造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ノザワナとは
植物名 ノザワナ
学 名 Brassica rapa L. var. hakabura
和 名 野沢菜
別 名 信州菜(シンシュウナ)
英 名 Nozawana
科 名 アブラナ科
属 名 アブラナ属
ノザワナの特徴
ノザワナは草丈50cm〜90cm程になるアブラナ科の二年草です。野沢菜漬けの材料として知られる野菜です。
ノザワナの葉は、直立性で葉柄が長く、長さ40cm〜80cm程の長円形で葉の縁が深く切れ込むこともあり、結球はしません。
ノザワナの花は4月〜5月頃が開花期で、花は茎先に総状花序に付き、経1.5cm程の黄色の4弁花です。
ノザワナの名前
ノザワナという名前は、長野県下高井郡野沢温泉村で誕生、栽培されていたことに由来しています。野沢温泉村では本種のことを「蕪菜(かぶな)」と呼んでいましたが、スキー場を訪れた都会のスキー客がカブナの漬け物に感激して「野沢菜漬け」と愛称を付け、それが全国的に広まって「野沢菜」「野沢菜漬け」という呼び名が定着しました。
そんな本種ノザワナは、漬菜として親しまれ、「タカナ(高菜)」「ヒロシマナ(広島菜)」とともに、日本三大菜漬に数えられています。
ノザワナの遺伝子
ノザワナは、一般に「カブ(蕪)」の品種とされていますが、これは1756年に野沢温泉村にある健命寺の住職が京都から「天王寺カブ」の種子を持ち帰り、そこから誕生した品種がノザワナになったという言い伝えがあります。しかし、現代のDNA鑑定で天王寺カブとノザワナは異なる遺伝子であることが証明され、この説は否定されています。
ノザワナは耐寒性に優れるヨーロッパ系の特徴が強く、福島県などで近縁種が確認され、現在ではカブに由来する別の変種であると考えられています。
ノザワナの食用
ノザワナは、葉と茎を漬物にした野沢菜漬けが有名ですが、ほかにも利用されています。間引いた苗はお浸しや浅漬けとして食べられたり、収穫後に残された根は、翌春に芽が伸びて、これを収穫したものを「とうたち菜」として利用されるほか、新たに種を蒔いて「春菜」「うぐいす菜」を育てて、浅漬けとして利用されます。
野沢菜漬けは、畑で根を切り落としてから共同浴場で「お菜洗い(おなあらい)」したのち、大きな木の桶で漬ります。臭いは少なめであっさりした味わいなのが特徴で、家庭ごとに味付けが異なります。
野沢菜漬けは茶受けや酒の肴として広く好まれ、そのまま食べる以外にも色々なレシピがあり、炒め物や炒飯に用いたり、細かく刻んで納豆に薬味として混ぜるなど、広範囲に応用されています。おにぎりやおやき、パスタの具材としても人気が高く、酸味が強くなったものは、醤油・砂糖・油で炒めて「佃煮風」にして食べることもあります。
長野県の北信地域ではノザワナを「お菜」あるいは「なっぱ」、野沢菜漬けを「お葉漬け」と呼び、信州の人たちにとって欠かすことのできない大切なソウルフードの一つです。また、長野県は野沢菜漬けを1983年(昭和58年)に長野県選択無形民俗文化財「信濃の味の文化財」に選択しました。
ノザワナの栄養素
ノザワナは栄養豊富な緑黄色野菜で、主な栄養素は食物繊維、カリウム、β-カロテン、ビタミンC、Kなどが含まれています。特にビタミンCやβ-カロテンが豊富で、これは漬物にしたときにも残るため、しっかりと摂取することができます。
ノザワナの詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
性質 | 二年草 |
開花時期 | 4月〜5月 |
花色 | 黄色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | やや弱い |
ノザワナの詳しい育て方
ノザワナは正確な原産地がわかっていませんが、日本の長野県で古くから栽培され、現在では全国で食べられている野菜です。ノザワナの主な産地は長野県ですが、冬は雪が多く作ることができないため、冬の間は徳島県で栽培されています。11月〜翌2月頃が美味しい旬の時期です。
ノザワナの種まき
ノザワナは秋まきの冬収穫で栽培できます。種まきの適期は9月〜10月頃で、発芽適温は20℃〜25℃です。また、発芽日数は3日〜5日程です。
種は畑に直播きしましょう。種まきの2週間前に、苦土石灰を混ぜながらよく耕しましょう。1週間前にたい肥と元肥を施し、再びよく耕しましょう。畝幅は80cm程、高さ10cm程度に畝を作りましょう。また、連作は避けるため、同じ畑では1〜2年は空けるようにしましょう。
条間20cm程でまき溝をつけて、条播きにしたら5mm程度覆土して、たっぷりと水やりをしましょう。発芽までは乾かないように管理しましょう。
ノザワナの間引き
生育の段階に応じて間引いていきましょう。1回目は、本葉が2~3枚の頃に混み入ったところを順次間引きましょう。2回目は、本葉が4~5枚の頃に、株間15cm程に間引きましょう。また、間引きした苗も食べることができます。
ノザワナの水やり・肥料
降雨だけで問題ありませんが、土が乾燥するようなら水やりをしましょう。
肥料は、本葉が4〜5枚の頃、2回目の間引きと一緒に野菜用の肥料を追肥しましょう。条間にパラパラと肥料を施し、中耕を兼ねて株元に軽く土を寄せておきましょう。
ノザワナの害虫や病気
害虫はアオムシ、コナガ、アブラムシ、ヨトウムシなどが発生することがあります。食害されると味が落ちたり、株が弱ってしまうため、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。また、防虫ネットをトンネル状にかけると被害を抑えることができます。ネットをかける時は、土との間にすき間ができないようにしましょう。
病気は白さび病、べと病、軟腐病、根こぶ病などがあります。軟腐病は結球間近になって、茎の地際から腐り始めて悪臭を放ちます。軟腐病や根こぶ病は連作をしないようにして、畝を高くして水はけをよくすることで、ある程度防ぐことができます。また、予防として薬剤散布で防除しましょう。
ノザワナの収穫
収穫は気温が低くなり、草丈50cm〜60cm程度になったら収穫時期です。収穫は、株元を持って根ごと引き抜き、根の付け根を刃物で切って収穫しましょう。
霜が2~3回降りてから収穫すると甘味が出てきます。ただし、長い間寒さに当てていると葉が硬くなるため注意しましょう。また、積雪には弱いため、雪が降る前に収穫してしまいましょう。
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ノザワナのまとめ
ノザワナは、長野県が発祥の「野沢菜漬け」が有名で、栄養が豊富に含まれる緑黄色野菜として知られ、日本三大菜漬の一つとして今では全国で食べられています。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非ノザワナを育ててみてはいかがでしょう!