造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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マンゴーとは
植物名 マンゴー
学 名 Mangifera indica
和 名 マンゴー
別 名 菴羅(アンラ) / 菴摩羅(アンマラ)
英 名 Mango
科 名 ウルシ科
属 名 マンゴー属
マンゴーの特徴
マンゴーの木は樹高10m〜40m程になるウルシ科の常緑高木です。開花時期は地域により異なりますが、日本の沖縄県では2月〜3月頃に花を咲かせます。
マンゴーの幹は直立し、樹皮は暗褐色で、枝が横に広がってドーム形の樹形になります。
マンゴーの花は雌雄同株で、枝の先端に長い総状花序を多数付けます。緑色の萼片と黄白色の花弁が各5枚あります。両性花では雄しべは退化して、1個のみが成熟して花粉を生じます。開花後に強烈な腐敗臭を放ち、受粉を助けるハエなどを引寄せているる虫媒花です。
マンゴーの葉は互生する単葉で、長さ10cm〜40cm程の先端が尖った長楕円形~披針形になり、革質で全縁です。表面は濃緑色で光沢があり、裏面は黄緑色でわずかに光沢があります。また、若葉は赤色を帯びています。
マンゴーの果実は核果で、長楕円形~勾玉形になり、果実の表面は黄色、緑色、赤色など変異に富みます。中果皮が黄色からオレンジ色の果肉状に変化し、多汁質で甘酸っぱく、生食できます。マンゴーは栽培品種が数多くあり、果実の大きさや形、色は品種によって異なります。
マンゴーの名前
マンゴーという名前は、英語の「mango」や、ポルトガル語の「manga」、マレー語の「mangga」から伝わったものと言われています。日本で使う漢字表記の「檬果」「芒果」は中国由来の漢字表記で、マレー語の「mangga」に漢字を当てたものです。
マンゴーの別名で「菴羅(あんら)」「菴摩羅(あんまら)」「菴没羅(あんもら)」とも呼ばれていますが、これは原産国のインドでサンスクリットの「アームラ」に当てた漢字です。
マンゴーかぶれ
マンゴーは同科の樹木である「ウルシ(漆)」の成分ウルシオールと似た「マンゴール」という成分を含みます。この成分には接触性皮膚炎(かゆみ)の原因となる物質が含まれており、高率にかぶれを引き起こすため注意が必要です。痒みを伴う湿疹などのかぶれ症状は食べてから数日経って発症・悪化する場合もあります。
マンゴーの歴史
マンゴーの歴史は古く、栽培はインドで4000年以上前から始まっており、仏教では聖なる樹とされ、ヒンドゥー教ではマンゴーは万物を支配する神「プラジャーパティ」の化身とされています。また、リンネの「植物の種」に記載された植物の一つです。
インドは世界最大のマンゴー生産国で、現在では500品種以上が栽培されており、年間の収穫量は約160万tと言われ、世界各国に輸出されています。その中でもデーヴガル産のアルフォンソ・マンゴーが最高だと言われ、日本へも条件付きで輸入されています。
インド以外では、メキシコ・フィリピン・タイ・オーストラリア・台湾が主な生産国で、日本では沖縄県・宮崎県・鹿児島県などで主にハウス栽培されています。国内ではおよそ3,000tのマンゴーが生産されており、品種はほぼ全てがアーウィン種となります。
マンゴーの食用
マンゴーの栄養素は、カロテンが特に豊富に含まれ、ビタミンAやビタミンCも多く、抗酸化作用の効果が期待できます。また、葉酸も含まれ、貧血や口内炎予防にもなると言われています。
食用としては、マンゴーの熟した実を中心にある種に沿って切り、生のまま食用にするほか、ジュース、ラッシー、ピューレ、缶詰、ドライフルーツなどに加工されたり、ムース、ケーキ、シャーベット、スムージー、グミなどの洋生菓子も盛んに作られています。香港のマンゴープリンなども有名で、未熟果は塩漬け、甘酢漬け、チャツネなどに使用されています。
海外の地域によっては「パパイヤ」のようにマンゴーの未熟果実を野菜や、おやつとして食べる文化が一般的です。タイとベトナムでは緑色の未熟果実が庶民のおやつとして食べられていたり、台湾では小ぶりのマンゴーの未熟果実を丸ごとシロップ漬けにしたおやつが食べられています。インドではマンゴーの未熟果実を乾燥させて、粉末にしたものを酸味付けのスパイスとして広く使用されています。
