造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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シロツメクサとは
植物名 シロツメクサ
学 名 Trifolium repens
和 名 白詰草
別 名 クローバー
英 名 White clover
科 名 マメ科
属 名 シャジクソウ属
シロツメクサの特徴
シロツメクサは草丈10cm〜20cm程になるマメ科の多年草です。日本では4月〜8月頃に花を咲かせます。
シロツメクサの茎は地面近くを這って伸び、節から根を出して繁茂します。
シロツメクサの花は、10cm以上の花茎を伸ばし、白色で長さ1cm程の蝶形花を30~80個程、密に付けて、径3cm程の球状の総状花序を作ります。
シロツメクサの葉は、長い葉柄が立ち上がり、その先端に長さ・幅ともに1cm〜3cm程の卵形または心臓形の3枚の小葉が付きます。葉の表面には緑白色でV字形の斑紋があり、縁には細かい鋸歯(きょし)があります。
シロツメクサの果実は、長さ5mm程の細長い豆果で、果実は宿存する花冠と萼に包まれ、熟しても裂開しません。中には数個の種子が入ります。
シロツメクサの利用
シロツメクサは江戸時代に、オランダから長崎に輸入されたガラス器を衝撃から守るために、乾燥したシロツメクサを緩衝材として使用していました。そのため、「詰草」という名前が付き、本種は白い花を咲かせることから「白詰草」と呼ばれています。
シロツメクサはマメ科の植物で、根粒菌の作用により窒素を固定することから、地力が向上する植物として芝草や果樹園の下草、法面などの保護(法面緑化工)など、緑化資材にも用いられています。ただし、芝生を台無しにすることもあるので一部園芸家は嫌悪しています。
シロツメクサの花は、濃厚な蜂蜜が得られる蜜源植物でもあります。食用として若葉は、塩茹でして葉柄が柔らかくなったら冷水で素早く冷まし、胡麻和え、辛子和え、甘酢などで食べられています。また、花は天ぷらに用いられます。
シロツメクサの葉は通常3枚ですが、見つけると良いことがあると言われる4枚葉の「四つ葉のクローバー」があります。ごく稀ですが、5枚以上の葉のものもあり、七つ葉や八つ葉なども確認されています。
・クローバーの葉の枚数に関しては、2009年5月10日に小原繁男さんが、「56枚葉のクローバー」を発見して、ギネスブックに登録されています。
シロツメクサとカタバミ
シロツメクサと葉がよく似ていて、混同される「カタバミ(片喰)」という植物がありますが、これは全く別種の植物です。
見分け方としては、シロツメクサの葉は先端が丸く、白いV字の模様が入りますが、カタバミの葉は先端が凹むハート形になります。
クローバーの葉として、ロゴマークなどで使用しているものの中には、葉をハート形に描いているものもありますが、これは誤りで、クローバーの葉はハート形ではなく、よく間違われるカタバミの葉になっているケースがあります。
また、シロツメクサと同様に、カタバミにも四つ葉や六つ葉といった多葉変異体が発生しますが、発生率はクローバーのそれに比べると低いと言われています。
シロツメクサとムラサキツメクサ
シロツメクサの近縁種で、似ている植物に「ムラサキツメクサ(紫詰草)」があります。シロツメクサの赤花品種と思われていますが、花色以外にも違いがあります。
シロツメクサは匍匐枝(ランナー)を伸ばして、横に這って広がるのに対して、ムラサキツメクサは茎が横に這わず、茎が立ち上がります。そのため、本種の方が草丈が低く、踏みつけに強い性質を持ちますが、ムラサキツメクサは踏みつけにあまり強くありません。
ほかには、シロツメクサの葉は小さく、卵形または心臓形になるのに対して、ムラサキツメクサは葉が大きく、倒卵形になり、形も違います。また、シロツメクサにある「四つ葉のクローバー」に対して、ムラサキツメクサは普通、四つ葉にはなりません。
シロツメクサの詳細情報
園芸分類 | 草花 |
性質 | 多年草 |
開花時期 | 4月〜8月 |
花色 | 白色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
耐陰性 | 普通 |
シロツメクサの詳しい育て方
シロツメクサはヨーロッパ原産で、北半球の温暖な地域に広く分布しています。日本には明治以降に牧草として、あらためて渡来し、繁殖力が旺盛なため全国各地に帰化して自生しています。人里や田畑、市街地まで幅広い環境に適応して、特に空き地や田畑、芝生やグラウンドに多く生えます。
シロツメクサの種まき
