造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ナンテンとは
植物名 ナンテン
学 名 Nandina domestica
和 名 南天
漢 名 南天燭(ナンテンショク) / 南天竹(ナンテンチク)
英 名 Heavenly bamboo
科 名 メギ科
属 名 ナンテン属
ナンテンの特徴
ナンテンは樹高3m〜5m程になるメギ科の常緑低木です。日本では5月〜7月頃に、米粒状の小花をたくさん咲かせます。
ナンテンの花は、径5mm〜7mm程の白やクリーム色で、円錐花序を上に伸ばし、花被片は3枚ずつ多数付いて、内側の6枚が花弁状に目立ちます。
ナンテンの葉は、幹の先端にだけ葉が集まって付くという独特な性質があります。葉は互生する3回3出羽状複葉で、小葉は長さ2cm〜10cm程の広披針形で先端が少し突き出します。葉身は革質でやや光沢があり、育つ環境によって秋に紅葉することがあります。
ナンテンの果実は、径5mm〜7mm程の球形で果皮は薄く、10月頃に赤く熟します。
ナンテンの風習
日本では名前の読み音が「難転」に通じることから縁起の良い木とされ、火災除けとして玄関前に植えられたり、葉で手を清めるための南天手水としてトイレ付近に植えられました。
そういったことから、古くから邪気の侵入を防ぐと信じられ、表鬼門(北東)に「ヒイラギ(柊)」を植え、裏鬼門(南西)に「ナンテン」を植える風習があります。
ナンテンの薬用と成分
ナンテンの葉は、南天葉(ナンテンヨウ)または、南天竹葉(ナンテンチクヨウ)という生薬として、健胃、解熱、鎮咳などの作用があると言われています。この葉には殺菌効果があるとされ、食品の防腐や、彩りも兼ねて料理に添えられたり、お弁当などに入れることもあります。
ナンテンの実は、南天実(ナンテンジツ)または、南天竹子(ナンテンチクシ)という生薬として、実が成熟した11月〜翌2月頃にかけて、果穂ごと切り取って採取し、天日干しで乾燥して脱粒したものを使用します。
また、現在はナンテンの成分を使用した「南天のど飴」をはじめとした薬や漢方なども流通しております。
ただし、ナンテンの全株、葉、樹皮、実、新芽など全ての部位に毒素が含まれるため、素人が安易に摂取するのは危険ですので、口に入れないように注意しましょう。
天然記念物のナンテン
山口県萩市の阿武川ダムの西南西約3km程に位置する、萩市川上遠谷の山林地帯に、「シラカシ(白樫)」や「アラカシ(粗樫)」を主体とする照葉樹林があり、それらに混じって「ユズ(柚子)」が生育し、場所によってはユズが高木層に混生しています。
この辺り一帯の5割〜8割程は、下木としてナンテンが生育していて、この場所が「川上のユズおよびナンテン自生地」として、国の天然記念物に指定されています。
ナンテンの品種
ナンテンは縁起物として園芸品種が長年に渡って改良されて、多くの品種が作られてきました。現在では50種類以上のナンテンが庭木だけでなく、盆栽や生け花としても楽しまれていて、その中でも人気の品種をご紹介します。
お多福南天(オタフクナンテン)
オタフクナンテンは、別名「五色南天(ゴシキナンテン)」や「オカメナンテン」とも呼ばれ、樹高が低く管理しやすいということで、グラウンドカバーとしても利用されます。
オタフクナンテンの特徴としては、葉がやや丸みを帯びて小さく、紅葉した赤い葉がとてもきれいな品種です。また、花や実はほとんど付きません。
錦糸南天(キンシナンテン)
キンシナンテンは、葉が糸のように細く、一見ナンテンには見えない特徴的な品種です。樹高が低く成長が遅い品種で、この種から派生した園芸品種もたくさんあります。
折鶴南天(オリヅルナンテン)
オリヅルナンテンは、柄が曲がったり、葉がよれたりする珍しい品種で、密集した葉が折鶴のような姿から名付けられました。
白実南天(シロミナンテン)
シロミナンテンは、果実が熟しても赤くならず、白色の実を付ける品種です。
藤南天(フジナンテン)
フジナンテンは、黄色い果実を付ける品種で、その果実は熟すと淡い紫色になります。
筏南天(イカダナンテン)
イカダナンテンは、葉柄が2〜4枚が組みあわさって、筏(いかだ)状になるのが特徴の品種です。
