造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ダイコンとは
植物名 ダイコン
学 名 Raphanus sativus var. hortensis
和 名 大根
別 名 下に記載
英 名 Daikon radish
科 名 アブラナ科
属 名 ダイコン属
ダイコンの特徴
ダイコンは草丈50cm〜100cm程になるアブラナ科の越年草(二年草)です。日本では4月〜5月頃に開花します。
ダイコンの根は品種によって様々で、太く長いものや細いもの、扁球形、長球形などがあり、地中に埋まっているものから地上部に出てくるものもあります。外皮の色は普通白ですが、緑色や赤色、黒色もあります。根の部分は両側一列ずつ二次根が発生し、流通しているものはその痕跡が凹んだ点の列として見られます。
ダイコンの根出葉は束生してロゼット状に付き、倒披針形で羽状に深く裂ける羽状複葉で、頂小葉は大きく、普通は粗い毛があります。
ダイコンの花は、花茎を伸ばした先に総状花序を付けて、白または淡紫色の十字形の4弁花を多数咲かせます。
ダイコンの果実は長角果で、長さは5cm程になり、種子と種子の間がくびれていて、膨らんだ部分に種子が入っています。ほかのアブラナ属と異なり、熟しても裂開しません。
ダイコンの名前
ダイコンは古くは「大きな根」の意味で「おおね」と呼ばれ、「大根」の字を当てていたものが、いつしか音読みされて「だいこん」と呼ばれるようになりました。日本のダイコンは根茎部分が白い品種で、春の七草では「すずしろ(清白/蘿蔔)」とも呼ばれています。
ダイコンは英語で「radish」と言いますが、英語圏ではラディッシュと言えば「ハツカダイコン(二十日大根)」のことで、日本のダイコンとは異なるため、ダイコンを英語で「Daikon radish」や、「Japanese radish」などと言います。
ダイコンの品種
日本で最も一般的に流通している品種は色が白くてクビが青い青首大根ですが、日本各地に在来種があり、赤色や赤紫色など、形も様々で、特に九州南部は独自性が強いとされています。
日本の在来種は100種以上あると言われていますが、青首大根などの一部の品種が大半を占めるようになり、在来種の衰退が著しい傾向がありますが、細長いものや丸いもの、辛味の強い品種などの特徴がある地方品種は今も守られています。その一部をご紹介します。
青首大根(あおくびだいこん)
昭和50年代に急速に普及した現在の主流品種で、季節を問わず収穫できることから作付面積の98%を占めるとも言われています。根茎は少し地面から出て、クビと呼ばれる日に当たるところは淡い緑色をしています。地上に伸びる性質が強く収穫作業が楽で、辛みが少なく甘みが強いのが特徴です。
白首大根(しろくびだいこん)
胚軸が発達しないため、緑色の部分が無い品種です。東京都練馬区の在来種である練馬大根は50cm〜100cm程になり、沢庵などの漬物に使われています。神奈川県三浦半島が主産地の三浦大根は、長さ60cm程で真ん中から下部が下膨れして、柔らかく、煮物や沢庵などに使われます。
辛味大根(からみだいこん)
長さが15cm〜20cm程と小さいダイコンで、群馬産が知られていますが、長野産や京都産の品種もあります。汁気が少なく、辛味が非常に強い品種で、大根おろしにして使うのが一般的で、蕎麦などの薬味に用いられています。
紅芯大根(こうしんだいこん)
中国原産で、「紅心美(ホンシンメイ)」とも呼ばれています。直径10cm程の丸形で、表面の皮が白から淡緑色になり、中が鮮紅色になります。消化酵素のジアスターゼやビタミンCが豊富で、茹でると白くなり、食感は柔らかくて甘味が強く、サラダやピクルス、浅漬けなどに向いています。
亀戸大根(かめいどだいこん)
江戸時代から東京江東区の亀戸で作られたというダイコンです。茎は白く形は小ぶりで、先が細くなり、肌はきめ細かくなります。肉質は緻密で、辛味の中にほんのりと甘味があり、ビタミンCが豊富に含まれています。
レディーサラダ(れでぃーさらだ)
三浦市農協により、三浦大根から品種改良した神奈川県三浦市の特産品種です。長さは20cm程と小型で、中は白く、やや辛味があり、繊維が柔らかいため、生のままサラダなどにして使われています。
源助大根(げんすけだいこん)
加賀野菜の一つとして知られ、青首系と練馬系から生まれたとされる品種です。太く短く、甘味が強く煮崩れしにくいことから、おでんなど煮物に向いていますが、柔らかいため、沢庵漬けには向いていません。
ねずみ大根(ねずみだいこん)
長野県坂城町の伝統野菜で、栽培地から「なかんじょ(中之条)大根」とも呼ばれています。太い可食部の下に細い根が伸びた姿がネズミに似ていることから名付けられました。可食部の長さは13cm程、太さは8cm程と一般的なダイコンより小ぶりで、葉の形も特徴的です。辛味が強く、地元では漬物や大根おろしに使うほか、しぼり汁に付けた「おしぼりうどん」が食べられています。
聖護院大根(しょうごいんだいこん)
