造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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トウモロコシとは
植物名 トウモロコシ
学 名 Zea mays
和 名 玉蜀黍
別 名 唐黍(トウキビ)
英 名 Corn
科 名 イネ科
属 名 トウモロコシ属
トウモロコシの特徴
トウモロコシは草丈4m程になるイネ科の一年草です。トウモロコシは、「コメ(米)」や「コムギ(小麦)」と並び世界三大穀物の一つです。
トウモロコシの花は、雌雄異花で7月〜9月頃に開花します。雄花の穂は茎の先端に円錐花序に付き、雌花の穂は苞葉(ほうよう)に包まれて、長い雌しべだけが外に露出します。トウモロコシのヒゲはこの雌しべに当たります。
トウモロコシの葉は単葉で2列互生し、幅5cm〜12cm程、長さ1m程の線形で、基部は鞘状に茎を包みます。
トウモロコシの果実は品種によりさまざまですが、球形や中央が凹んだ歯形の物が多く、白や黄色、赤、赤褐色、紫色などがあります。また、トウモロコシの粒の数は必ず偶数になり、粒の数とヒゲの数は同じになります。
トウモロコシの食用
トウモロコシの果実は食用とされ、栄養成分はでんぷん質が多く、ビタミンB1・B2、カリウム、たんぱく質、食物繊維などが含まれています。また、トウモロコシの黄色い色素は、キサントフィルに由来し、血管を軟らかく保つ効用があります。
トウモロコシの果実は、主に主食食料になり、生食から焼いたり、茹でたり、加工食品などに用いられるほか、スープやお茶、お菓子、お酒の原料にも利用されます。また、コーンミールや、コーンスターチなど粉食用にも使われています。
トウモロコシの未熟な穂は、焼いたり茹でたりすることで、野菜として利用されます。トウモロコシの中でも、生食用甘味種の2番目雌穂を若どりして茹でたものが、サラダや煮込み料理などに用いられる「ヤングコーン(ベビーコーン)」になります。
また、特殊なものとしては、メキシコではクロボキン類の一種であるトウモロコシ黒穂病菌に感染した穂を「ウイトラコチェ」と呼んで、高級食材とて食べられています。
トウモロコシの利用
トウモロコシの果実は、畜産業での飼料として大量に消費されています。そのほか、デンプン(コーンスターチ)や、サラダオイルなどに用いられるコーン油の原料としても利用されています。
トウモロコシから得られるデンプンは、製紙や糊などに使用されるほか、発酵によって糖やエタノールなど、様々な化学物質へ転化されています。
トウモロコシの果実を取ったあとの軸(コブ)は、合成樹脂材料のフルフラールやフルフリルアルコール、甘味料のキシリトールなどの製造原料としても用いられます。
茎や葉は家畜飼料や、すき込みの肥料として役立てられ、そのために栽培される青刈りのトウモロコシもあります。抜いた後放置して、枯れたものを裁断して土にすき込み、肥料として利用することもできます。
トウモロコシの果実は、「玉蜀黍(ぎょくしょくしょ)」と称され、胃腸の調子を整える薬効があるとされ、生薬としても利用されています。
トウモロコシの雌しべの花柱(ひげ)が褐色になって、乾燥したときに採取して天日乾燥したものは、「玉蜀黍蕊(とうもろこしずい)」や、「玉米鬚(ぎょくべいしゅ)」といい、日本では「南蛮毛(なんばんもく/なんばんもう)」と称され、利尿作用があるとされ、生薬として利用されています。
トウモロコシの品種
トウモロコシは、長い栽培の歴史の中で用途に合わせた種々の栽培品種や、一代交配種などさまざまな品種が開発され、ハイブリット品種や遺伝子組み換え品種などもあり、その品種毎に使用用途が異なります。
甘味種(スイートコーン)
主に食用に利用される品種です。焼きトウモロコシや茹でたり、蒸して食べられています。また、コーンフレークなどに加工される材料でもあります。種子に糖分が多く含まれ甘みが強い品種です。
この甘味種の生食用品種の2番目雌穂を若取りしたものが「ヤングコーン(ベビーコーン)」としてサラダなどに使用されています。
馬歯種(デントコーン)
成長すると果実に含まれる糖分がデンプンに変わるため、そのまま食べることには向きませんが、そのデンプンを利用して「コーンスターチ」の原料にしたり、家畜の飼料などに利用されています。
硬粒種(フリントコーン)
主に加工して食用に利用されたり、家畜用の飼料や工業用の原料に利用される品種です。メキシコ料理のトルティーヤの皮に使われているのが、こちらのフリントコーンです。
爆裂種(ポップコーン)
皮が非常に硬いのが特徴で、乾燥させることで他の品種よりも皮が硬くなります。主にお菓子のポップコーンの原料として使用されています。
もち種(ワキシーコーン)
完熟させた粒の表面がツルツルになり、ワックスをかけたようになることからワキシーコーンという名前が付きました。粒の中のデンプンにもち性があり、若い内に収穫して蒸すとモチモチとした食感になることから、もち米の代替品や加工原料に使用されています。