笹葉南天(ササバナンテン)
ササバナンテンは、笹の葉のような小さい葉を密集させる品種です。
ウルミナンテン
ウルミナンテンは、果実が橙色になり、紅葉もオレンジ色っぽくなる品種です。
ナンテンの詳細情報
園芸分類 | 庭木・盆栽・切り花 |
性質 | 常緑低木 |
開花時期 | 5月〜7月 |
花色 | 白色・クリーム色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 普通 |
ナンテンの詳しい育て方
ナンテンは中国原産で、日本国内には東海道以西の本州、四国、九州に分布し、暖地の山地渓間に自生しています。
ナンテンは園芸品種として全国で栽培されていますが、栽培が盛んで日本一の組合出荷量を誇る岐阜県郡上市八幡町では、毎年「郡上八幡南天まつり」が行われています。
ナンテンの種まき
ナンテンの種の採取は、11月頃に熟した実から種を採って洗い流し、果肉の部分を取り除き、湿らせた種をジップロックなどに密封して冷蔵庫で保管しましょう。
ナンテンの種まきは、3月〜4月頃が適期です。用土は水はけが良く、やや粘土質な用土を好みます。赤玉土に黒土と腐葉土を混ぜたものがオススメです。
ポットやプランターに用土を入れ、種をまいたら薄く覆土し、水やりをして風通しの良い半日陰で管理しましょう。土が乾いたら水やりをし、15℃〜25℃が適温で、発芽までは半年〜1年程かかります。
発芽後、本葉が3~4枚程に育つまで、土は乾燥させないように管理しましょう。発芽してから花を付けるまで4年〜5年程かかるので気長に育てましょう。
ナンテンの苗植え
苗植えは3月〜4月頃が適期です。半日陰でも育ちますが、日当たりが少ないと花と実付きが悪くなるので、日当たりが良い場所が最適です。
用土は市販の培養土や、赤玉土に黒土と腐葉土を混ぜたもの使用しましょう。また、牛糞などを混ぜ込むと根付きが良くなります。植え付けたらたっぷり水やりをしましょう。
ナンテンの水やり・肥料
根付くまではしっかり水やりをしましょう。根付いたら降雨で問題ありませんが、すごく乾燥している時は水やりをしましょう。
ナンテンはあまり肥料を必要としませんが、与える場合は、2月頃に化成肥料と油かすや鶏糞などの有機肥料を根から少し離して与えましょう。
ナンテンの害虫や病気
害虫はカイガラムシが発生することがあります。カイガラムシは枝や葉の付け根に寄生し、汁を吸って株を弱らせます。綿のようなものが付いていたらブラシなどで落とすか、薬剤散布で防除しましょう。
病気はすす病にかかることがあります。葉の表面が黒いすすで覆われたようになり、光合成ができずに枯れてしまいます。病気の葉は全て取り除き、殺菌剤を散布して被害を食い止めましょう。
ナンテンの剪定
剪定は2月〜3月頃が適期です。枯れた枝や弱った茎は根元から切り取りましょう。
ナンテンは、一度実の付いた枝は1年〜3年程は花や実を付けなくなるので、混み合っていたら根元から切り取りましょう。
また、幹の数が多くなると風通しが悪くなり、病害虫の原因になりますので間引いて風通しを良くしましょう。
ナンテンの誕生木・誕生花・花言葉
ナンテンは「1月7日」の誕生木です。
ナンテンは「12月5日」「12月8日」の誕生花です。
ナンテンの花言葉は「福をなす」「良い家庭」「私の愛は増すばかり」などがあります。
花言葉の「福をなす」「良い家庭」は、「ナンテン=難転」という例えから付けられたと言われています。
また、白い花が赤い実に変わる様子が愛が深まったことに例え「私の愛は増すばかり」という花言葉が付けられたと言われています。
ナンテンのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
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ナンテンのまとめ
ナンテンはさまざまな園芸品種があり、葉と実のコントラストが綺麗で、また、縁起の良い木として庭木や切り花としても人気の樹木です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非ナンテンを育ててみてはいかがでしょう!