけたらすぐに取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
ヘクソカズラは病気の心配は特にありません。
ヘクソカズラの切り戻し
放置していると4m〜5m程になり、いろんなものに絡み付きますので、その前につるは切ってしまいましょう。どこで切っても枯れることはありません。切ると、脇芽が出て繁茂します。
また、実は乾燥すると悪臭はしないため、実がまだ乾燥していない時期のつるが柔らかい時期に切ってリースにして、日陰で干していると、実付きのクリスマスリースの土台として使えます。
ヘクソカズラの除去
ヘクソカズラは可愛い花を咲かせますが、悪臭が酷く、お庭や敷地にヘクソカズラが繁茂して、除去に困っている方も多いと思います。一度繁殖してしまうと除去するのが大変なヘクソカズラですが、有効な除去方法もありますので、ご紹介します。
ヘクソカズラの除草
ヘクソカズラを除草して引き抜く方法がありますが、地上から手で抜いても地下茎は途中で切れてしまうので、完全に除去するのは難しいですが、継続して引き抜くことである程度は除去することが可能です。
ただし、地下茎が残っていると時間とともに成長し、また地上に生えてきますので、手で抜いて除去する方法はあまりオススメではありません。
よく耕作する
ヘクソカズラが生えている土をよく耕作して、できるだけ取り除くことで除去することが可能です。毎シーズン深くまで耕し、栄養茎も地下茎も取り除くことでヘクソカズラは生えてこなくなりますが、即効性はなくかなりの手間がかかります。
ヘクソカズラに除草剤
ヘクソカズラを除去する方法としてオススメなのは、除草剤を散布する方法です。ヘクソカズラが厄介な原因となる地下茎まで浸透して根から枯らせる除草剤があります。
除草剤は地上茎から浸透して、地下茎を枯らせますので、散布する際は晴れた日に行いましょう。散布してから5日〜10日程で枯れますが、一度で全てを枯らせるのは難しいので、何度か継続的に散布することで除去することができます。
注意点として除草剤は薬剤が強いため取り扱いには注意が必要です。また、除草剤にはいろいろな種類があり、ヘクソカズラに効果があるものを選びましょう。さらに、除草剤を散布すると近くにある植物も枯れてしまうことがあるので、その点も注意しましょう。
ヘクソカズラに防草シート
ヘクソカズラを生やさないために防草シートを敷く方法もあります。ヘクソカズラ(雑草)は太陽光を浴びて光合成をして成長します。防草シートを敷くことで太陽光を遮断して光合成をさせないことで、成長できません。
防草シートを敷くことでヘクソカズラや他の雑草も生えなくなりますが、シートを敷き詰めて専用のピンで固定する手間がかかります。また、隙間があるとそこからヘクソカズラが生えてきたり、安価なシートを選ぶとすぐに劣化して交換する手間もかかります。
あまり効果がないヘクソカズラの除去方法
ヘクソカズラをバーナーで焼く方法は、地表は綺麗になりますが、地下茎が残るため、一時的なもので、すぐに生えてきます。
ヘクソカズラに熱湯をかける方法も地表は枯れますが、地下茎が残るため、一時的なもので、またすぐに生えてきます。
ヘクソカズラに塩をまく方法は、地表部分は枯れますが、地下茎が残るため、一時的なもので、すぐに生えてきます。また、塩をまくと他の植物も育たなくなるうえに、コンクリートや鉄など家の基礎や配管にも悪影響を及ぼしますので、塩をまくのはやめましょう。
ヘクソカズラの誕生花と花言葉
ヘクソカズラは「9月9日」の誕生花です。
ヘクソカズラの花言葉は「人嫌い」「誤解を解きたい」「意外性のある」です。
お花のある生活
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ヘクソカズラのまとめ
ヘクソカズラはつるを伸ばして成長し、夏には白い可愛い花をたくさん咲かせます。ただし、名前の通り、傷つけると悪臭がします。
育てるのはそんなに難しくないので、必要以上の繁茂には注意が必要ですが、みなさんも是非ヘクソカズラを育ててみてはいかがでしょう!