京野菜の一つとして知られ、カブのような球形になるのが特徴です。大きいものは2kg程にもなり、甘味があり、煮崩れしにくいことから、煮物に向いています。
守口大根(もりぐちだいこん)
長さが2m程にもなり、ゴボウのように細長くなる世界最長のダイコンです。主に守口漬に使われる品種で、原産地は大阪府守口市ですが、現在は名古屋や岐阜の名産として知られています。
女山大根(おんなやまだいこん)
佐賀県多久市に伝わる伝統野菜で、アントシアニンを含むため赤紫色の表皮と茎を持ち、中身は白くなります。青首大根より大振りで最大で長さ80cm程、胴回り60cm程、重さ13kg程にもなります。強い甘みと肉質が硬く煮崩れしにくいのが特徴の品種です。
桜島大根(さくらじまだいこん)
鹿児島県の桜島特産品種です。ダイコンの中で最も大きい品種であり、重さ10〜25kg程、大きいものでは30kgを超えるものもあります。胴回りが太く、カブのような甘味があり、肉質は緻密で煮崩れしにくい特徴があります。
ダイコンの食用
ダイコンは生食したり、煮たり漬物にして食べたりと、古くから馴染みのある野菜で、肥大した根茎は淡色野菜、葉は緑黄色野菜に分類されます。大根は皮に傷がなくて光沢があるものが良品とされ、葉は鮮やかな緑色でみずみずしいものが良いと言われています。また、ダイコンは「スズシロ」と呼ばれ、春の七草の一つとして七草粥に使われています。
ダイコンの根
ダイコンの根は生食や、加熱調理、保存用に漬け物、乾物とされるほか、辛みを生かして香辛料にも利用されています。品種によって異なりますが、青首大根は部位によって味わいが違うと言われ、クビと呼ばれる葉に近い部分は汁が多くて甘味があり、サキとよばれる先端部分は汁が少なく辛味があるなど、部位によって味や調理方法が変わることもあります。
生食では大根おろしやサラダ、刺身のツマなどにしたり、加熱調理ではおでんや味噌汁、ぶり大根、風呂吹きなどにして食べられたり、沢庵や福神漬、べったら漬け、いぶりがっこなどの漬物にしたり、切り干し大根などの乾物など、幅広く食べられています。
ダイコンの葉
ダイコンの葉は春の七草のスズシロとしても知られ、栄養価の高い野菜ですが、日ごとに葉が枯れてきてしまうため、入手できたら新鮮なうちに切り落として調理する方が良いと言われています。葉には灰汁があるため、細かく刻んだら水につけてアクや青臭みを抜いて調理しましょう。
ダイコンの葉は、発芽から数週間で間引きした苗を「間引き菜」、葉の長さが20cm程に育ったものを収穫したものを「もみ菜」と呼び、ダイコンを収穫した際の葉は広く利用されていましたが、現在では流通の都合などであまり流通せず、稀に葉付きダイコンと称して販売されています。
春の七草
1月7日の「人日の節句」の朝に、7種の野菜が入った「七草粥」を食べると邪気を払い万病を除くと古くから言い伝えられてきた風習があり、お正月で疲れた胃を休めて、不足しがちな栄養素を補うとも言われています。この七草粥に用いる以下の7種の野菜(草)を「春の七草」と呼びます。
ダイコンの栄養素
ダイコンの根茎部は約95%が水分で、炭水化物が少量含まれるだけで、タンパク質も脂質もわずかですが、ビタミン・ミネラル類は、脂溶性ビタミンを除けば、全体的にバランスよく含んでいて、皮を剥かないですりおろしたものはビタミンC、カリウム、食物繊維を豊富に含み、特にクビに近いところは、ビタミンCや食物繊維が豊富です。
根茎には消化酵素であるアミラーゼ(ジアスターゼ)、タンパク質を分解するプロアテーゼを多く含み、デンプンの消化促進に役立ち、消化不良を解消し、胃酸の出を調整して胃もたれや胸焼け防止の働きがあると言われています。これら栄養素は、加熱や酸化に弱い性質があるため、大根おろしやサラダなどにして、生食した方が効果的に摂取できると言われています。
ダイコンの葉の部分は、β-カロテン、ビタミンA、ビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄分などが豊富に含まれ、カルシウム、鉄、カリウムなどのミネラル類は、根茎部の2〜10倍も含んでおり、ビタミン類では根には全く含まれていないカロテンが、「ホウレンソウ(菠薐草)」と同じくらい含まれています。野菜から摂りにくいとされるビタミンEも豊富で、ビタミンCも根茎部の数倍になると言われています。
ダイコンの薬用
ダイコンの生の根茎は「莱菔(らいふく)」、薬用に天日で乾燥した種子は「莱菔子(らいふくし)」と称して薬用にも利用され、種子は身体を温める作用、根には身体を冷やす作用があると言われています。
ダイコンの根茎には、ヒドラドペクチン、アデニン、ヒスチジン、アルギニンを含んでおり、葉にはシスチン、アルギニン、リジン、精油などを含んでいます。根にはアミラーゼやオキシターゼという酵素が含まれ、アミラーゼはデンプンを分解して胃もたれ、胸やけを解消するなど胃腸の働きを正常にし、オキシターゼは魚の焼け焦げに含まれることがある発がん性物質を解毒すると考えられています。辛味成分になっているイソチオシアネートは、肝臓の解毒作用を助け、がんの発生を抑制すると言われ、「医師が進める冬野菜NO.1」と言われています。
