造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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サザンカとは
植物名 サザンカ
学 名 Camellia sasanqua
和 名 山茶花
別 名 姫椿(ヒメツバキ)
英 名 Sasanqua
科 名 ツバキ科
属 名 ツバキ属
サザンカの特徴
サザンカは樹高5m〜10m程になるツバキ科の常緑小高木です。日本では10月〜12月頃に甘い香りのある花を咲かせます。
サザンカの樹皮は表面が滑らかで淡い灰褐色になり、若枝ははじめ紅紫色で荒い毛が生えます。
サザンカの葉は互生する単葉で、長さ4cm〜6cm程の楕円形です。葉は厚みがあり、濃い緑色で光沢があります。裏面の主脈上に毛があり、縁には鈍い鋸歯(きょし)があります。葉柄は長さ2mm~5mm程で上面に毛が生えます。
サザンカの花は、径5cm〜8cm程の倒卵形または狭倒卵形です。野生の個体は淡いピンク〜白色ですが、園芸品種は赤やピンクなど色や花形はさまざまです。ふつう花弁は5枚あり、雄しべは多数あります。花弁の基部と雄しべの基部は合着していないため、花弁はばらばらに散ります。
サザンカの果実は蒴果で、径2cm程の球形になり、果皮が厚く短毛があり、9月〜10月頃に熟して3裂します。中には1cm〜1.5cm程の種子が2〜3個入っています。
サザンカとツバキの見分け方
サザンカとよく似ていて庭木として植栽される樹木に、同属の「ツバキ(椿)」があります。どちらもよく似ていますが、見分け方があります。ただし、園芸品種は多様性に富むため見分けが難しい場合もあります。
植え込みなどに使用される「這寒椿(ハイカンツバキ)」や、庭木として使用される「立寒椿(タチカンツバキ)」など、サザンカとツバキとの種間交雑園芸品種もあります。
ふつうサザンカは花びらが個々に散りますが、ツバキは萼と雌しべだけを残して花弁が丸ごと落ちます。(花弁がばらばらに散る園芸品種もあります。)
サザンカの花は完全に平開しますが、ツバキの花は完全には平開しません。(カップ状の花も多くあります。)
サザンカは葉の裏面の主脈上と葉柄に毛が生えますが、ツバキは毛が生えません。(ユキツバキの葉柄には毛があります。)
サンザンカは秋〜冬頃にかけて開花しますが、ツバキは冬〜春頃にかけて開花します。(品種や生育環境で変わることもあります。)
サザンカの利用
サザンカは、種子から油を搾油して、食用や頭髪用に利用します。サザンカの材は器具や彫刻などに用いられています。また、観賞用としても人気の樹木であり、サザンカは全国のたくさんの市区町村の木や花に指定されています。
サザンカは、短歌で詠われたり、童話の歌詞にも登場し、サザンカを題材にした有名な楽曲もたくさんあります。また、冬の季語としても使われていて、冬のイメージがありますが、原種のサザンカは寒さにはあまり強くありません。
サザンカの天然記念物
佐賀県神埼郡吉野ヶ里町松隈地内の「千石山のサザンカ」は、自生北限地帯として約2.9haに2200本以上のサザンカが自生していて、国の天然記念物に指定されています。樹齢100年以上、樹高10m以上の巨木もあり、晩秋から初冬にかけて咲く真っ白な花と甘い香りでたくさんの人に楽しまれています。
サザンカの詳細情報
園芸分類 | 庭木・盆栽 |
性質 | 常緑小高木 |
開花時期 | 10月〜12月 |
花色 | 白色・赤色・ピンク色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 普通 |
サザンカの詳しい育て方
サザンカは日本、中国、台湾の原産で、国内では山口県、四国南西部から九州中南部、南西諸島(屋久島から西表島)に分布します。ツバキ科の植物は熱帯から亜熱帯に自生していて、ツバキやサザンカは温帯に適応した珍しい種でもあります。
サザンカは観賞用に庭木や公園樹として植栽され、各地にサザンカの名所があり、お祭りなども開催され多くの人に楽しまれています。
サザンカの苗植え
苗植えの適期は3月〜4月頃と9月〜10月頃です。日当りの良い場所を好みます。半日陰でも育ちますが、花付きが悪くなりますので、日当たりの良い場所に植え付けましょう。
