クズ(葛󠄀)の植物図鑑と育て方をわかりやすく解説

クズの葉

こちらでは、クズ(葛󠄀)の植物図鑑と育て方を私の経験を元にわかりやすく解説します。
造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
MIDORI
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この記事の監修者

フラワーショップ店長【ミドリ】プロフィール

クズとは

クズの根とクズ粉

 

植物名   クズ


学 名   Pueraria montana var. lobata


和 名   葛󠄀


別 名   下に記載


英 名   Kudzu


科 名   マメ科


属 名   クズ属


 

グリーンライフイノベーションの画像2

 

クズの特徴

クズの果実

 

クズは蔓長10m〜15m程になるマメ科のつる性多年草です。日本では7月〜9月頃に開花します。

クズは地下に多量のでんぷんを蓄え、長さ1.5m、径20cm程にも達する塊根を持ちます。根元は木質化して、全体に白や褐色の細かい毛が生えます。

クズの葉は長い葉柄を持ち、互生する3出複葉で、小葉は頂小葉が長さ、幅ともに10cm〜20cm程の先端が尖った広卵形になり、しばしば3裂し、側小葉はしばしば2裂します。小葉の表面には褐色の毛が生えて、裏面には白色の毛が密に生えます。

クズの花は、葉腋に長さ20cm程の偽総状花序を出し、紅紫色の蝶形花を房状に多数咲かせます。花は下から順に咲いて、甘い芳香があります。花色には変異がみられ、白いものを「シロバナクズ」、淡桃色のものを「トキイロクズ」と呼びます。

クズの果実は豆果で、長さ6cm〜8cm、幅1cm程の扁平な鞘状で、褐色の長い剛毛が密に生えます。

 
 

クズの名前

クズという名前は、かつての大和国(奈良県)吉野川(紀の川)上流の国栖(くず)という地域が、葛󠄀粉の産地であったことに由来し、国栖の人が、本種クズを売り歩いたため、いつしか「クズ」と呼ばれるようになったという説があります。

また、「マクズ(真葛)」「クズカズラ(葛蔓)」「ウラミグサ(裏見草)」とも呼ばれ、「ウマノボタモチ」「ウマノオコワ」「カイコズル」「カンネ」「クゾフジ」などの地方名もあります。

 

クズの利用

クズを秋から冬にかけて、掘り起こしたものを砕いて水を加えて繊維を取り除き、精製してデンプンだけを採取して「葛粉」として古くから利用しています。

葛粉を湯で溶かしたものを葛湯と言い、熱を加えて溶かしたものは固まると透明もしくは半透明になり、葛切りや葛餅、葛菓子(干菓子)などの和菓子の材料や料理のとろみ付けに古くから用いられています。また、春先から初夏にかけて伸びるつるの先端部は、茹でてお浸しや天ぷらなどにして食べられています。

クズの肥大した根を乾燥させたものを「葛根(かっこん)」と呼び、生薬や漢方薬として用いられています。主に風邪の初期症状に用いられています。クズの生葉は「葛葉(かつよう)」と呼び、止血効果のある生薬として利用されています。

クズの花を乾燥させたものを「葛花(かっか)」と呼び、二日酔いに効果がある生薬として利用されています。また、花を焼酎に漬け込んで花酒にも利用されています。

クズは馬、牛、ヤギ、ウサギなどの草食動物が好んで食べる飼料としても利用されています。また、クズのつるから取り出した繊維で編んだ布は「葛布(くずふ)」と呼ばれ、天然繊維として衣服や壁紙などに使われていました。現在でも静岡県掛川市の特産品として「掛川手織葛布」があります。

ほかにも、クズは古くから絵画や意匠の題材として扱われ、クズを図案化した家紋が数多く存在して、皇族・高円宮家の絢子女王のお印でも用いられています。また、クズは秋の季語として多くの俳句に詠われて、秋の七草の一つにも数えられています。

 
 

秋の七草

みなさまは「秋の七草」をご存知でしょうか?一般的に知られている「春の七草」は、一年の無病息災を祈念して七草粥にして食べる、というものですが、秋の七草は食べるわけではなく、「万葉集」で詠われた、目で見て楽しむ植物のことです。

こちらが秋の七草です。秋の七草の覚え方として、各植物の頭文字をつなげて「お好きな服は(オ・ス・キ・ナ・フ・ク・ハ)」という覚え方があります。

 

クズの詳細情報

園芸分類草花
性質つる性多年草
開花時期7月〜9月
花色紅紫色
栽培難易度
耐寒性強い
耐暑性強い
耐陰性普通
 
 

クズの詳しい育て方

伸びたクズのつる

クズは日本の原産で、国内では北海道、本州、四国、九州に分布しています。山野、土手、草藪や道端、荒れ地でも普通に見られます。クズは繁殖力・増殖力が強く、海外では世界の侵略的外来種ワースト100にも指定されています。

 

クズの生育の注意事項

クズは繁殖力・増殖力が強く、一度広がってしまうと駆除しにくい植物として知られています。クズはつるをよく伸ばして広がり、つるが地面に接すると節から発根します。伸びたつるは、近くの植物に絡み付いて、その植物を枯らしてしまうこともあります。

クズは、マメ科植物なので根に根粒菌を持ち、空気中の窒素を土中に取り込む性質があるため、痩せ地でも育ちます。根茎を伸ばしても広がり、種子でも広がります。

以上の理由から、クズを植栽・生育する際は十分注意しましょう。また、下記では生育方法のほか、駆除方法もご紹介しておりますので、参考にしてください。

 
 

