トウガラシ(唐辛子)の植物図鑑と育て方をわかりやすく解説

食用の赤トウガラシ

こちらでは、トウガラシ(唐辛子)の植物図鑑と育て方を私の経験を元にわかりやすく解説します。
造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
MIDORI
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この記事の監修者

フラワーショップ店長【ミドリ】プロフィール

トウガラシとは

カラフルなトウガラシ

 

植物名   トウガラシ


学 名   Capsicum annuum


和 名   唐辛子


別 名   下に記載


英 名   Chile pepper


科 名   ナス科


属 名   トウガラシ属


 

グリーンライフイノベーションの画像2

 

トウガラシの特徴

トウガラシの収穫

 

トウガラシは草丈40cm〜60cm程になるナス科の低木状になる多年草です。トウガラシの果実は辛味のある香辛料または野菜として食用にされています。

トウガラシの茎は多数に枝分かれして、全体が無毛です。

トウガラシの花は7月〜10月頃に開花します。茎先の葉腋に下向きに付き、単生又は数個ずつ集まって白い花が咲きます。花冠は筒状で5~7つに裂けます。

トウガラシの葉は互生する単葉で、先端が尖った楕円形~披針形の全緑です。

トウガラシの果実は液果で、長さ5cm程の円錐状、球形、長円筒形など様々な形のものがあり、始めは緑色ですが、一般的には熟すと赤くなります。品種によっては、黄色や紫色になるものもあります。種子の色は淡い黄白色から黄色になります。

 

トウガラシの名前

トウガラシという名前は、唐(中国)から伝わった辛子という意味で名付けられましたが、ここで言う「唐」は外国を指す言葉で、必ずしも中国ではありません。16世紀頃に南蛮船によりポルトガル人が日本へ伝えたと言われることから「南蛮胡椒(ナンバンコショウ)」や「高麗胡椒(コウライコショウ)」とも呼ばれていました。

英名では「Chili pepper(チリペッパー)」といいますが、「capsicum(キャプシカム)」や「Red pepper(レッドペッパー)」とも呼ばれています。また、イタリア語では「peperoncino(ペペロンチーノ)」と言います。

植物種としてのトウガラシには辛みのある辛味種と、辛みがない甘味種があり、一般的に「トウガラシ」とよばれるものは辛味種の方を指しています。具体的には、果肉が薄く甘味があるベル形の中果種を「ピーマン」、甘味がある果肉が厚い大果種を「パプリカ」と呼び、辛味のない小果種を「シシトウガラシ(シシトウ)」、辛味があり香辛料として使われる小果種を「トウガラシ」と呼んで区別しています。

 
 

トウガラシの品種

トウガラシには世界中に様々な品種があり、その数は3000種類以上とも言われ、ピーマンやパプリカなどの甘味種(辛味のない品種)もあります。実の大きさや色、味わいや辛さは品種により様々で、日本でも食べられている品種をご紹介します。

鷹の爪(タカノツメ)

タキイ種苗が育成した日本を代表する辛味品種です。長さ3cm程の真っ赤なトウガラシで、上に向かって真っすぐ伸びる姿が鷹の爪に似ていることから名付けられました。ペペロンチーノやきんぴらなど、様々な料理に使われています。

 

万願寺トウガラシ

京都府舞鶴市の特産種で、京野菜の一つとして知られています。果実は長さ15cm〜20cm程になる大型で、果肉に厚みがあり、甘味があります。煮物や炒め物、素焼きにして食べられています。

 

伏見トウガラシ

京都市伏見地区の特産種で、京野菜の一つとして知られています。果実は長さ15cm程で細長く、軟らかくて辛味がありません。煮物や天ぷらにしたり、葉は葉唐辛子として佃煮などにして食べられています。

 

ハラペーニョ

メキシコ原産の唐辛子で、濃い緑色をした実は、肉厚な食感でフルーティーな香りが特徴の品種です。日本では、タバスコやサルサソースによく使用され、酢漬けにしてピクルスとして食べられています。

 
 

ハバネロ

猛烈な辛さの中に柑橘系のフルーティーな香りがある品種です。日本では「暴君ハバネロ」というお菓子が人気になり、知られています。特別な刺激性を持っているため、素手で触ると危険な上、成分が揮発して喉や目を痛めるため扱う際はゴム手袋をして防護マスクをするなど完全防備をすることが望ましい食材です。

 

ブート・ジョロキア

北インド及びバングラデシュが原産で、長さ6cm〜8cm程で表面に凹凸があります。辛さはハバネロの約2倍と言われ、「暴君ハバネロ」の姉妹品として「大魔王ジョロキア」が発売されました。特別な刺激性を持っているため、素手で触ると危険な上、成分が揮発して喉や目を痛めるため扱う際はゴム手袋をして防護マスクをするなど完全防備をすることが望ましい食材です。

 

