造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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エンジュとは
植物名 エンジュ
学 名 Styphnolobium japonicum
和 名 槐
別 名 カイジュ/ キフジ
英 名 Japanese Pagoda Tree
科 名 マメ科
属 名 エンジュ属
エンジュの特徴
エンジュは樹高10m〜20m程になるマメ科の落葉高木です。日本では7月〜8月頃に白い蝶々のような可愛い花を咲かせます。
エンジュの樹皮は暗灰白色で、縦に細かく不規則な裂け目を生じます。若枝は緑色で、無毛または短毛があります。
エンジュの花は、枝先の円錐花序に1cm〜2cm程の花を多数付け、花冠は淡い白色の蝶形花です。
エンジュの葉は互生する奇数羽状複葉で、小葉は7個~13個程あり、長さ3cm〜5cm程の細い楕円形で、先端が尖った全縁で表面は緑色、裏面は短毛があり白っぽく、フェルトのようになっています。
エンジュの果実は、長さ3cm〜7cm程の豆果で、種子と種子の間が数珠のように大きくくびれ、枝先から垂れ下がります。さやは肉厚で粘液があり、中には1~4個の種子があり、10月〜11月頃に飴色に熟します。
エンジュの利用
エンジュは木質が固く、家具や楽器、釿(ちょうな)の柄として用いられます。中国では馬車や荷車、造船にも用いられる重要な木材です。ただし現在「エンジュ」の名で床柱などの美観材として流通しているのは別種の「イヌエンジュ」です。
エンジュの新芽は、お茶代わりに用いられ、蕾と種子は染料として使用されています。エンジュの花や蕾にはルチンや、アルカロイドのシチシンを多く含み、サプリメントとして利用されています。
エンジュの花を乾燥させたものは「槐花(かいか)」、蕾を乾燥させたものが「槐花米(かいかべい)」または「槐米(かいべい)」という生薬で、止血作用があります。
エンジュのさやを乾燥させたものは「槐角(かいかく)」という生薬で、止血剤や高血圧に用いられます。また、石鹸の代用として使用されることもあります。
エンジュの文化
エンジュという名は、「イヌエンジュ(犬槐)」の古名である「エニス(恵爾須)」が転訛したものとされています。
中国では、かつて朝廷の庭にエンジュが植えられていたことから、エンジュを品格の高い木、出世の木として大切にしており「末は大臣に」と親は子に期待して、大臣の位を「槐位(カイイ)」と称しました。
日本では、鎌倉時代前期の鎌倉幕府第3代征夷大将軍である源実朝の「金槐和歌集」のタイトルは、実朝が右大臣の位にあったので「槐(エンジュ)」の字を用い、さらに鎌倉の金偏をとって「金槐」としています。
また、エンジュの変種「シダレエンジュ」は、曲がりくねった枝の形を竜の爪に見立てて、中国では「竜爪樹」と呼ばれています。エンジュよりもさらに縁起の良い木として特に好まれ、京都の二条城や東京の代々木公園にも植栽されています。
エンジュの見分け方
エンジュとよく似た樹木に「イヌエンジュ(犬槐)」や「ハリエンジュ(針槐)」がありますが、それぞれの特徴があり、見分け方があります。
エンジュ
エンジュの樹皮は、縦に裂け目が入り、表面がボコボコしています。
エンジュの葉は、先端が尖る細い楕円形です。
エンジュの果実は、数珠状になり豆の形にくびれます。
イヌエンジュ
イヌエンジュの樹皮は、平面的で、菱形の模様が入ります。
イヌエンジュの葉は、先端が鈍く尖る卵形です。
イヌエンジュの果実は、鞘状になります。
ハリエンジュ
ハリエンジュの樹皮は、縦に裂け目が入り、表面がボコボコしています。
ハリエンジュの葉は、楕円形で先端は尖らないか、凹みます。
ハリエンジュの果実は、鞘状になります。
また、ハリエンジュには名前のとおりハリ(トゲ)があります。
天然記念物のエンジュ
日本国内には樹齢数百年以上の天然記念物に指定されているエンジュがあり、その一部をご紹介します。
県・市・町指定の天然記念物
- 茨城県東茨城郡城里町の「小松寺のエンジュ」
- 神奈川県足柄上群中井町の「中井のエンジュ」
- 長野県東御市の「黒槐の木」
- 山口県岩国市の「吉香公園のエンジュ」
- 福岡県春日市の「春日小学校のエンジュ」
エンジュの詳細情報
園芸分類 | 庭木 |
性質 | 落葉高木 |
開花時期 | 7月〜8月 |
花色 | 白色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 強い |
エンジュの詳しい育て方
エンジュは中国の原産で、古くから日本、台湾、韓国などでよく植栽されています。日本では街路樹や公園樹、庭園樹にも用いられ「縁起の良い木」と言われる由縁から、庭木として鬼門の方角や玄関先に植えられています。
エンジュの苗植え
植え付けの適期は3月〜4月頃です。日当たりがよく、少し湿り気のある場所に植え付けましょう。植え穴に腐葉土や堆肥をたっぷり混ぜて、苗より一回り大きめの穴に植え付けて、たっぷりと水やりをしましょう。
エンジュの水やり・肥料
根付いたら降雨だけで問題ありませんが、日照りが続いて土が極端に乾燥したときは水やりをしましょう。
肥料は特に必要としませんが、葉色が悪い場合は開花後に油かすや鶏糞などの有機肥料を施しましょう。
エンジュの害虫や病気
害虫はエンジュヒメハマキ、マメドクガ、アブラムシなどが発生することがあります。幹や枝葉を食害しますので、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気はさび病があります。原因はカビの一種で、感染すると葉が変色し弱ってしまいます。見つけたら感染箇所を取り除き、殺菌剤を散布して被害を食い止めましょう。
エンジュの剪定
エンジュは自然樹形が美しく、剪定をすると樹形が乱れることもあります。エンジュは枝葉を大きく広げて育つため、スペースを確保して管理しましょう。
エンジュの剪定の適期は3月〜4月頃になります。剪定は細い枝や飛び出した枝、混み合っている枝などを間引く程度で問題ありません。
エンジュの誕生木・誕生花・花言葉
エンジュは「8月12日」の誕生木です。
シダレエンジュは「2月5日」の誕生木です。
エンジュは「3月28日」の誕生花です。
エンジュの花言葉は「上品」「幸福」「慕情」です。
エンジュは幸福を呼ぶ縁起の良い木とされていたことから「幸福」という花言葉が付けられました。「上品」という花言葉は、枝の茂り方や白く美しい花を咲かせる、その姿に由来します。「慕情」という花言葉は、エンジュが古くから人々に親しまれて綺麗な花を咲かせることが由来とされています。
エンジュのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
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- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
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エンジュのまとめ
エンジュは幸福を呼ぶ縁起の良い木とされ、庭園などに用いられます。メンテナンスの手間がかからず、可愛い花や特徴的な果実も人気の要因です。
育てるのはそんなに難しくないので、記念樹やシンボルツリーとして、みなさんも是非エンジュを育ててみてはいかがでしょう!