ツバキ(椿)の植物図鑑と育て方をわかりやすく解説

ツバキの花と葉

こちらでは、ツバキ(椿)の植物図鑑と育て方を私の経験を元にわかりやすく解説します。
造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
 あっちゃん
 あっちゃん
 
 

この記事の監修者

造園職人あっちゃんプロフィール

ツバキとは

白いツバキ

 

植物名   ツバキ


学 名   Camellia japonica


和 名   椿


別 名   藪椿(ヤブツバキ)


英 名   Camellia


科 名   ツバキ科


属 名   ツバキ属


 

アーティフィシャルグリーン【グリーンピース】

 

ツバキの特徴

ツバキの果実

 

ツバキは樹高5m〜15m程になるツバキ科の常緑高木です。日本では11月〜翌4月頃に花を咲かせます。

ツバキの樹皮は滑らかで、灰色地に灰白色の模様があり、時に細かな突起がまばらに出ます。

ツバキの花は、枝先の葉腋に下向きに単生します。花は径5cm〜7cm程で淡い紅色〜濃い紅色の5花弁で、全開せずにやや筒状に半開します。花弁は1枚ごとに独立した離弁花で、5枚の花弁と多くの雄しべが合着しているため、散る時は花弁と雄しべが一緒に落花します。

ツバキの葉は互生する単葉で、長さ5cm〜12cm程の先端が尖った楕円形です。葉は光沢がある濃い緑色で厚みがあり、縁には細かい鋸歯(きょし)があります。また、葉身・葉柄ともに無毛です。

ツバキの果実は蒴果で、径2cm〜3cm程の球形になり、果皮は厚く、秋に熟すと3裂して中には黒褐色の大きな種子が2〜3個入っています。

 

ツバキの名前

ツバキという名前は、葉に光沢があるので「艶葉木」「津葉木」という説や、葉が厚いので「厚葉木」と書いて語頭の「ア」の読みが略されたとする説など諸説あります。また、園芸品種を含む総称として「ツバキ」と呼び、海岸近くの山中や、雑木林に生える代表的な野生種を「ヤブツバキ(藪椿)」と呼んで分けることもあります。

 

ツバキとサザンカの見分け方

ツバキ(ヤブツバキ)と同属の植物「サザンカ(山茶花)」はよく似ていますが、見分け方があります。ただし、園芸品種は多様性に富むため見分けが難しい場合もあります。

ツバキは萼と雌しべだけを残して花弁が丸ごと落ちますが(花弁がばらばらに散る園芸品種もあります)、サザンカは花びらが個々に散ります。

ツバキの花は完全には平開ませんが(カップ状のことも多くあります)、サザンカは完全に平開します。

ツバキは葉柄に毛が生えませんが(ユキツバキの葉柄には毛があります)、サザンカは葉柄に毛が生えます。

ツバキの花期は冬〜春頃に咲くのに対し、サンザンカは秋〜冬頃にかけて咲きます。

 
 

ツバキの園芸品種

斑入りツバキ

ツバキは園芸品種の母種であり、他家受粉で結実するため、また近縁の「ユキツバキ」などと容易に交配するために花色・花形に変異が生じやすいことから、古くから選抜による品種改良が行われてきました。江戸時代には将軍や大名などが園芸を好んだことから庶民の間でも大流行し、各地域ごとに様々な品種が作られました。

17世紀に日本から西洋に伝来すると、冬でも常緑で、日陰でも花を咲かせる性質が好まれ、大変な人気となり、西洋の美意識に基づいた豪華な花を付ける品種が作られ、ヨーロッパ、イギリス、アメリカで愛好され、現在でも多くの品種が作出されています。また、茶花として知られる「ワビスケ」は中国原産の栽培品種です。

ツバキの品種は1,000種以上とも言われ、色は赤や白のほか、色の薄いものから濃いもの、斑入りのもの、花形は一重咲きや八重咲き、桔梗咲き、獅子咲きなど、花の大きさも最も小さい極小輪は2cm〜3cm程、最も大きい極大輪は15cm以上のものもあります。

 
 

江戸のツバキ

江戸のツバキは花形、花色が豊富で、洗練された美しさを持ち、一重咲きでは清楚な「蝶千鳥」「関東月見草」「蜀紅」、唐子咲きでは「卜伴」、八重咲きでは蓮華咲きの「羽衣」「春の台」「岩根絞」などがあります。

 

上方のツバキ

上方のツバキは変異の多いユキツバキが北陸から導入されたことと、京都、大坂の人々の独自の審美眼によって選抜されたことから現在でも京都周辺の神社仏閣には銘椿が多くあり、品種としては「五色八重散椿」「曙」「菱唐糸」などがあります。

 

尾張のツバキ

江戸時代より名古屋を中心に育成されてきた品種群は、一重咲き、筒咲き(または抱え咲き、椀咲き)、小中輪の茶花向きのものが多いのが特徴で、「関戸太郎」「窓の雪」「紅妙蓮寺」「大城冠」などがあります。

 

