ニラ(韮)の植物図鑑と育て方をわかりやすく解説

ニラの畑

こちらでは、ニラ(韮)の植物図鑑と育て方を私の経験を元にわかりやすく解説します。
造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
MIDORI
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この記事の監修者

フラワーショップ店長【ミドリ】プロフィール

ニラとは

鍋のニラ

 

植物名   ニラ


学 名   Allium tuberosum


和 名   韮


別 名   下に記載


英 名   Garlic chies / Chinese chives


科 名   ヒガンバナ科


属 名   ネギ属


 

グリーンライフイノベーションの画像2

 

ニラの特徴

食用のニラ

 

ニラは草丈30cm〜50cm程になるヒガンバナ科の多年草です。道端や河川敷で見かける野草ですが、葉を野菜として食用とします。

ニラは地下に短い根茎があり、多数の鱗茎が株状になります。

ニラの葉は各鱗茎に数枚付いて、長さ30cm~40cm程の先端が丸い扁平な線形で、裏面に稜状の脈があります。葉は濃い緑色で柔らかく、特有の匂いがあります。葉鞘は赤みを帯びます。

ニラは8月〜9月頃に、花茎の先端に半球状の散形花序を付けます。花は白色で、小さく花弁は3枚、苞が3枚あり、20〜40個開きます。

ニラの果実は蒴果で、熟すと裂開して、中から6個の黒色の種子が出てきます。

 

ニラの名前

ニラという名前は、古事記では「加美良(かみら)」、万葉集では「久々美良(くくみら)」、正倉院文書には「彌良(みら)」とそれぞれ記載されています。このように、古代では「みら」と呼ばれていましたが、院政期頃から不規則な転訛形「にら」が出現して現在に至っています。

地方の方言では、「フタモジ(千葉県上総地方)」「ジャマ(新潟県中越地方)」「ニラネギ(静岡県、鳥取県などの一部)」「コジキネブカ(愛知県、岐阜県の一部)」「トチ(奈良県山辺郡、磯城郡)」「ヘンドネブカ(徳島県の一部)」「キリビラ(沖縄県島尻郡)」「チリビラ(沖縄県那覇市)」「キンピラ(沖縄県那覇市)」などと呼ばれています。

 
 

ニラと似ている有毒植物

ニラは色や形状が「タマスダレ(玉簾)」「ヒガンバナ(彼岸花)」「スイセン(水仙)」「サフランモドキ」などのヒガンバナ科の有毒植物と似ていて、野生のニラを採取する際に間違えないように注意が必要です。

ニラを採取しようとして、スイセンなどヒガンバナ科の植物を誤って採取し、食べたら食中毒になる事故がよくあるため、気をつけましょう。ニラには特有の匂いがありますが、ヒガンバナ科の植物には匂いがありませんので区別することができます。

 

ニラの食材

食用の花ニラ

ニラは茎にしっかり弾力があり、葉は艶のある鮮やかな緑色で、葉先がしっかりして、肉厚で幅が広いものが良品とされています。生のニラは、特有の臭みがありますが、加熱すると臭いは和らぎます。また、主に食材にする緑色の葉ニラのほか、黄ニラ、花ニラがあります。

葉ニラは、一般的にニラと呼ばれているもので、緑の葉をそのまま食用とするものです。同じ株から何度も収穫できますが、最初に収穫されたものが最も味が良く、成長しすぎたものは繊維が固くなります。

黄ニラは、遮光して栽培したもので、ニラの芽が出る前の根株に覆いを被せて光を制限することで軟白化したものです。ニラモヤシとも呼ばれ、中華料理の食材に使用されています。ニラ特有の臭みが抑えられていて、より柔らかく甘みがあります。

花ニラは、ニラの若い花茎で、シャキシャキとした食感があり、香りは葉ニラよりも穏やかです。花ニラ専用の品種があり、日本で主に栽培されているのは、台湾から伝わった「テンダーポール」という栽培品種です。また、ハナニラ属の「ハナニラ(花韮)」は全く別種の植物です。

 
 

ニラの食用

ニラは細長くて真っ直ぐ伸びた葉は加熱すると柔らかくなり、和食では汁の実や薬味、おひたし、炒め物などにするほか、中華料理や朝鮮料理によく用いられます。若い花芽も、おひたしや炒め物として食べられています。

