タムシバ（田虫葉）の植物図鑑と育て方をわかりやすく解説

2025年11月7日

こちらでは、タムシバ（田虫葉）の植物図鑑と育て方を私の経験を元にわかりやすく解説します。
造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。

　あっちゃん

この記事の監修者

タムシバとは

植物名　　　タムシバ

学　名　　　Magnolia salicifolia

和　名　　　田虫葉

別　名　　　下に記載

英　名　　　Willow leafed magnolia

科　名　　　モクレン科

属　名　　　モクレン属

タムシバの特徴

タムシバは樹高5m〜10m程になるモクレン科の落葉小高木です。日本では4月〜5月頃に開花します。

タムシバの樹皮は灰褐色で平滑になり、縦に皮目があり、托葉痕が枝を1周します。

タムシバの花は葉が展開する前に、径6cm〜10cm程の両性花が咲きます。花弁は白色で外側の3枚は萼片状で小さく、内側の6枚は大きくなります。中央には多数の雄しべと雌しべが螺旋状に並び、花には強い香りがあります。また、花の基部に小型の葉は付きません。

タムシバの葉は互生し、長さ5cm〜15cm程の先端が尖った卵状披針形になります。葉縁は全縁で、葉質はやや薄く、裏面は白色を帯びて、葉を揉むと強い香りがあります。

タムシバの果実は、多数の袋果が集まって長さ6cm〜8cm程の長楕円こぶし状の集合果を形成します。10月頃に熟すと自然に裂けて、赤色の種子が白い糸を引いて垂れ下がります。

タムシバの冬芽は、芽鱗は托葉2枚と葉柄基部が合着して、帽子状になります。葉痕はV字形や三日月形で、維管束痕は多数あり、花芽は長卵形で、長く白い軟毛に覆われています。

タムシバ　苗木

タムシバの名前

タムシバという名前は、葉にタムシ状の白い斑点ができるためという説と、葉を噛むと独特の甘味があるため「カムシバ（噛む柴）」と呼ばれ、これが転じて「タムシバ」になったという二つの説があります。

また、葉や枝に「クロモジ（黒文字）」に似た爽やかな香りがあるため「ニオイコブシ」、枝葉を噛むと甘味があるため「サトウシバ」という別名もあります。

タムシバとコブシの見分け方

タムシバとよく似た近縁種に「コブシ（辛夷）」がありますが、本種の方が葉が細長く、裏面が白色を帯びて、葉芽の鱗片が無毛であり、花の基部に葉が付かないこと、萼片が比較的大きく（花弁長の1/3〜1/2）無毛である点などで見分けることができます。

タムシバの詳細情報

園芸分類	庭木
性質	落葉小高木
開花時期	4月〜5月
花色	白色
栽培難易度
耐寒性	強い
耐暑性	やや弱い
耐陰性	やや弱い

タムシバの詳しい育て方

タムシバは日本原産の固有種で、本州、四国、九州に分布しています。西日本と日本海側に多く、関東地方ではほとんど見られません。主に山腹から尾根に生育し、平坦地や沢筋に多いコブシとは生育環境が異なります。ただし、これらの種が側所的に生育する場所では、種間交雑が起こることもあります。

タムシバの苗植え

苗植えの適期は2月〜3月頃です。日当たりの良い場所を好みます。また、タムシバは根が荒いため、一度根を張ると植え替えは難しいため、植える場所をよく考えて決めましょう。植え付ける際は、根鉢を崩さないように、根が広がるために邪魔になる大きな石があれば取り除いて、掘り出した土に腐葉土や堆肥を混ぜ合わせて、植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。