加賀のツバキ

北陸各地に誕生したユキツバキ系の品種の京都の中継地として、この地は園芸の隆盛の大きな役割を果たしました。茶の湯の盛んな土地柄ゆえに茶花向けの品種が多く、旧家の庭には多くの銘木があります。代表的な品種には「東方朔」「ことじ」「祐閑寺名月」などがあります。

 

富山、越後のツバキ

ユキツバキの自生地であることから、変化に富んだ選抜品種や、ヤブツバキとの交配によるユキツバキ系の品種が古くから栽培されてきました。氷見市老谷の「さしまたの椿」のような巨木も多く、代表的な品種に「大日の暁」「雪白唐子」「栃姫」「千羽鶴」などがあります。

 

山陰のツバキ

この地は「ツバキのふるさと」と言われるほどの自生地の多い地域であり、古くから品種改良が盛んで、各地からツバキが集められ、萩から松江にかけて清楚な一重咲きが作られ愛好されています。代表的な品種は「花仙山」「意宇(おう)の里」「角(すみ)の光」などがあります。

 

久留米、肥後のツバキ

肥後椿は肥後六花の一つとして知られ、肥後・熊本藩の大名だった細川家にて、育種・保存されていた系統で、かつては門外不出でしたが、現在では苗木が販売され、愛好者が多く人気があります。鉢植えや盆栽として栽培され、花は大輪一重の梅蕊(ばいしん)咲きという花形で、花の中心から多数の雄しべが放射状に広がり、赤・白・ピンクやその絞り咲きの花の色と、黄色の雄しべとのコントラストが非常に美しい品種です。

 

ツバキの花以外の鑑賞

ツバキは花以外の葉や枝を鑑賞の対象とすることもあります。江戸時代には好事家たちが、葉の突然変異を見つけ出し、選抜育成して観賞しました。

観賞用の枝として、雲龍と呼ばれる三河雲龍、三原雲龍、紀州雲龍などがあり、枝垂れと呼ばれる孔雀ツバキなどがあります。

観賞用の葉として、班入りのものから、錦魚葉(金魚葉)、梵天葉、百合葉、孔雀葉、鋸葉、柊葉、やすり葉、銀葉、弁天葉、盃葉、桜葉、枇杷葉などがあります。

 
 

ツバキの利用

ツバキの材木は緻密で耐久性が高く光沢があり、「ツゲ(黄楊)」材に次ぐものとして、櫛や将棋の駒、印鑑、彫刻などに利用されます。木灰は日本酒の製造に必要で、ツバキの木灰は最高とされています。ツバキの木灰にはアルミニウムを多く含み、染色用にも用いられました。また、木炭も品質が高く、昔は大名の手焙りに使われていました。

種子に熱を加えず押しつぶして搾ったものが椿油で、伊豆大島の名産品としてもよく知られています。椿油は高級食用油や機械油、整髪料、燃料油としても使われています。また、搾粕で出る油粕は川上から流して、川魚やタニシ、川エビなどを麻痺させて捕獲する毒もみ漁にも使われました。

 

ツバキの食用

ツバキの花を採って、根元側から甘い蜜を吸うことができます。また、花は食用になり、花密由来の甘味があり、花弁を天ぷらや塩漬け、ジャムにして食べることができます。

 

ツバキの薬用

ツバキの花を「山茶花(さんちゃか)」、葉を「山茶葉(さんちゃよう)」、果実を「山茶子(さんちゃし)」と称して薬用にします。花は天日乾燥して生薬にし、葉は随時採って生を用い、果実は圧搾して油を採ります。

民間療法では、切り傷、腫れ物に花や生葉を揉んだり、かみつぶして付け、蒸し焼きした生葉に椿油をつけて冷ました後に患部に付けます。花を干したものを細かく刻み、小さじ1杯程をカップに入れて熱湯を注ぎ、蜂蜜などで調味したものを飲むと、滋養強壮や便通に役立つとされています。

 
 

ツバキの文化

ツバキの花は古来から日本人に愛され「万葉集」の頃からよく知られ、京都市の龍安寺には室町時代のツバキが残っています。茶道でも大変珍重されており、冬場の炉の季節は茶席が椿一色となることから「茶花の女王」の異名を持ちます。

ツバキの花は、咲き終わった花が丸ごと落下するので「打ち首」を連想させるとして、落椿(おちつばき)とも表現され、忌み嫌いました。そのため入院のお見舞いに持っていくことはタブーとされています。

二代将軍徳川秀忠がツバキを好み、芸術の題材として広く知られ、絵画や彫刻、工芸品のモチーフとして用いられ、現在では音楽や映画、小説のタイトルにも多数登場し、切手にも度々用いられます。また「花椿」は春の季語ですが「寒椿」「冬椿」は冬の季語として使用されます。

 

ツバキの天然記念物

青森県東津軽郡平内町・秋田県男鹿市にまたがる椿山の群落は、大小1万本余のヤブツバキからなり、大きいものは樹高20~30mで幹囲2mにおよぶものもあり、ツバキが咲き誇る様子は「全山紅色となり燃える如し」と賞賛され、この地は「ツバキ自生北限地帯」として国の天然記念物に指定されています。

 