軟粒種(ソフトコーン)
粒の大部分がやわらかいデンプン質で、実が砕けやすく、粉状になるのが特徴で、粉に挽きやすい品種です。主に加工食品に利用されています。
トウモロコシのブランド
トウモロコシには栽培地によってさまざまなブランド品種があり、100品種以上あると言われています。その土地で長年栽培されてきたものをブランド化して名産品として売り出されていますので、その一部をご紹介します。
嶽きみ
青森県弘前市のブランド品種で、一般的なトウモロコシに比べて糖度が高く、圧倒的な甘さが特徴です。嶽きみは糖度が20度以上あり、非常に甘いので生のままでも食べることができます。
ゴールドラッシュ
主に北海道や熊本県で栽培されるブランド品種で、熟すまでの期間で味が変化し、収穫後の糖度の低下が遅いので時間が経っても美味しく食べることができます。甘みが強く皮が柔らかいので生のまま食べても美味しい品種です。
ピュアホワイト
2002年に北海道で誕生した比較的新しいブランド品種で、名前の通り光沢のある純白の粒が特徴です。皮が柔らかくジューシーで、フルーツよりも甘いと評判の品種です。
ホワイトショコラ
純白の粒が美しい北海道のブランド品種で、メロンやバナナと同じ程の糖度があり、フルーツ感覚で食べられている人気の品種です。サイズが大きく、生でも食べられ、加熱しても粒は純白のままなのも特徴です。
おおもの
北海道のブランド品種で、一般のトウモロコシよりも大きい500gを超えるジャンボサイズと、フルーツ以上にもなる糖度が特徴のとっても甘いトウモロコシです。
ゆめのコーン
主に山梨県などで栽培されている品種で、フルーツコーンと呼ばれるほど甘みが強く、皮が薄くて非常に柔らかく、歯触りも良いので食べやすい品種です。粒はレモンイエローに白い粒が混ざるバイカラーです。
ピーターコーン
古くから北海道を始め全国で栽培されている、黄色と白の粒が混ざっているバイカラー品種です。皮が柔らかいので歯触りもよく、ぷりぷりとしたハリがある粒が特徴です。
ドルチェヘブン
北海道を始め全国で栽培されて、完熟メロンや完熟バナナのような強い甘みとコクが特徴の品種です。黄色と白の粒が混ざっているバイカラー品種で、生でも食べることができます。
サニーショコラ
全国各地で栽培されるブランド品種で、糖度と甘みが強く、ジューシーな味わいが特徴のフルーツコーンです。皮が柔らかく、口に残らないので生のままでも美味しく食べられます。
ミルキースイーツ
主に宮城県などで栽培されている品種で、糖度が高くフルーツのような甘みが特徴のトウモロコシです。甘みがありジューシーで、皮が薄いので口の中に残らないため食べやすく人気があります。
ピクニックコーン
全国各地で栽培されるブランド品種で、大きさが12cm〜15cm程と小ぶりサイズが特徴で、「味来」という品種を改良して作られました。平均糖度は18度を超え、冷やすと甘みが増し、生でも食べられるトウモロコシです。
味来
アメリカから渡来した品種で、別名「ミラクルスイートコーン」と呼ばれる程甘みが強く、フルーツのような糖度があり、生でも食べることができます。粒は小さめでシャキシャキとした歯ごたえが特徴です。
グラスジェムコーン
アメリカから渡来した品種で、黄色の中に紫や茶色、黒、白、緑などの粒が混ざり、別名「レインボーコーン」とも呼ばれています。果実は硬いのでポップコーンなどにして食べられています。ちなみに、ポップコーンにすると一般的な白いポップコーンになります。
グラスジェムコーンは、その特徴的な粒の色から、世界一美しいトウモロコシと言われ、食用としてだけでなく、ドライフラワーなどに用いられ、インテリアとしても楽しまれています。
トウモロコシのコンパニオンプランツ
トウモロコシと一緒に作物などを植えることで、害虫被害を減らしたり、風味を増したりといった良い効果を生み出すコンパニオンプランツとしても利用されています。
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トウモロコシの詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
性質 | 一年草 |
開花時期 | 7月〜9月 |
花色 | 薄緑色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 弱い |
トウモロコシの詳しい育て方
トウモロコシは中南米原産で、日本には1579年頃に長崎や四国にポルトガル人から伝えられました。日本で流通しているのは、ほとんど甘味種ですが、世界的には加工品種の馬歯種(デントコーン)の方が多く栽培されています。
日本では全国的に栽培が行われていますが、北海道が最も盛んに行われていて、さまざまなブランド品種があります。また、トウモロコシは7月〜9月頃が旬の夏野菜です。
トウモロコシの種まき
