造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ヤマボウシとは
植物名 ヤマボウシ
学 名 Cornus kousa subsp. kousa
和 名 山法師
別 名 下に記載
英 名 Japanese dogwood / Japanese Strawberry Tree
科 名 ミズキ科
属 名 ミズキ属
ヤマボウシの特徴
ヤマボウシは樹高5m〜15m程になるミズキ科の落葉高木です。日本では5月〜7月頃に開花します。
ヤマボウシの幹は1本立ちや株立ちがあり、樹皮は赤褐色ですが、樹齢を重ねると灰褐色になり斑模様に剥離します。枝は横に張り出し、小枝は幹よりもやや暗い褐色です。
ヤマボウシの花は、葉が展開し終えてから、短い枝の先に10cm程の花柄がある頭状花序を付けます。花序の基部に白色や紅色を帯びた大きな花弁の様に見える先端の尖った総苞片が4枚あり、花は総苞片の中心にある淡い黄色の球体で、30~40輪の小花からなります。小花には雄しべが4本、雌しべが1本あり、花被片という花弁のようなものが4枚あります。
ヤマボウシの葉は対生し、長さ6cm~12cm、幅4cm~6cm程の先端が尖った卵型~楕円形です。表面は濃緑色で光沢があり、葉脈が目立ち、縁に鋸歯(きょし)はありませんが、波打ちます。裏面は白っぽく、葉脈の付け根には褐色の毛が生えます。秋になると紅葉しますが、条件によって赤色、黄色、橙色、紫褐色とさまざまな色に染まります。
ヤマボウシの果実は集合果で、長さ1cm〜3cm程の球形で、9月〜10月頃に赤く熟します。果実は粘核性で、甘味があり食べられます。種子は、長さ3mm程の乳白色で、1果に8粒入っています。
ヤマボウシの名前
ヤマボウシという名前は、球状の頭状花序を僧の坊主頭に見立て、花びらに見える白い総苞片を頭巾に見立てて、「山法師」と名付けられたと言われています。
ヤマボウシの果実は食用になり、クワの実に似ていることから「ヤマグワ」とも呼ばれていますが、クワ科に「ヤマグワ(山桑)」という樹木があり、同じ名前のため間違われることがありますが、全く別種の樹木です。
ヤマボウシの果実から、「ヤマボウ(山坊)」、「ダンゴギ(団子木)」、「ヤマダンゴ(山団子)」、「ダンゴバラ(団子薔薇)」、「ジゾウアタマ(地蔵頭)」、「ワランベナカセ(童泣かせ)」などの地方名もあります。
ほかにも、ヤマボウシの別名として、「イツキ」、「ツミ(柘)」、「カラグワ(唐桑)」、「イヌグワ(犬桑)」などがあります。
また、ヤマボウシの名所として知られる箱根では、ヤマボウシのことを「クサ(コウサ)」と呼んでいたことから、学名の小種名に「kousa」と付けられています。
ヤマボウシの利用
ヤマボウシは、花、実、紅葉を観賞するために、公園樹、街路樹として用いられるほか、あまり大きくならないことや、同属の似ている樹木「ハナミズキ(花水木)」と比べて落ち着いた雰囲気から庭木としても植栽されています。特に株立ちのものが観賞価値が高いとされています。
ヤマボウシは複数の市町村の樹木に指定されています。ヤマボウシの木材はあまり流通していませんが、重くて堅いことから器具や薪炭などに利用されています。
ヤマボウシの若葉は食用になり、枝葉を煮出したものは染料としても利用されています。果実は生食でき、柔らかく甘みがあります。果皮も熟したものはとても甘く、シャリシャリして砂糖粒のような食感があり、ジュースやシロップ、ジャム、果実酒などに適しています。
ヤマボウシとハナミズキ
ヤマボウシの近縁種に「ハナミズキ」という樹木があります。どちらも庭木としてよく用いられる樹木で、同属のためよく似ていますが見分け方があります。
開花期の違い
ヤマボウシは5月〜7月頃の、葉が展開し終えてから花が開花しますが、ハナミズキは4月〜5月頃と開花が早く、花が咲いてから新芽が出るため見分けられます。
花の形の違い
ヤマボウシの花(総苞片)は先端が尖っていますが、ハナミズキの総苞片は先端が凹んでいるため見分けられます。