ツバキの詳細情報

園芸分類庭木・盆栽・切り花
性質常緑高木
開花時期11月〜翌4月
花色紅色
栽培難易度
耐寒性強い
耐暑性強い
耐陰性強い
 
 

ツバキの詳しい育て方

ツバキの八重咲き

ツバキは日本の原産で、国内では本州、四国、九州、沖縄県に分布します。山地に多く見られますが、東北地方では海岸沿いに自生しています。北海道にも植栽されたものはたくさんあり、全国各地で観賞用として植栽されています。

ツバキは長野県の県木や全国の各市町村の木や花にも指定されています。また、全国各地にツバキの名所があり、ツバキのお祭りなども開催されるなど、楽しまれています。

 

ツバキの苗植え

苗植えは3月〜4月と9月〜10月頃が適期です。日向でも日陰でも育ちますが、日向の場合は西日や直射日光の当たりすぎない場所で管理し、日陰の場合は比較的明るい日陰で管理する事が適しています。

用土は弱酸性の土を好みます。自作する場合は、鹿沼土1赤玉土1腐葉土1で混ぜ合わせたものが適しています。植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。

 

ツバキの水やり・肥料

植え付けてから2年程は土が乾いたら水やりをしましょう。根付いたら降雨だけで問題ありませんが、乾燥が続くようであれば水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土が乾燥したら、たっぷりと水やりをしましょう。

肥料は、花が終わったお礼肥として4月頃、開花前の10月頃に油かすを与えましょう。与えるときは、肥料焼けを起こすので、株から離して与えましょう。

 

ツバキの害虫や病気

害虫はチャドクガ、カイガラムシ、アブラムシなどが発生することがあります。チャドクガという蛾の幼虫が4月〜6月と8月〜9月頃に発生します。葉の裏や新芽の部分に群がって葉を食害します。

この幼虫や幼虫の死骸、幼虫の毛に少しでも触れると、痛痒い発疹が出たり、高熱が出てしまうので絶対に素手で触らないように注意しましょう。葉の裏に黄色い卵塊を見つけたら枝葉ごと切り取って処分し、薬剤散布で消毒、防除しましょう。

病気は花腐菌核病、すす病などがあります。花腐菌核病は、花弁に茶褐色の斑紋が現れます。開花時期に雨が多いと被害が広がり、水やりの際も、花弁に水がかからないよう注意しましょう。病気に感染した花は、地面に落ちて翌年の病気の発生源となるため早めに処分しましょう。

 

ツバキの剪定

ツバキの剪定の適期は花後の4月〜花芽の形成が始まる6月頃までです。丸く刈り込む例もありますが、人工的な樹形は趣がないため、自然樹形を活かしながら剪定をしましょう。チャドクガ対策としても風通しをよくした方が良いでしょう。剪定をする際は、混み合って邪魔な枝を切り、徒長枝は軽く切り戻しをして樹形を整えましょう。

 

グリーンライフイノベーションの画像2

 

ツバキの誕生木・誕生花

筒状のツバキ

シロワビスケは「1月15日」の誕生木です。

ツバキ(ヤブツバキ)は「1月27日」の誕生木です。

ワビスケ(スキヤ)は「2月2日」の誕生木です。

アカワビスケは「2月8日」の誕生木です。

コチョウワビスケは「2月20日」の誕生木です。

乙女ツバキは「4月3日」の誕生木です。

白玉ツバキは「11月27日」の誕生木です。

卜半(ボクハン)は「12月5日」の誕生木です。

ツバキは「1月1日(白)」「1月2日(赤)」「1月12日(ピンク)」「1月20日(赤)」「1月25日(白)」「2月3日」「11月11日(白)」「12月10日」「12月21日(白)」の誕生花です。

 
 

ツバキの花言葉

ピンクのツバキ

ツバキの花言葉は「誇り」「控えめな優しさ」があります。

赤いツバキの花言葉は「謙虚な美徳」「気取らない優美さ」「控えめな素晴らしさ」があります。

白いツバキの花言葉は「完璧な美しさ」「至上の愛らしさ」「申し分のない魅力」があります。

ピンクのツバキの花言葉は「控えめな美」「控えめな愛」「慎み深い」があります。

黄色のツバキの花言葉は「円満」があります。

白いツバキの「完璧な美しさ」「至上の愛らしさ」「申し分のない魅力」という花言葉は、19世紀にツバキがブームを巻き起こし、社交界の女性たちはこぞってツバキの花を胸に飾り、その美しさを競ったそうです。このツバキの美しさとその魅力から、この花言葉が付けられたと言われています。

 

ツバキのアーティフィシャルグリーン

ツバキの木
 
みなさん、アーティフィシャルグリーンをご存知でしょうか?
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 あっちゃん
 あっちゃん
 

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ツバキのまとめ

ツバキの花と葉

ツバキはいかがでしたか?
ツバキの花は愛おしく、控えめなものから豪華なものまであり、独特な雰囲気を漂わせる冬の代表花です。種から採れる椿油も需要があり、古くから観賞用としても多くの園芸品種があり、人気のある樹木です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非ツバキを育ててみてはいかがでしょう!
 あっちゃん
 あっちゃん