種まきの適期は3月〜5月頃です。発芽温度は25℃〜30℃で、発芽日数は7日〜10日程になります。
鉢植えの場合は、3号ポットに3粒が目安です。種の尖った方が下になるようにして、指で1cm程押し込むように種まきをしましょう。軽く覆土したら、たっぷりと水やりをしましょう。
発芽するまでは土が乾燥しないように管理し、発芽したら土が乾燥してから水やりをしましょう。本葉が2枚〜3枚になったら鉢や畑に植え替えましょう。
畑栽培なら、幅80cm、高さ15cm程の畝を作り、株の間隔は30cm以上空けましょう。畝に2列の植え穴を作り、3粒づつ種をまき、たっぷり水やりをしましょう。
発芽すると鳥が食べてしまうことがあるので、不織布をベタ掛けして防ぎましょう。草丈が20cm程になったら、それぞれの植え穴に1本づつになるように弱い苗を間引きましょう。
トウモロコシの苗植え
苗植えの適期は4月〜5月頃です。日当たりの良い場所を好みます。プランターで育てる時は「野菜用の培養土」がオススメです。
畑栽培なら、定植2週間前に苦土石灰を混ぜて耕し、1週間前に堆肥と元肥を施して再度耕しましょう。そこへ植え穴を掘り、種まきと同じように株同士を30cm以上空けて、植え付けたらたっぷり水やりをしましょう。
トウモロコシの水やり・肥料
プランター栽培の場合は、土が乾いたら水やりをしましょう。畑栽培では、降雨で問題ありませんが、乾燥が気になる時は水やりをしましょう。
また、雄穂(ゆうすい)が開花してからは、たくさん水を必要とします。この時期に水切れを起こすと実がしっかり入らなかったり、実が大きくならないので、たっぷり水やりをしましょう。
トウモロコシは肥料をたくさん必要とする野菜です。草丈が10cm~20cm、本葉が6枚〜8枚になったときと、草丈が50cm程に生長して雄穂(ゆうすい)が出たときの2回に分けて施しましょう。
肥料は野菜用の化成肥料か、鶏糞などの有機肥料を株の周りの土に混ぜ合わせ、それを株元に土寄せしましょう。土寄せすることで、転倒防止になり、枝根がたくさん伸びて、水分の吸収も助け、生育が良くなります。
トウモロコシの脇芽かき
昔はトウモロコシも脇芽を取り除いていましたが、近年では育成や収穫に影響がないことが分かり、脇芽かきは行いません。また、脇芽は転倒防止を防ぎ、受粉や光合成の助けにもなります。
トウモロコシの人工受粉
トウモロコシは、近くの株から飛散した花粉により受粉して、自分の株の花粉では受粉しにくいという特徴があります。そのため、家庭菜園など株数が少ない場合は、確実に受粉させるために人工授粉を行いましょう。
雌花からトウモロコシのヒゲが出て、雄花の花粉が出てきたら雄花を切り取り、雌花のヒゲにしっかり擦りつけて花粉を付けましょう。受粉ができてないと粒が少なかったり、まばらになるのでしっかり受粉させましょう。雌穂から出るヒゲが色づき始めたら、受粉完了の目安です。
トウモロコシの摘果
トウモロコシは1株に2〜3本の雌穂(ゆうすい)ができます。そのまま育てても良いのですが、実入りのいいトウモロコシを収穫するために、1株に1つの雌穂(ゆうすい)を残して、他のトウモロコシを摘み取れば、粒は大きく甘くなります。
ヒゲが伸びてきたら、最上部の雌穂(ゆうすい)を残して、他は全て摘み取りましょう。摘み取った実はヤングコーン(ベビーコーン)として食べられます。
トウモロコシの害虫や病気
害虫はアワノメイガ、アブラムシなどが発生します。トウモロコシによく発生する害虫「アワノメイガ」は雄穂(ゆうすい)に誘引されて産卵し、幼虫が実を食害します。それを防ぐために、受粉が終わったら雄穂(ゆうすい)を全て切り落としておきましょう。
病気は苗立枯病などがあります。過湿などが原因でカビが発生します。感染した株は抜き取って処分し、殺菌剤などで防除しましょう。
トウモロコシの収穫
開花してから20日〜25日程、ヒゲが茶色く色づき、縮れてきたら収穫適期です。少し皮を剥いて粒がしっかりしていたら収穫できます。
トウモロコシは収穫せずに放置しておくと、粒が干からびてしまいます。収穫適期を逃さないように気を付けましょう。
トウモロコシは朝採りした物が一番糖度が高く美味しいです。また、収穫してから時間が経つと、どんどん糖度が下がりますので、早めに食べましょう。
トウモロコシの誕生花・花言葉
トウモロコシは「8月4日」「8月7日」の誕生花です。
トウモロコシの花言葉は「財宝」「豊富」「同意」「洗練」「喧嘩」「仲たがい」などがあります。
お花のある生活
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トウモロコシのまとめ
トウモロコシは栄養も豊富で、フルーツのように甘い品種もあります。焼いたり茹でたり、スープやポップコーンなどいろいろな食べ方があり、古くから親しまれている人気の野菜です。
慣れてしまえば育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非トウモロコシを育ててみてはいかがでしょう!