造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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タブノキとは
植物名 タブノキ
学 名 Machilus thunbergii
和 名 椨の木
別 名 イヌグス/ タマグス/ ヤマグス/ ツママ
英 名 Machilus thunbergii
科 名 クスノキ科
属 名 タブノキ属
タブノキの特徴
タブノキの木は樹高20m、幹径1m程になるクスノキ科の常緑高木です。日本では4月〜5月頃に花を咲かせます。
タブノキの樹皮は、明るい褐色で表面にボツボツとした皮目が点在して、老木になるとゴツゴツし、網目状に裂けます。枝は緑色で赤みを帯びています。
タブノキの花は、目立ちませんが、枝先の葉腋に円錐花序を出し、径1cm程の6花弁で、星型に開く黄緑色の花を多数咲かせます。
タブノキの葉は、互生して光沢があり、長さ8cm〜15cm程の長楕円形で中央より咲きがやや幅広になり、裏面は白緑色です。葉をちぎると特徴的な香りがします。
ホソバタブの果実は、直径1cm程の球状の液果で、はじめは緑色ですが、8月〜9月頃に黒紫色に熟します。この果実は、ムクドリやタヌキなどの好物で、同属の「アボカド」に似た味がします。
タブノキと似ている樹木
タブノキと似ている樹木に、同属の「ホソバタブ(細葉椨)」があります。タブノキに対して、葉が細くなることから名付けられました。ただし、葉の形は個体差があるので、判断は難しいですが、見分け方としては、タブノキの若葉は赤みを帯びていますが、ホソバタブは赤みを帯びていません。
タブノキは、同属の「クスノキ(楠)」に似ていることから、「ヤマグス」という別名があります。タブノキの材質もクスノキに似ていますが、クスノキよりは劣るため、「イヌグス」とも呼ばれています。
タブノキの利用
タブノキの材は建築、家具、枕木、彫刻、パルプ、器具(臼や木鉢)、薪炭に利用され、材の色合いが赤みを帯びて良質とされるものをベニタブ、白っぽいものをシロタブと呼んで区別します。また、木目に巻雲紋が出るような老木を「タマグス」と呼び重宝します。
タブノキの枝葉は粘液を多く含み、乾燥して粉にしたものを「タブ粉」といい、タブ粉は線香や蚊取線香の材料の1つとして用いられていました。また、樹皮や葉は染料にも用いられていました。
天然記念物のタブノキ
日本国内には樹齢数百年以上の天然記念物に指定されているタブノキがたくさんあり、その一部をご紹介します。
※紹介する樹木の名称に「大クス」や「イヌグス」などの名前がありますが、これらの指定されている樹木は全てタブノキです。
国指定の天然記念物
- 千葉県香取市の「府馬の大クス」
県指定の天然記念物
- 秋田県にかほ市の「川袋のタブの群落」
- 秋田県にかほ市の「金浦のタブノキ林」
- 秋田県にかほ市の「前川のタブノキ」
- 秋田県由利本荘市の「親川のタブノキ群落」
- 岩手県下閉伊郡山田町の「タブノキ自生地」
- 山形県飽海郡遊佐町の「吹浦三崎山のタブノキ林」
- 山形県鶴岡市の「馬場町のタブの木」
- 福井県三方上中郡若狭町の「上村家のタブノキ」
- 富山県氷見市の「長坂の大いぬぐす」
- 茨城県神栖市の「波崎の大タブ」
- 埼玉県飯能市の「滝ノ入タブの木」
- 東京都西多摩郡奥多摩町の「古里附のイヌグス」
- 静岡県浜松市の「芝のタブノキ」
- 静岡県富士郡芝川町の「大晦日のタブ」
- 愛知県北設楽郡設楽町の「福田寺のイヌグス」
- 滋賀県長浜市の「竹生島のタブノキ林」
- 愛媛県大洲市の「無事喜地のタブノキ」
- 福岡県筑紫野市の「立明寺のタブノキ」
タブノキの詳細情報
園芸分類 | 庭木 |
性質 | 常緑高木 |
開花時期 | 4月〜5月 |
花色 | 黄緑色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | やや強い |
タブノキの詳しい育て方
タブノキは日本、中国、韓国の原産で、国内では東北地方南部の本州、四国、九州、沖縄県の海岸近くや森林に分布しています。
照葉樹林の代表的樹種のひとつで、古くから樹霊信仰の対象とされ、日本各地に巨木が残っています。性質は、日陰に強く潮風にも比較的耐えることから、海岸近くの防風樹としても植えられています。
タブノキの植え付け
苗の植え付けは、2月〜3月頃が適期で、地面をしっかりと耕しながら赤土に腐葉土や堆肥を混ぜましょう。
タブノキの水やり・肥料
タブノキは水を欲しがる性質があります。根付くまでは表面が乾いたら水やりをして、根付いたら降雨だけで問題ありませんが、乾燥するようなら水やりをしましょう。
肥料は、2月頃に寒肥として、少量の緩効性化成肥料を株元に与えましょう。
タブノキの害虫や病気
害虫は、アオスジアゲハの幼虫や、ハウラウスフシが発生することがあります。葉の裏にタマバエの幼虫が住んでいる「虫こぶ」が発生する事がありますので、見つけたら薬剤散布で防除しましょう。
タブノキは病気の心配は特にありません。
タブノキの剪定
剪定は新芽が伸び終わる夏頃から秋にかけて行いましょう。強めの剪定にも耐える樹種ですが、混み合っている枝や、枯れ枝を整理する程度で問題ありません。
タブノキの誕生木・花言葉
タブノキは「9月6日」の誕生木です。
タブノキの花言葉は「鎮魂」「鎮守」です。
タブノキのアーティフィシャルグリーン
アーティフィシャルグリーンとは、天然素材を使って、本物そっくりに作られた植木や花、観葉植物のことです。
本物の樹木とは違い、アーティフィシャルグリーンだけの魅力やメリットがたくさんあります。
こんなメリットが!
- 樹木の種類や大きさ、樹形、鉢などお好みのオーダーメイドが可能です。
- 落ち葉や害虫、病気の心配もなく、お部屋を汚しません。
- 日光に当てなくても枯れないので、置き場所を選びません。
- 天然の樹木と違い、枯れる心配がなく水やりや剪定など、お手入れの手間がありません。
- 光触媒加工を施すと、目に見えないウイルス・雑菌・悪臭・カビ菌などを分解して、空間をキレイにする効果もあります。
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タブノキのまとめ
タブノキは大きな樹形と、黒紫色の実が特徴の樹木です。青々とした葉で、照葉樹林の代表的樹種のひとつでもあります。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非タブノキを育ててみてはいかがでしょう!