種まきの適期は3月〜4月と9月〜10月頃で、発芽温度は20℃〜25℃です。用土は赤玉土と腐葉土を混ぜたものを使い、元肥として緩効性化成肥料を少なめに混ぜて、平らに均しましょう。
種をまいたら1cm〜2cm程の厚さに覆土して、水やりをして、乾燥させないように管理しましょう。発芽日数は7日〜10日程です。
シロツメクサの苗植え
苗植えの適期は4月〜5月と9月〜10月頃です。日当たりの良い場所を好みますが、真夏の暑さに弱いので、半日陰などで管理しましょう。用土は市販の花の培養土か、赤玉土に腐葉土を混ぜたものを使いましょう。
シロツメクサの水やり・肥料
地植えの場合は、根付いてからは降雨で問題ありませんが、乾燥しているようなら水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土が乾いたら水やりをしましょう。特に生育期の3月〜5月は水を欲しがります。また、夏の高温多湿には弱いので、水を控えましょう。
シロツメクサはマメ科植物で、根に窒素を吸収する菌が住んでいて、肥料がなくても育ちます。鉢植えの場合は、生育期に元気がない時に限り、液体肥料を2週間に1回程度与えましょう。
シロツメクサの害虫や病気
害虫はアザミウマやハダニ、アブラムシなどが発生することがあります。食害されると景観価値が下がってしまい、株が弱ってしまうので、見つけたら取り除き、早めに薬剤散布で防除しましょう。
シロツメクサは病気の心配は特にありません。
シロツメクサの生育と除去
シロツメクサは芝生の変わりに植えたり、地表部を覆い隠すことで雑草の繁殖を抑え、窒素分を地中に蓄えて、土地を豊かにしてくれるため、緑花資材やグラウンドカバーとして用いられます。
ただし、シロツメクサは繁殖力が異常に強く、引っこ抜いても根が残っていたり種がこぼれていたりして、環境が合うとどんどんと繁殖して、除去が難しくなることがあります。シロツメクサは生育場所に注意し、除去する際は下記の方法が有効です。
よく耕作する
シロツメクサが生えている土をよく耕作して、できるだけ取り除くことで除去することが可能です。毎シーズン深くまで耕し、根から取り除くことでシロツメクサは生えてこなくなりますが、即効性はなくかなりの手間がかかります。
シロツメクサに除草剤
シロツメクサを除去する方法としてオススメなのは、除草剤を散布する方法です。シロツメクサが厄介な原因となる根まで浸透して根から枯らせる除草剤があります。
除草剤は葉から浸透して、根を枯らせますので、散布する際は晴れた日に行いましょう。散布してから5日〜10日程で枯れますが、一度で全てを枯らせるのは難しいので、何度か継続的に散布することで除去することができます。
注意点として除草剤は薬剤が強いため取り扱いには注意が必要です。また、除草剤にはいろいろな種類があり、シロツメクサに効果があるものを選びましょう。さらに、除草剤を散布すると近くにある植物も枯れてしまうことがあるので、その点も注意しましょう。
シロツメクサに防草シート
シロツメクサを生やさないために防草シートを敷く方法もあります。シロツメクサ(雑草)は太陽光を浴びて光合成をして成長します。防草シートを敷くことで太陽光を遮断して光合成をさせないことで、成長できません。
防草シートを敷くことでシロツメクサや他の雑草も生えなくなりますが、シートを敷き詰めて専用のピンで固定する手間がかかります。また、隙間があるとそこからシロツメクサが生えてきたり、安価なシートを選ぶとすぐに劣化して交換する手間もかかります。
シロツメクサの誕生花・花言葉
シロツメクサは「1月16日」「3月3日」「4月4日」「5月9日」「5月27日」「6月17日」「8月29日」「8月31日」「11月16日」の誕生花です。
シロツメクサ全般の花言葉は「復讐」「約束」「幸運」「私を思って」です。
シロツメクサは、聖パトリックが3枚の葉を「信・望・愛」にたとえ、4枚目の葉を「幸福」、五つ葉のものは「金運」、六つ葉のものは「名声」、七つ葉のものは「無限の幸運」と説いたとする言い伝えがあり、これが花言葉の由来と言われています。
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シロツメクサのまとめ
シロツメクサは絨毯のように敷き詰められて育ち、可愛らしい花を咲かせます。また、その葉も可愛らしく、特に「四つ葉のクローバー」は見つけると良いことがあるとして親しまれています。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非シロツメクサを育ててみてはいかがでしょう!