中華料理では、レバニラ炒め、焼きそば、餃子の具、ニラ饅頭、春巻き、ニラの卵とじなどがポピュラーな用途です。春節(旧正月)には、黄ニラと豚肉を使った春餅の料理を食べ、北京料理では、羊肉しゃぶしゃぶの薬味のひとつとして、ニラの花の塩漬けが用いられます。

ニラは、タマネギと同様にイヌやネコが食べた場合には、アリルプロピルジスルファイドにより血液中の赤血球が破壊され、血尿、下痢、嘔吐、発熱を引き起こします。イヌやネコなどの動物に悪影響を与えることがあるため、食べさせないように注意しましょう。

また、仏教の僧侶の間では「ネギ(葱)」「ラッキョウ(辣韮)」「タマネギ(玉葱)」「ニンニク(大蒜)」とともに禁葷食として避けられていました。

 
 

ニラの栄養価

ニラは日本でも薬用に使われるなど、古くから親しまれてきた緑黄色野菜で、栄養価が高く、ニンニクと並びスタミナが付く食材として利用されています。特にβ-カロテンが豊富で、ビタミンC、ビタミンK、カルシウム、リン、鉄、葉酸などの栄養素に富んでいます。

野菜にはあまり含まれることがないビタミンEも豊富で、カロテン、ビタミンEは葉の緑が濃い部分に多く含まれています。ただし、日に当てないで育てた黄ニラの場合では、食物繊維は豊富ですが、他の栄養素は葉ニラに劣ります。

 
 

ニラの薬用

ニラは、古くは薬効を期待して利用された植物で、全体にニンニクの成分であるアリインに似たアリルスルフィドという含硫化合物の精油成分を多く含みます。この成分は、炎症を鎮め、汗を出して熱を下げる作用があると言われています。

ニラに含まれるアリシンは、血液を固まりにくくする働きもあり、血栓ができにくくし、脳や心臓の血管が詰まるという致命的な病気のリスクを下げる効果が期待できます。

ニラの茎葉を採取して陰干しにしたものが「韮白(きゅうはく)」や「韮菜(きゅうさい)」という生薬になり、健胃、下痢止め、滋養強壮に効果があると言われています。また、9月頃に花が終わって自然落下する前の種子を採取して日干しにしたものが「韮子(きゅうし)」という生薬になり、腰痛、遺精、頻尿に用いられています。

 

ニラの詳細情報

園芸分類野菜
性質多年草
開花時期8月〜9月
花色白色
栽培難易度
耐寒性強い
耐暑性強い
耐陰性普通
 
 

ニラの詳しい育て方

ニラの群生

ニラは中国の原産で、欧米では栽培されておらず東洋を代表する野菜です。日本でも野生化したものが各地に分布しています。空き地や道端、河川敷などに自生しています。

日本では高知県、栃木県で最も多く栽培されていますが、北海道や宮崎県、群馬県なども産地として知られています。ニラは一年を通して流通していますが、黄ニラは2月〜3月頃、葉ニラは3月〜4月頃、花ニラは6月〜8月頃が一番美味しい旬の時期です。

 

ニラの種まき

ニラは春まきの翌年春〜夏頃に収穫します。品種により栽培方法など異なりますが種まきの適期は3月〜4月頃で、発芽適温は20℃前後です。また、発芽日数は7日〜14日程です。

種まきをする苗床を作る場合は、種まきの2週間前に、苦土石灰を混ぜながらよく耕しましょう。1週間前にたい肥と元肥を施し、再びよく耕しましょう。畝幅は60cm程、高さ10cm程度に畝を作りましょう。また、連作は避けるため、同じ畑では1〜2年は空けるようにしましょう。

種まきはプランターでも可能です。条間15cm程でまき溝をつけて、1cm〜2cm程の間隔で条播きにしたら5mm程度覆土して、たっぷりと水やりをしましょう。

 

ニラの育苗

発芽するまでは乾燥を防ぐためワラや不織布をベタ掛けして覆いましょう。発芽後はワラや不織布を外して、本葉が1〜2枚になったとき、混み合ったところを間引いて、株間2cm程に間引きましょう。