マンゴーの種類
通常のマンゴーは完熟する前に収穫されているため、通常は追熟と呼ばれる経過を経て食べられています。また、国内では通常、マンゴーはハウス栽培にて年中収穫されています。そんなマンゴーは色や形、味、香り、旬の時期などが異なるなど様々な種類があります。
完熟マンゴー/太陽のタマゴ
宮崎県で栽培されるマンゴーは全てが樹上にて完熟し、自然に落果したものを「完熟マンゴー」として出荷しています。通常のマンゴーに比べて、非常に甘く柔らかいことが特徴です。宮崎県産の完熟マンゴーは4月中旬〜7月頃までしか出荷されず、樹上から自然落果するタイミングも測れないため、出荷が不安定となり、他県のマンゴーに比べて高額で取引されています。
また、収穫された完熟マンゴーの中でも厳しい基準をクリアしたもののみ「太陽のタマゴ」というブランド名が付けられ、非常に高額な値段で取引されています。太陽のタマゴも出荷自体は4月後半から行われていますが、糖度が増す6月〜7月が美味しい旬の時期になります。
アップルマンゴー
メキシコ産アーウィン種で、果実は大型で重さ400〜500gにもなります。熟すと果皮が赤くなり、果肉はオレンジ色で、芳醇な香りと濃厚な甘味が特徴です。日本でも宮崎県、沖縄県で栽培されています。6月下旬〜7月中旬が美味しい旬の時期です。
キーツマンゴー
キーツ種に分類されるマンゴーで、重さは500gから大きいものでは2kgにもなります。特徴としては、完熟しても果皮が赤くならず緑色のまま完熟します。果肉は繊維が少なく、アップルマンゴーより深みがあり濃厚な味を楽しめます。沖縄県で栽培されていますが、生産する農家が少ないという事もあり市場に出回りにくいため「幻のマンゴー」とも呼ばれています。8月上旬〜9月上旬が美味しい旬の時期です。
オーストラリアマンゴー
南半球のオーストラリアは、北半球の日本と季節が反対になります。日本の季節が冬になるころ、夏のオーストラリアではマンゴーが旬の季節となり食べ頃を迎えます。果皮が黄色地にピンク色を帯びた色になるため「ピーチマンゴー」とも呼ばれています。口当たりが良く、やさしい甘さがあるのが特徴です。11月〜2月頃が美味しい旬の時期です。
ブラジルマンゴー
アップルマンゴーのケント種で、南半球のブラジル産のため、オーストラリア産と同じく、日本では冬に流通します。繊維質が少なく、滑らかな舌触りと香り漂うクセのない甘さと酸味が特徴です。10月〜12月頃が美味しい旬の時期です。
フィリピンマンゴー
フィリピンマンゴーの果皮は熟すほどに黄色に変化し、果肉は他のマンゴーと比べ繊維質が少なく、口当たりが滑らかで、甘さと酸味のバランスが非常によい特徴があります。フィリピンマンゴーは、外観の見た目がペリカンのくちばしに似ていることから「ペリカンマンゴー」とも呼ばれています。3月〜5月頃が美味しい旬の時期です。
また、外国の商人が木になるマンゴーを見て、農夫に「あれはなんですか?」と質問したところ、マンゴーの木につながれた水牛のことだと勘違いして「カラバオ」と答えたことから、フィリピンのタガログ語で意味する水牛(カラバオ)の名前が市場で広がり「カラバオマンゴー」と呼ばれるようになったというエピソードがあります。
タイマンゴー
タイマンゴーは、色は黄色でフィリピンマンゴーと似ていますが、一回り大きく先がより尖っています。味は酸味が少なく、コクのある甘味で繊維質が少なく滑らかな食感が特徴です。3月〜5月頃が美味しい旬の時期です。
マンゴーの詳細情報
園芸分類 | 庭木・果樹 |
性質 | 常緑高木 |
開花時期 | 2月〜3月(沖縄県) |
花色 | 黄白色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | やや弱い |
マンゴーの詳しい育て方
マンゴーはインドの原産で、明治初期に日本へ渡来し、1970年頃からビニルハウス栽培が本格的に行われています。マンゴーは雨や寒さに弱いため、暖地以外での植栽は難しいかもしれません。
マンゴーの生育環境
日本では露地栽培により果実を実らせることが難しいため、農家ではビニルハウス栽培を採用しています。ハウス栽培を行う目的は、高い気温の確保ではなく、マンゴーの開花時期が日本の雨季と重なるため、水に弱いマンゴーの花粉を雨から守ることで受粉をさせて、結実させるためです。
