造園業者とフラワーショップ店長が監修した、植物の特徴から詳しい育て方やお手入れ方法、収穫方法、植物の写真や誕生花、花言葉までさまざまな情報をご紹介します。
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ネギとは
植物名 ネギ
学 名 Allium fistulosum
和 名 葱
別 名 一文字草(ヒトモジグサ)
英 名 Welsh onion / Leek
科 名 ヒガンバナ科
属 名 ネギ属
ネギの特徴
ネギは、ヒガンバナ科の多年草の野菜です。主に緑の葉の部分を食べる「葉ネギ」と、細長くのびて主に白い葉鞘の部分を食べる「長ネギ(根深ネギ)」と呼ばれる系統があります。
ネギは分蘖(ぶんけつ)しにくい1本ネギの品種と、分蘖しやすい品種があり、地方ごとにも数多くの在来品種があります。
ネギの葉は白い葉鞘(ようしょう)の部分と、緑色の葉身部からなって重なり、茎のようにも見えることから偽茎と呼ばれています。葉身部は中空の円筒状で、先端は尖り、白っぽい粉が吹いた緑色で、粘液を含んでいます。
ネギは、5月〜6月頃に花を咲かせます。冬の低温に当たると花芽ができて、春に薹立ちして花序が付き開花します。花序は葉の間から伸びた円柱状の花茎の先端に付き、薄い膜質の総苞に包まれて、中に多数の小花があり、白緑色の花が密集して丸く咲かせます。この花を俗に「ネギ坊主」と呼びます。
ネギの名前
ネギという名前は、「根葱」からきていると言われ、茎のように見える葉鞘の白い部分を、根に見立てたからとする説があります。日本の古名では「冬葱」「祢木」とされ、「き(紀)」ともいいます。
別名は「一文字・比止毛之(ひともじ)」といい、これは枝分れした形が「人」の字に似ているからと言われています。近縁種の「ワケギ(分葱)」なども同様に呼ばれることがあります。
日本ではネギを、収穫時期によって「夏ネギ」と「冬ネギ」に呼び分けています。また、白い部分が多いネギは「長ネギ(根深ネギ)」、緑の部分が多いネギを「葉ネギ」と呼んでいます。
東日本では単に「ネギ」というと、土を盛上げて陽に当てないようにして作った根深ネギ(長葱・白ネギ)を指し、その他は「ワケギ」「アサツキ」「万能ネギ」「九条葱」などの固有名で呼んで区別します。西日本では陽に当てて作った細い葉ネギを「青ネギ」と呼び、根深ネギは「白ネギ」「ネブカ」などと呼ぶ事もあります。
ネギの食用
ネギは白い部分に艶があって弾力があり、緑色と白色の境目がはっきりしていて、緑色の部分は肉厚でしっかり巻いて固く、葉先から根元まで全体に張りがあるものが良品とされています。また、ネギ特有の強い匂いから精進料理では避けるべき食材として、「禁葷食」ともされています。
そんなネギは、日本では古くから冷奴や蕎麦などの薬味として用いられるほか、炒め物、ぬた、汁の実、鍋料理に欠かせない食材の一つとして親しまれ、小口切りにしたものを薬味として利用したり、千切りにしたものを「白髪ネギ」と呼び、料理の飾りにも使われています。
ネギは料理の脇役だけでなく、葉ネギはねぎ焼き、根深ネギはスープなどで主食材として扱われることもあります。ネギの花として知られる「ネギ坊主」も若いものなら、炒め物や天ぷらにすると、タマネギのような甘みがあり食べられます。
ネギの栄養素
ネギは白い部分にビタミンC、緑色の部分にはカロテン、カルシウム、ビタミンKなどを含んでいますが、葉ネギは緑黄色野菜、根深ネギは淡色野菜に分類され、品種により栄養素も差異があります。葉ネギの方が栄養素量が多く、ミネラル類は根深ネギの2倍量を含んでいて、ビタミン類も多く、カロテンとビタミンCは葉ネギの方が圧倒的に多く含みます。
ネギをイヌやネコなどの動物が食べた場合に、アリルプロピルジスルファイドという成分により血液中の赤血球が破壊され、血尿・下痢・嘔吐・発熱を引き起こす事があるため、動物には食べさせないように注意しましょう。
ネギ属の植物
ネギ属の植物は、ヨーロッパでは「チャイブ」や「リーキ」などが栽培されています。日本でも様々な種が栽培されていますが、かつてはネギの一種と思われていた「ワケギ」はネギと「タマネギ(エシャロット)」の雑種であり、生物学上は別種の植物です。
よく似た植物の「アサツキ(浅葱)」もチャイブの変種とされ、本種やワケギの仲間では無いと考えられています。そのほか、日本でもよく知られているネギ属の植物は以下のものがあります。
「ニラ(韮)」
「ノビル(野蒜)」
「ニンニク(大蒜)」
「タマネギ(玉葱)」
ネギの詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
性質 | 多年草 |
開花時期 | 5月〜6月 |
花色 | 白緑色 |
栽培難易度 | |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
耐陰性 | 弱い |
ネギの詳しい育て方