用土は水はけの良い肥沃な土を好みますので、庭土に腐葉土を混ぜて、元肥として緩効性化成肥料を施し、根鉢を浅めに植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。
サザンカの水やり・肥料
庭植えの場合は、植え付けから1週間程はしっかり水やりをしましょう。その後は、根付いたら降雨だけで問題ありません。鉢植えの場合は、土が乾燥したら、たっぷりと水やりをしましょう。
肥料は寒肥として2月〜3月頃と、開花後のお礼肥に緩効性化成肥料を株元の周辺に埋めてあげましょう。
サザンカの害虫や病気
害虫はチャドクガ、カイガラムシなどが発生することがあります。チャドクガという蛾の幼虫が4月〜6月と8月〜9月頃に発生します。葉の裏や新芽の部分に群がって葉を食害します。
この幼虫や幼虫の死骸、幼虫の毛に少しでも触れると、痛痒い発疹が出たり、高熱が出てしまうので絶対に素手で触らないように注意しましょう。葉の裏に黄色い卵塊を見つけたら枝葉ごと切り取って処分し、薬剤散布で消毒、防除しましょう。
病気は、すす病、もち病が発生することがあります。すす病はカイガラムシなどの排せつ物が堆積した葉や枝に黒いすす状のカビが発生する病気で、光合成を妨げます。
もち病は、葉が焼いた餅のように膨らむ症状があります。葉の色や形が変化して、膨らんだ葉っぱは白っぽいカビが発生して枯れてしまいます。風通しを良くして、病気の部分は取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
サザンカの剪定
サザンカは成長が遅く、放任しても樹形はあまり乱れず、花も咲きますが、サザンカは新しく伸びた枝の先端に花芽を付ける性質があるため、放任すると花の咲く位置が年毎に少しずつ高くなります。
サザンカの剪定の適期は、花が終わった後から新しい花芽が形成されるまでの3月~4月頃です。春に伸びた枝の先端に、夏頃には花芽が形成されるため夏以降には枝を切りません。
剪定は樹形を乱す徒長枝や枯れ枝、混み合っている枝を切り取り風通しを良くしてあげましょう。また、秋以降に蕾が確認できるようになれば、蕾の付いていない徒長枝は切っても開花には影響ありません。
サザンカの刈込み
サザンカは生け垣や円筒形に仕立てることもできます。芽吹く力は強いので、全体を刈り込んで色々な樹形に仕立てることができます。
刈り込む場合は、花が咲いた枝を、葉を3~4枚残して切り詰めて形を整えましょう。その際に木の内側に向かって伸びる枝や混み合っている枝は付け根から切り落としましょう。
サザンカの誕生木・誕生花
サザンカは「11月6日」の誕生木です。
乙女サザンカは「11月15日」の誕生木です。
カンツバキは「1月22日」の誕生木です。
タチカンツバキは「1月29日」の誕生木です。
サザンカは「11月3日」「11月9日」「11月16日(赤)」「12月4日」の誕生花です。
サザンカの花言葉
サザンカの花言葉は「ひたむきさ」「困難に打ち克つ」です。
赤いサザンカの花言葉は「謙譲」「あなたが最も美しい」です。
白いサザンカの花言葉は「愛嬌」「あなたは私の愛を退ける」です。
ピンクのサザンカの花言葉は「永遠の愛」です。
「困難に打ち克つ」という花言葉は、サザンカが冬の寒い季節を乗り越え、美しい花を咲かす姿から付けられたと言われています。
サザンカのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
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- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
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サザンカのまとめ
サザンカはお庭が寂しくなってきた秋から冬にかけて、白やピンク、赤などの可愛らしい花を咲かせる庭木として人気のある樹木です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非サザンカを育ててみてはいかがでしょう!