マンゴーの生育温度は20℃〜30℃です。冬は5℃以下になると弱ってしまい、霜に当たっても枯れてしまいます。また、日光不足でも弱ってしまうため、鉢植えなどの場合は、冬は室内の日が当たる場所で管理しましょう。
マンゴーの苗植え
苗の植え付けは3月〜4月頃が適期です。発育が早く、根詰まりを起こすと生育不良になりますので、鉢植えの場合は、2年に1回、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。その際は、根にダメージを与えないよう、古い土は落とさずに植え付けましょう。用土は果樹用の培養土を使って、植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。
庭植えの場合は、50cm程の穴を掘り、掘り出した土にたい肥を混ぜて、苗の土を崩さないように浅めに植え付けて、たっぷりと水やりをしましょう。
マンゴーの水やり・肥料
根付いてからは降雨で問題ありませんが、実が付いてからは土が乾いたら水やりをしましょう。鉢植えの場合は、水切れを起こさないように管理しましょう。春以降の生育期間中は、土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。11月〜翌3月は成長が落ち着くため、水は控えめに、土が乾いて2〜3日たってから水やりをしましょう。
肥料は育てる地域や環境により与える時期が異なりますが、花が咲く前の3月頃、結実して果実を太らせるために5月〜6月頃、収穫後のお礼肥として8月〜9月頃に化成肥料を与えましょう。肥料が切れると葉っぱの色が悪くなり、花が咲かなくなります。
マンゴーの害虫や病気
害虫はカイガラムシ、ハダニが発生することがあります。害虫に食害されると観賞価値が下がったり、株が弱ってしまうため、見つけたらすぐに取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気は、炭そ病があります。カビの一種で、湿度が高い環境で発生しやすいため、不要な枝を落として風通しを良くしましょう。病気の部分は取り除き、殺菌剤を散布して防除しましょう。
マンゴーの人工受粉
マンゴーは基本的に1本の木で自家受粉するため人工授粉は必要ありません。ただし、花が小さく、受粉を助けてくれる蜂等がいない場合や生育環境によっては結実しないこともあるため、果実を楽しみたい場合は、開花時期に筆などを使って軽く花穂をなでて、人工受粉をしてあげましょう。
マンゴーの摘果
花が大量に咲くと、沢山の実が成ることがあります。大きな樹なら問題ありませんが、鉢植えの場合は、間引いてあげないと実が大きく育ちません。ひとつの枝に1〜2個が目安です。親指程度に膨らんだ実をよく吟味して間引きしましょう。間引かないと甘くならず、大きさも小さめになってしまいます。
マンゴーの収穫
開花から3〜4ヶ月で収穫になります。放置していると、木から落果するため、ネットをかけて、紐で枝に結んでおいて、落ちないようにしておき、落ちたら収穫すれば、傷付かずきれいなまま収穫できます。
マンゴーは収穫から3~7日程度、常温で保存して追熟させてから食べたほうが美味しくなります。その際、冷蔵庫などで冷やしてしまうと追熟が進みませんので、常温で保存しましょう。
マンゴーの剪定
剪定は収穫後の9月〜11月頃が適期です。剪定をする際は、徒長枝や枯れ枝、混み合っている枝を切り取り、風通しを良くしましょう。また、切り口から出る樹液でかぶれる人もいますので、剪定作業をするときは手袋をしましょう。
マンゴーの花言葉
マンゴーの花言葉は「甘いささやき」です。
マンゴーのアーティフィシャルグリーン
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マンゴーのまとめ
マンゴーは沢山の種類があり、インドでは紀元前から栽培され、日本でも沖縄県・宮崎県・鹿児島県などで栽培されるなど、生食や加工食品もあり、人気のフルーツです。
育てるのは少し難しいですが、収穫の楽しみなど、みなさんも是非マンゴーを育ててみてはいかがでしょう!