種まきから30日後と60日後の2回に分けて、条間に野菜用の肥料を追肥しましょう。本葉が4〜5枚、草丈が20cm〜25cm程の苗に育てたら定植しましょう。

 

ニラの植え付け

畑を準備する際は、植え付けの2週間前に、苦土石灰を混ぜながらよく耕しましょう。1週間前にたい肥と元肥を施し、再びよく耕しましょう。畝幅は60cm程、高さ10cm程度に畝を作りましょう。

育苗したニラは、根を傷めないように移植ゴテで苗を掘り起こして、深さ10cm程の植え溝を掘り、株間30cm間隔で、3〜5株ずつ壁に立てかけるように苗を置いて、根が隠れる程度に土を被せましょう。植え付け後2〜3週間で、根が張ってくると起き上がります。

 

ニラの追肥・土寄せ

植え付けから3週間後、苗が起き上がったら、土寄せをして植え溝を平らな状態に戻しましょう。土寄せは生育に合わせて、苗が分岐しているところ(成長点)が埋まらないように2〜3回に分けて行いましょう。1回目は植え付けから3週間後、2回目はさらに3週間後、3回目はさらに3週間後に行いましょう。また、追肥は9月頃に条間に施しましょう。

 

ニラの花芽摘みと刈り取り

ニラは夏頃になると、とう立ちして花茎が伸びてきます。花を咲かせるとそこに栄養を取られて、株が疲れてしまうため、蕾のうちに摘み取ってしまいましょう。摘み取った花茎は「花ニラ」として食べることができます。

ニラは植え付け1年目は収穫せずに株を大きく育てましょう。冬になると葉が黄色くしおれて、地上部は枯れてしまいますが、春になると萌芽してきます。

 
 

ニラの害虫や病気

害虫はネギアザミウマ、ネギアブラムシ、ネギコガなどが発生することがあります。食害されると味が落ちたり、株が弱ってしまうため、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。

病気は萎縮病、さび病、軟腐病、白斑葉枯病などがあります。さび病は、低温で雨が多い時期に発生するカビの伝染性の病気です。葉の表面にオレンジ色のやや膨らんだ小さな斑点が多数出てきて、しばらくすると破れて、粉状の胞子が飛散します。発病した葉は処分して、薬剤散布で防除しましょう。

 

ニラの収穫

種まきから2年目の春から収穫ができます。まずは春先に、葉の生育や品質を整えるため、伸びてきた葉を根元から刈り取りましょう。この後に伸びてくる若葉を収穫しましょう。

草丈が20cm〜25cm程になったら、地上部を3cm程残して、ハサミで切って収穫しましょう。収穫したら、条間に追肥して中耕しておきましょう。そうすると、また新たに葉が出てくるので、秋までに3〜4回収穫することができます。

収穫が遅れると葉先が垂れ下がり、スジが目立ってきます。生長が非常に早いため、収穫のタイミングを逃さないようにしましょう。収穫が終わり、冬になって葉が枯れたら地上部を刈り取り、翌春からまた同様に収穫できます。

 

ニラの株分け

ニラは年数を重ねるごとに分蘖して茎数が多くなります。そのため、収穫3年目以降になると株が混み合い、葉が細くなって品質が低下してしまいます。そのため、収穫3年毎を目安に株分けを行いましょう。

株分けの適期は3月頃です。地際から5cm程を残して葉を刈り取り、根を傷めないように移植ゴテで掘り起こし、土を落として1株ずつに分けて、1年目の植え付けと同じ要領で植え替えましょう。

その後、新葉が伸びてきたら土寄せを行い、葉が伸びてきたら同様に収穫することができます。植え替える際は、連作障害を避けるために、別の場所に植え付けるようにしましょう。

 

グリーンライフイノベーションの画像2

 

ニラの誕生花・花言葉

ニラの花

 

ニラは「4月18日」の誕生花です。

ニラの花言葉は「多幸」「星への願い」です。

 

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ニラの花の拡大
 
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ニラのまとめ

ニラの畑

ニラはいかがでしたか?
ニラは、レバニラ炒めなど中華料理では定番の食材で、栄養価が高く、日本でも古くから食べられている野菜です。野生のものを見かけることもありますが、採取する際は毒草と間違えないように注意しましょう。
育てるのは比較的簡単なので、みなさんも是非ニラを育ててみてはいかがでしょう!
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