樹皮の違い
花や葉がない冬季でも樹皮を見ることで違いがわかります。ヤマボウシの樹皮は滑らかな明るい赤褐色で、大木では斑模様に剥げ落ちていますが、ハナミズキの樹皮は暗い灰黒色で、ゴツゴツとひび割れているため見分けられます。
果実の違い
ヤマボウシの果実は集合果で、球形になり9月〜10月頃に熟しますが、ハナミズキの果実は集合果にはならず、個々の果実が分離して楕円形になり、10月〜11月頃に熟すため見分けることができます。
また、ヤマボウシの果実は甘みがあり、食べることができますが、ハナミズキの果実は毒性があるため食べられません。
ヤマボウシの詳細情報
園芸分類 | 庭木 |
性質 | 落葉高木 |
開花時期 | 5月〜7月 |
花色 | 淡黄色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 普通 |
ヤマボウシの詳しい育て方
ヤマボウシは日本、中国、朝鮮半島の原産で、国内では本州、四国、九州、沖縄県に分布しています。山地や野山の林内などにふつうに見られ、花や果実、葉などを鑑賞する樹木として庭木や公園樹、街路樹にも植栽されています。また、園芸品種も多く、さまざまなヤマボウシが楽しまれています。
ヤマボウシの植え付け
植え付けは厳寒期を避けた落葉期の11月〜12月と、2月〜3月頃が適期です。日当たりの良い場所を好みます。西日に当たっても枯れませんが、根付くまでは乾燥に気をつけましょう。
植え穴は少し大きめに掘って、庭土に腐葉土や堆肥を混ぜて、水はけを良くするために、やや山高に植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。この際、根を乾燥させないように株元をワラや腐葉土で覆いましょう。
ヤマボウシの水やり・肥料
庭植えの場合は、根付いてからは降雨で問題ありませんが、夏の乾燥する時期は水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土が乾燥したら水やりをしましょう。
肥料は、寒肥として2月頃に骨粉と油粕を混ぜた有機質肥料を株元に施しましょう。
ヤマボウシの害虫・病気
害虫はアブラムシ、カイガラムシ、テッポウムシが発生することがあります。葉や幹を食害されると株が弱ってしまったり、観賞価値が下がるため、見つけたら取り除き、薬剤を散布して防除しましょう。
病気はうどんこ病、すす病があります。病気はカビの一種で、茎や葉が白い粉を吹いたようになり、植物から栄養を吸収したり光合成を邪魔します。発見次第薬剤を散布して防除しましょう。
ヤマボウシの剪定
ヤマボウシは放任しても樹形は乱れず、まとまった姿になるため、基本的には剪定をせずに自然樹形で育てましょう。スペースの関係などで剪定をする場合は、落葉期の12月〜翌2月頃が適期です。
剪定は、混み合っている枝や枯れ枝、徒長枝などを切り取り、太い枝を切った場合は、癒合剤を塗って雑菌が入らないようにしましょう。
剪定をする場合は、できるだけ自然樹形に近い形にすることが大切です。枝を途中から切り詰めるのではなく、枝分かれしている場所で切り取りましょう。枝を途中で切り詰めてしまうと自然樹形を大きく損ない、樹姿が乱れてしまいます。
ヤマボウシの誕生木・誕生花・花言葉
ヤマボウシは「6月20日」の誕生木です。
ヤマボウシは「6月15日」の誕生花です。
ヤマボウシの花言葉は「友情」です。
ヤマボウシのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
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ヤマボウシのまとめ
ヤマボウシは初夏に咲く清楚な花や、晩夏に熟す赤い果実、秋の色とりどりな紅葉など、観賞価値が高く公園樹や街路樹、庭木としても人気の樹木です。
育てるのはそんなに難しくないので、シンボルツリーなど、みなさんも是非ヤマボウシを育ててみてはいかがでしょう!