キャロライナ・リーパー

2013年に世界一辛いトウガラシとしてギネスに認定された品種です。果実は丸い形ですが、表面は凹凸があり、先端には大鎌のような尾が付いています。果実の状態では甘い香りがすると言われています。特別な刺激性を持っているため、素手で触ると危険な上、成分が揮発して喉や目を痛めるため扱う際はゴム手袋をして防護マスクをするなど完全防備をすることが望ましい食材です。

 

ペッパーX

キャロライナ・リーパーを開発したエド・カリーが作った品種で、2023年に世界一辛いトウガラシとしてギネスに認定されています。特別な刺激性を持っているため、素手で触ると危険な上、成分が揮発して喉や目を痛めるため扱う際はゴム手袋をして防護マスクをするなど完全防備をすることが望ましい食材です。

 

トウガラシの食用

一味トウガラシ

トウガラシは世界中で香辛料として使われていて、日本でも馴染ある食材です。食用にするのは主に果実で、辛味があり香辛料として使用される辛味種と、主に野菜として食される辛味がない甘唐辛子(甘味種)があります。

熟して赤い辛味唐辛子のことを赤唐辛子と呼び、未熟果で緑色をしている辛味唐辛子は青唐辛子と呼びます。伏見トウガラシの葉のように葉の部分を食用にする品種もあります。赤唐辛子は鮮やかな赤色で、皮に艶と張りがあるもの、青唐辛子は、形が揃って緑色が濃いものが良品とされています。

辛味種は料理に刺激的なメリハリを付ける香辛料として、炒め物、パスタ料理、漬物などに幅広く使用されています。また、甘味種は、煮物、揚げ物などにして、そのものの味を楽しむ料理に使われています。

 

トウガラシの栄養価

トウガラシの葉や葉柄の部分を食用にする葉唐辛子は緑黄色野菜であり、トウガラシの果皮には辛味成分のカプサイシンやデヒドロカプサイシン、赤色素のカプサンチン、黄色素のβ-カロテンのほか、ルチン、ビタミンB1・B2・Cなどを含んでいます。その他には、アデニン、ベタイン、コリン、ジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、クリプトキサンチン、ルテイン、クリプトカプシンなどが含まれています。

カプサイシンは非揮発性で、皮膚や粘膜に付くと炎症などを起こす成分ですが、これには様々な機能性があり、血管を広げて血行をよくして身体を温める作用や、唾液分泌量を増やして食欲を増進させて消化吸収を助ける作用、さらに中枢神経を刺激して副腎ホルモンのひとつアドレナリンの分泌量を増やして代謝を活発にする働きもあるとされています。

 
 

トウガラシの利用

トウガラシは食欲増進、消化促進、健胃、唾液分泌促進作用、皮膚刺激作用があり、薬用として使われることがあります。秋に赤く熟したものを採集して、陰干ししたものを「蕃椒(ばんしょう)」や「辣椒(らっしょう)」と称して生薬に用いられています。

トウガラシにアルコールなどを加えてチンキにした、トウガラシチンキの製薬原料に使われています。腰痛、筋肉痛、肩こり、リュウマチ、関節痛、神経痛にトウガラシチンキを塗ったり、エキスにして温湿布剤に配合したり、筋肉痛、凍傷、養毛に使われたりします。ただし、トウガラシチンキは温める効果が強いため、患部が冷えていることを確認してから塗るなど用法には注意が必要です。

トウガラシには防虫効果があり、書物の保存、ひな人形、五月人形などの物品保存などに使用されています。箪笥などの衣装箱に入れておけば、防虫剤になり、また米の保存など食品保存に用いられていた事もあります。トウガラシを焼酎に漬け込んで害虫忌避効果がある自然農薬を作ったり、トウガラシをアブラナ科、ネギ科、キク科の野菜畑に植えておいて、害虫避けにする利用法もあります。

 

トウガラシの詳細情報

園芸分類野菜
性質多年草
開花時期7月〜10月
花色白色
栽培難易度
耐寒性弱い
耐暑性強い
耐陰性弱い
 
 

トウガラシの詳しい育て方

万願寺トウガラシ

トウガラシは中南米の熱帯アメリカ地域が原産で、世界中で栽培され、食べられています。日本へは16世紀頃に南蛮船によりポルトガル人によって伝えられたという説があります。江戸時代中期から広く栽培されるようになりました。

産地としては、栃木県、千葉県、京都府、大分県、福岡県など様々で、日本の特産品種も各地にあり、年間を通して流通していますが、青唐辛子は6月〜8月頃、赤唐辛子は7月〜10月頃が美味しい旬の時期になります。

 

トウガラシの種まき

トウガラシは品種により時期や栽培方法など異なりますが、一般的には種まきの適期は3月〜4月頃で、発芽適温は25℃〜30℃です。また、発芽日数は7日〜14日程です。

セルトレイに種をまき、5mm程覆土して水やりをしましょう。発芽して本葉が2枚の頃にポット上げしましょう。種をポットにまく場合は、ポットに3粒ずつ種をまき、5mm程覆土して水やりをしましょう。本葉が出たら間引いて1本立ちにしましょう。