ネギは中国西部から中央アジアの原産で、日本には奈良時代に渡来したと言われ、古くから親しまれている野菜であり、各地で在来種も作られています。日本各地で栽培されていますが、千葉県、埼玉県、茨城県が生産量が多い地域として知られています。
ネギは一年を通して流通していて、品種や産地により異なりますが、一番美味しい旬の時期は、11月〜2月頃になります。
ネギの種まき
ネギは秋まきもできますが、基本は春まきの冬収穫です。品種により栽培方法など異なりますが種まきの適期は3月〜4月頃で、発芽適温は15℃〜25℃です。また、発芽日数は7日〜10日程です。
畑に直播きする場合は、種まきの2週間前に、苦土石灰を混ぜながらよく耕しましょう。1週間前にたい肥と元肥を施し、再びよく耕しましょう。畝幅は60cm程、高さ10cm程度に畝を作りましょう。また、連作は避けるため、同じ畑では1〜2年は空けるようにしましょう。
条間20cm程でまき溝をつけて、1cm間隔で条播きにしたら5mm程度覆土して、たっぷりと水やりをしましょう。
ネギの育苗
発芽するまでは乾燥を防ぐため稲ワラや寒冷紗などで覆いましょう。1週間程度で発芽しますので、草丈が5cm〜6cm程になったら株間1.5cm程に間引きましょう。その後、草丈が10cm程になったら株間3cm程度になるように間引きましょう。
種まきから1ヶ月後を目安に野菜用の肥料を追肥しましょう。草丈が30cm〜40cm程度で鉛筆ほどの太さの苗に育てたら定植しましょう。また、植え付け時期になると市販の苗が流通しますので、本数が少ない場合は育苗の手間が省けるので便利です。
葉ネギの場合は種まきした畑でそのまま育てて、土寄せと追肥は収穫までの間に1〜2回行いましょう。
根深ネギの植え付け
ネギは過湿に弱いため、水捌けのいい場所が適しています。畝の中央に30cm程の深さの植え溝を掘るため、水が溜まりやすい畑の場合は、溝が地面より低くならないように40cm程の高畝を立てておきましょう。
育苗したネギは、根を傷めないように移植ゴテで苗を掘り起こして、1本ずつに分けましょう。畝の中央に深さ30cm程の植え溝を掘り、溝に堆肥と肥料を入れて、株間5cm間隔で、1本ずつ壁に立てかけるように苗を置いて、根の部分に3cm程度土を被せましょう。
根深ネギの追肥・土寄せ
根深ネギは生長に合わせて土寄せすることで、葉鞘部が白く長くなります。土寄せをしっかり行って軟白部分を伸ばしていくことが、品質の良い根深ネギを育てるポイントです。追肥と土寄せは、成長に合わせて計4回行いましょう。また、ネギの分蘖部に土が入ると、生育が極端に悪くなったり、腐敗することがあるため、土寄せはをする際は分蘖部の5cm程度下までにしましょう。
追肥と土寄せは、ネギを立てかけた反対側の畝の肩の土に追肥を施して、肥料と土を混ぜながら溝に入れましょう。1回目の土寄せは、植え付けから1ヶ月後に行い、2回目はその1ヶ月後、3回目はその1ヶ月後、4回目は収穫の30日〜40日前に肥料を混ぜないで、土寄せだけ行いましょう。
また、ネギは雑草に弱いため、雑草が生えているかこまめにチェックして、除草してあげましょう。
ネギの害虫や病気
害虫はネギアザミウマ、ネギアブラムシ、ネギコガ、ネギハモグリバエ、ヨトウムシ、ナメクジ、アブラムシなどが発生することがあります。食害されると味が落ちたり、株が弱ってしまうため、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除しましょう。
病気は黒斑病、さび病、べと病、軟腐病、ウイルス病などがあります。さび病は、低温で雨が多い時期に発生するカビの伝染性の病気です。葉の表面にオレンジ色のやや膨らんだ小さな斑点が多数出てきて、しばらくすると破れて、粉状の胞子が飛散します。発病した葉は処分して、薬剤散布で防除しましょう。
ネギの収穫
根深ネギの収穫は、最後の土寄せから1ヶ月程度が収穫時期で、太いものから順に収穫しましょう。根深ネギは、寒さに当ててから収穫することで甘みが増して美味しくなります。収穫は、畝の端からクワやスコップで土を崩して、必要な分だけ掘り取りましょう。収穫の際、軟白部を折ったり、傷めないように注意しましょう。
葉ネギの収穫は、植え付けから50日〜60日程度が収穫時期で、草丈が50cm程になったら収穫しましょう。葉ネギも必要な分だけ、間引き感覚で収穫できます。葉ネギは株全体を収穫せずに、地上部を切り取れば、引き続き新芽を収穫することができます。
ネギの花言葉
ネギの花言葉は「笑顔」「愛嬌」「ほほえみ」「挫けない心」です。
お花のある生活
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ネギのまとめ
ネギは長ネギ(根深ネギ)や葉ネギのほか、各地に在来種があり、鍋料理や薬味に欠かせない、古くから日本でも親しまれている人気の野菜です。
育てるのはコツがいりますが、みなさんも是非ネギを育ててみてはいかがでしょう!