ダイコンの歴史
ダイコンは紀元前2200年の古代エジプトで、今のハツカダイコンに近いものがピラミッド建設労働者の食料とされていたのが最古の栽培記録とされ、その後ユーラシアの各地へ伝わります。中国では西城から伝わったとみられ、紀元前4世紀にはすでに記録があります。ヨーロッパ各地への普及は、15世紀になってからイギリスで栽培されるようになり、フランスでは16世紀頃から栽培が始められていました。
日本には弥生時代には伝わっており、奈良時代の歴史書「日本書紀」にも記され、仁徳天皇の歌に「於朋泥」おほね)」として登場するのが最も古い記録であり、一般に食べられるようになったのは江戸時代からで、江戸時代前期にはいくつかの品種の成立と栽培法が確立しており、凶作時や冬場の保存食としても重宝されていました。
ダイコンの詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
性質 | 越年草(二年草) |
開花時期 | 4月〜5月 |
花色 | 白色・淡紫色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 強い |
ダイコンの詳しい育て方
ダイコンは野生種が見つかっておらず、地中海地方や中東など諸説ありますが、原産地は確定されていません。栽培種は中央アジアが起源地の一つと考えられています。
ダイコンは栽培、統計上は「春だいこん」「夏だいこん」「秋冬だいこん」に区分され、全国的に生産されていますが、収穫量が多い地域は千葉県、北海道、青森県で、冬野菜の代表格とも評されていますが1年を通して流通しています。そんなダイコンの最も美味しい旬の時期は11月〜翌2月頃の寒い時期です。
ダイコンの種まき
ダイコンは涼しい気候を好み、夏の時期を避けた春まきと秋まきで、年に2回収穫できますが、秋まきの方がとうが立ちにくく作りやすいです。ダイコンは植え替えができないので、種は畑に直播きしましょう。
種まきの2週間前に苦土石灰を混ぜて耕し、1週間前にたい肥と元肥を施し、再びよく耕しましょう。その後、幅70cm、高さ20cm~30cmの畝を作り、株間30cm程で1ヶ所に4〜5粒を点まきしましょう。軽く覆土をして鎮圧したら、たっぷりと水をやりましょう。種をまいた後に防虫ネットをかけてあげれば、害虫対策になります。
種まきの適期は3月〜4月頃と、9月頃で、発芽温度は15℃〜20℃です。また、発芽日数は3日〜5日程です。ダイコンは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を1〜3年あけるようにしましょう。
ダイコンの間引き
間引きは本葉が2枚出た時に1回目の間引きを行い3本立ちにして、本葉が5~6枚で2回目の間引きを行い1本立ちにしましょう。間引く際に、残す根を傷めないように丁寧に間引きましょう。
ダイコンの水やり・肥料
過湿になりすぎると病気の原因になってしまいますが、土が極端に乾燥しないように水やりをしましょう。
肥料は2回目の間引きの後、畝の肩に追肥を施しましょう。その後、除草を兼ねて周りの土をほぐして2〜3回、中耕と土寄せをしましょう。
ダイコンの害虫や病気
害虫はアブラムシ、アオムシ、ヨトウムシ、キスジノミハムシなどが発生することがあります。食害されると味が落ちたり、株が弱ってしまうため、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気はウイルス病、軟腐病などがあり、他にも又根、裂根、曲がったりすることがあります。病気にかかったものは治す方法がないため、抜き取って処分しましょう。形が変形するものは色々な原因があり、障害物や未熟たい肥、肥料が多すぎることも原因になります。
ダイコンの収穫
春まきでは50〜60日、秋まきでは60〜70日程度で収穫できます。収穫時期が近くなると、葉が立ち上がってきます。立ち上がった葉の先端が垂れてきたら、収穫適期のサインです。
収穫方法は、茎の根元の部分と首を持ち、真っ直ぐ上に引き抜くようにして収穫します。収穫適期を過ぎると、割れたり、スが入ったりして味が落ちてしまうため、適期を逃さないようにしましょう。
冬の間も畑に置いておく場合、土の中は適度な湿度と温度が保たれるので、春まで保存することができるようになります。その際は、霜が降りて土から出ている首の部分が凍って傷んでしまうため、ダイコンの首が土にすべて埋まるように土寄せをしておきましょう。
ダイコンの誕生花・花言葉
ダイコンは「3月30日」の誕生花です。
ダイコンの花言葉は「潔白」「適応力」です。
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ダイコンのまとめ
ダイコンは古くから食用として、「すずしろ」という春の七草としても知られ、品種や調理法が豊富で、日本の食卓には欠かせない野菜です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非ダイコンを育ててみてはいかがでしょう!