クズの植え付け

植え付けは年間を通して可能ですが、適期は3月〜4月頃です。日向から半日陰でも育ちますが、花付きを良くさせるためには日当たりの良い場所が適しています。

クズは痩せ地でも育つため、用土はあまり選びませんので、赤玉土に腐葉土を混ぜたものを使って植え付けたら、たっぷり水やりをしましょう。鉢植えの場合は、根詰まりを起こすため、毎年の植え替えが必要です。

クズはつる性植物で、つるは10m以上伸びます。ネットやフェンスなどに意図的に絡ませて、グリーンカーテンなどに利用できます。そのまま放任しておくと、近くの植物や物に絡んでしまい、絡んだつるを外すのは大変なので注意しましょう。

 

クズの水やり・肥料

地植えの場合は、根付いてしまえば降雨で問題ありません。鉢植えの場合は、土が乾燥したら水やりをしましょう。

クズはマメ科の植物で、根には空気中の窒素を固定する根粒菌(根に粒があります)が共生していて、自ら栄養分を作り出しますので、肥料は特に必要ありません。

 

クズの害虫や病気

害虫はカメムシ、コミスジ、ウラギンシジミ、コフキゾウムシなどさまざまな害虫が発生します。食害により株が枯れることはありませんが、見た目が悪く、何より虫が集まることに迷惑しますので、見つけたら薬剤散布で防除しましょう。

クズは病気の心配は特にありません。

 

クズの剪定

クズは生育の条件が揃うと、鉢植えなら1日で10cm以上、地植えなら1日20cm〜30cm程伸びることもあります。クズは摘心しなくても自然と枝分かれして伸びるため、生育に剪定は必要ありません。

クズの剪定は生育のためではなく「伸びたものを管理するため」に行います。つるが伸びすぎると、密生して風通しが悪くなり、害虫も発生するため、数日おきに伸びたつるを切り戻しましょう。その際、葉っぱも間引きましょう。

 

クズの除去

クズの群生

お庭や敷地にクズが生えて、除去に困っている方も多いと思います。一度繁殖してしまうと除去するのが大変なクズですが、有効な除去方法もありますので、ご紹介します。

クズの除草

クズを除草する方法ですが、クズは成長が早いので、できれば毎日クズを引き抜く必要があります。地上から手で抜いても地下茎は途中で切れてしまうので、完全に除去するのは難しいですが、継続して引き抜くことである程度は除去することが可能です。

ただし、地下茎が残っていると時間とともに成長し、また地上に生えてきますので、手で抜いて除去する方法はあまりオススメではありません。

 

よく耕作する

クズが生えている土をよく耕作して、できるだけ取り除くことで除去することが可能です。毎シーズン深くまで耕し、栄養茎も地下茎も取り除くことでクズは生えてこなくなりますが、即効性はなくかなりの手間がかかります。

 

クズに除草剤

クズを除去する方法としてオススメなのは、除草剤を散布する方法です。クズが厄介な原因となる地下茎まで浸透して根から枯らせる除草剤があります。

除草剤は地上茎から浸透して、地下茎を枯らせますので、散布する際は晴れた日に行いましょう。散布してから5日〜10日程で枯れますが、一度で全てを枯らせるのは難しいので、何度か継続的に散布することで除去することができます。

注意点として除草剤は薬剤が強いため取り扱いには注意が必要です。また、除草剤にはいろいろな種類があり、クズに効果があるものを選びましょう。さらに、除草剤を散布すると近くにある植物も枯れてしまうことがあるので、その点も注意しましょう。

 

クズに防草シート

クズを生やさないために防草シートを敷く方法もあります。クズ(雑草)は太陽光を浴びて光合成をして成長します。防草シートを敷くことで太陽光を遮断して光合成をさせないことで、成長できません。

防草シートを敷くことでクズや他の雑草も生えなくなりますが、シートを敷き詰めて専用のピンで固定する手間がかかります。また、隙間があるとそこからクズが生えてきたり、安価なシートを選ぶとすぐに劣化して交換する手間もかかります。

 

あまり効果がないクズの除去方法

クズをバーナーで焼く方法は、地表は綺麗になりますが、地下茎が残るため、一時的なもので、すぐに生えてきます。

クズに熱湯をかける方法も地表は枯れますが、地下茎が残るため、一時的なもので、またすぐに生えてきます。

クズに塩をまく方法は、地表部分は枯れますが、地下茎が残るため、一時的なもので、すぐに生えてきます。また、塩をまくと他の植物も育たなくなるうえに、コンクリートや鉄など家の基礎や配管にも悪影響を及ぼしますので、塩をまくのはやめましょう。

 

グリーンライフイノベーションの画像2

 

クズの誕生花・花言葉

クズの花の拡大

 

クズは「9月12日」「9月21日」の誕生花です。

クズの花言葉は「快活」「治療」「芯の強さ」「恋のため息」です。

 
 

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クズのまとめ

クズ餅

クズはいかがでしたか?
クズは繁殖力が強く、つるを長く伸ばして、夏には紅紫色の房状の花を咲かせます。また、クズ粉の原料など、古くから利用されている植物です。
育てるのはそんなに難しくないので、みなさんも是非クズを育ててみてはいかがでしょう!
MIDORI
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