育苗には適温確保が必要です。ビニール温室やヒーターなどの保温・加温機材を使い、夜でも25℃程度になるよう温度管理しましょう。育苗日数は種まき後70~80日程です。育苗日数が長期間で、温度管理もあるため、家庭菜園などで少しの株数しか育てないのであれば、市販の苗を購入したほうが簡単です。

 

トウガラシの植え付け

定植する苗は、草丈15cm以上、葉が8~9枚程度で濃緑色になり、節間が詰まっている苗です。定植の2週間前に、苦土石灰を混ぜながらよく耕しましょう。1週間前にたい肥と元肥を施し、再びよく耕しましょう。畝幅は70cm程、高さ20cm程度に畝を作りましょう。また、連作は避けるため、同じ畑では3〜4年は空けるようにしましょう。

トウガラシは高温を好むため、晴天の午前中に定植して根の活着を促進させましょう。植え付ける株間は45cm程あけて、苗のポットを外して、根鉢を崩さないように浅めに植え付けたら、たっぷりと水やりをしましょう。茎が弱くて風で折れやすいため、定植したら支柱を立てて誘引しましょう。また、乾燥対策として株元に稲ワラなどを敷いてマルチングしておきましょう。

 

トウガラシの整枝

トウガラシの整枝は品種により方法が異なります。「鷹の爪」のように、小さめの実が上を向いて付くタイプは、脇芽を摘み取らずにそのまま放任して育てましょう。

「万願寺トウガラシ」のように、大きめの実が下を向いて付くタイプは、主枝の1番花が咲いたら、1番花のすぐ下で分かれる2本の側枝を残して、一番花と下の脇芽を全て摘み取り、3本仕立てにしましょう。また、枝の先端は摘心せずに伸ばして、枝が折れないように支柱などに誘引しましょう。

 

トウガラシの水やり・肥料

トウガラシは乾燥に弱く、水分をたくさん必要とします。土の表面が乾いたら、プランターから水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをしましょう。特に夏場の暑い時期は毎日水やりをしましょう。

肥料は野菜・果物用のもので、定植後2週間たった頃に1回目の追肥を行い、その後2~3週間おきに追肥しましょう。畝の両側の裾に交互に施し、土を軽く耕しましょう。

 

トウガラシの害虫や病気

害虫はアブラムシやホオズキカメムシ、タバコガ、ハスモンヨトウ、アザミウマ、チャノホコリダニ、テントウムシダマシ、ハモグリバエなどさまざまな害虫があります。害虫は葉や蕾、果実を食害したり吸汁して弱らせます。見つけたらすぐに取り除き、薬剤を散布して駆除しましょう。

病気は青枯病やモザイク病、うどんこ病、萎凋病があります。ウイルスによって病気になり、弱って枯れてしまいます。これらの病気に効く薬剤はないので、感染した株は抜き取って処分しましょう。

 

トウガラシの収穫

シシトウ類などの甘味種は、完熟前の表皮の光沢が増して淡い緑色になった頃に収穫しましょう。

鷹の爪などの辛味種は、赤く熟した果実を最初は1果ずつ摘み取ってもいいですが、株の果実全体が完熟して赤くなったら株ごと引き抜きましょう。

収穫する時はヘタをハサミで切って収穫しましょう。この時枝が折れやすいので注意してください。

 

トウガラシの乾燥

赤トウガラシを収穫して乾燥させる場合、まだ緑色が残っていると乾燥途中でカビが生えることがあります。果実全体が完全に赤く熟してから収穫するようにしましょう。株ごと収穫した場合は、根元を数本ずつ縛って、風通しの良い場所に逆さに吊るして干しましょう。個別に収穫した場合は、乾燥ネットなどを使って干しましょう。

乾燥期間は1〜2ヶ月程度で、振ったときにカラカラと音がするのが目安です。完全に乾燥させないとカビが生えてしまうため、十分に乾燥させましょう。しっかり乾燥した物は、枝から外して密閉容器などに保存しましょう。

 

グリーンライフイノベーションの画像2

 

トウガラシの誕生花・花言葉

トウガラシの収穫

 

トウガラシは「10月12日」の誕生花です。

トウガラシの花言葉は「旧友」「嫉妬」「雅味」「辛辣」「生命力」「悪夢がさめた」です。

 

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トウガラシの花
 
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トウガラシのまとめ

ブートジョロキア

トウガラシはいかがでしたか?
トウガラシは世界中で香辛料として使われている食材で、辛いものから辛味のないものなど様々な品種があり、日本各地にも特産品種があります。
慣れてしまえば育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非トウガラシを育ててみてはいかがでしょう!
MIDORI
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